やがて青く澄んだ水を湛える諏訪の湖が見え初め、突然体全体に震えが走る寒気を覚える、如何したのだ!身体が凍りつきそうだ、今では滅多に見られないが真冬湖一面に分厚い氷が張り不気味な音と共に膨張して割れ目に沿い盛り上がる、その高さは50cm~70cmはある、其れはちょうど上諏訪神社(大社)から(下社)下諏訪の神社に架けて割れ目が盛り上がる、それは上社の男神が下社の女神に会う為に歩き渡った跡だと語り継がれ、御神渡り(おみわたり)の神話が有る。
今度は体がやけに暑い汗が滲み出てくる、そしてこの湖畔には10m位吹き上げる間欠温泉がありその周りは冬でも暑いくらいだ。 七年に一度の御柱祭りがある、山出しの大木が人々を跳飛ばし崖を下る、御神体は自然が神、諏訪神社の奥に広がる山々そのものである。 激しく目まぐるしく光景が移り変わる。
諏訪の町を右手に駆け上り、霧ヶ峰高原の景色に目を奪われながら、ビーナスライン添いに白樺湖を通り過ぎると、蓼科湖が朝靄の中に現われる、目の前には少し丸みをおびた諏訪富士と呼ばれる蓼科山が迫って見える確か信州の蓼科高原。 天候は変り、初夏の日差しの様に、暖かく、ぽかぽか陽気、やけに喉が渇く、辺りを見回すと、日差しの中に小川が見える、漣が太陽に照らされキラキラ光って眩しいほど美しい、足首ほどの水嵩に小石が敷き詰められている川底が見える、裸足で水と戯れ、その冷たさに驚いた覚えがある。
何処かで見た光景だ、確か小学生の頃、夏休みキャンプで遊んだ場所だ、時空(space-time)を飛び越え、何故ここに居るのかは解らないが、山中から雪解けの湧き水、澄んで冷たく美味しそうだ、きっとこの体の火照りと渇きを癒してくれるだろう、早く喉を潤し渇きを止めよう、その美味しい湧き水を飲みに、起き上がろうと..
その時、何処ともなく”リュウ!リュウ!起きて、ねぇ起きて!” 母の呼ぶ声が幾度となく聞こえたような気がして目覚めた。 ”アゥゥー..なんだ夢か!遅刻だ!早くサーキットに行かなければ”、だが肩と腰の辺りに痛みが走り頭は割れる様に痛い..
一体如何したと言うのだ?....何時もの俺の部屋ではない!レース仲間がなぜいる?母は何処に?..そうか!母だったら、リュウとは呼ばず、健司と呼ぶはず、何故、母と思ったのか?不思議だ!。
混乱する頭も納まり、..俺は、レース・スタート直後第一コーナーへ全車なだれ込むなか、ライバル車を頭一つ押さえ突入、ブレーキングと同時に減速、突然、俺のレース・マシーンに思わぬ何かの力が加わり車体は前後に回転、何かに背中を吊り上げられた様に空中に舞い上がり、逆さまに地面に叩き付けられて後頭部を強く打ち、意識を失ったまま病院に運ばれ、ベットにいる事が解った。
頭の衝撃により異常興奮や発熱、脳内のメモリー回路(neuron-synaose)に異常電位差を起しイメージ・メモリー(image-memory)が遠く昔の忘れていた記憶を激しく呼び出したのではないか?。 この長い夢は俺が目覚める、ほんの数秒前のわずかの間の事と思われる、其の上、体温調整も狂っていたのかもしれない。 余談だが、脳内にはもう一つ論理メモリーがある(logic-memory)、その全てを空中から、眺めている別の俺がいる、それを人は幽体離脱と云うが、全て頭の中で起こっている事と思う。
あの光景は幼い頃、母に包まれていた頃の憬れの慕情なのか?、だが不思議だ!このまま死を迎えたら俺の世界は消えてしまうのか?何が起きようと、暗黒の無の世界なのか?それとも、あの赤ちゃんに俺の魂が移り、この宇宙と地球の変化、人の営みを映し出すと云うのか?、人の願望で有って、ありえる訳が無い希望的観測に過ぎない。
「おう!..気づいたか、心配かけやがって!」チーム監督(北原)の顔が眼の前に迫る、こんなに優しい監督の顔は見たことがない、しかも俺を覗み込む眼鏡越しの目には微かに潤んで見える。 監督は以前同チームでレースに出場した事もあるが現在我がチームのオーナーで監督である、アラ・フォー四十代に入ったばかり、顎から口に繋がる髭と眼鏡が似合う渋めで論理派タイプである。
..夢の中で悲しい顔をし消えて行く、入籍したばかりの妻・佳子(ヨシ子)の姿を思い出し、再び起き上がろうと試みるが肩と腰の辺りに痛みが走る、慌て辺りを目だけで探る、俺の胸元で心配そうに見詰めるヨシ子を確認、俺の手を確り握っている、その手を握り確認の合図を送る、ヨシ子の優しく温かく軟らかい手で握り返して来て安堵した、そしてあの俺を呼ぶ声がヨシ子で有った事で母と間違えた事が納得できた、多分此処は、モテギ・サーキッドの近くの病院のベッド上だ
その後、自宅近く横浜の妻の勤務する病院に移り翌日、主だった検査を受ける、結果良好、ヘルメットや肩首ホルダー(nack-holdar)ロールバー(roll-bar)、6点式シートベルト、強化アルミのモノコックのおかげ脳や骨にも異常も診れず熱も下がり、奇跡的幸いで打撲だけの負傷、もしステアリング(steering-wheel)から手を離していたのなら、かなりのダメージが有ったと思われる、頭をかなり打ったが、直ぐに退院出来た。
数日後、痛みも治まり体も回復し、錦糸町駅より2,3分のビル五階の一郭にある、俺が所属する、ジャパン・カーレーシング・アカデミー事務所を、妻ヨシ子と訪ねた、チーム監督の北原さんやメカニックのクルー達と挨拶を交わし、あの事故の話になり、レースでは良くある、後続車の前輪タイヤと俺の車の後輪タイヤの追突でテールを乗り上げたまま前後に車体が回転、レーシングカーは前進する為に造られ後ろ向きでは弱いもので車体を浮き上がらない様に押さえる為のウイングが逆効果、飛行機と同じ原理、揚力で舞上がってしまった、幸いレースコースから外れ他車への衝突も免れ砂地に逆さまに叩きつけられる様に落ちたとの事でした、砂地と燃料に引火せず火災にならずに済んだ事、本当に運が良かったと聞かされた。
今でも鮮明に覚えている、目覚める寸前に体験した夢の話を、流石に得体の知れない赤ちゃんとヨシ子が消えていった処は省き説明したところ、物知りの監督が真面目に「その川に入らなくて良かったな、それが三途の川だったんだ!、お母さんが助けてくれたんだよ、お母さんに呼び返されたのだよ、もし呼ぶ声が無かったら..見知らぬ恐い顔のおじさんと話をしていたら、きっと川を渡り、戻れなかったよ..」 それは死を意味し、なんとなく俺も皆も恐くなってしまった、 監督、曰く「お母さんは偉大だ!リュウ、お前も皆も、母に感謝しなければ駄目だぞ!」皆、お母さんには、頭が上がらない様だ(少なからず、こんなにお金にも成らない夢を持たせてむらって迷惑掛けているから)それぞれの胸の内に母との思い出に心を馳せ、慌て照れた顔が物語っている、 監督ヨシ子に目を移しながら「それに、医師とは云へ、無闇に動かす事無く、怪我が無いか冷静にチェックして、懸命にリュウを呼んでいたよ、ヨシ子さんの気転の有る対処が有ったからだよ、本当にリュウは幸運児だよな」。
メカニックの孝ちゃんがふっくらとした頬と可愛い目を輝かせて「リュウちゃんは西遊記の石猿みたいに石頭だよね!」 「俺は孫悟空の様なあんなに延びる如意棒は持っていないよ」、「リュウちゃんは、相変わらず下半身の事ばかり、頭あんなに打ったのに、少しも頭良くなっていないよね、益々下品だよね!」 皆笑って良いものか迷って、笑いを堪えている、後ほど紹介するが、孝ちゃん、こと鈴木孝三、メカニックで感性も素晴しく高い技術の持ち主であるが、俺も女と見間違うほど綺麗だが性同一性障害者である、
「俺は肉食系だよ、幸ちゃんの様に、米や麦のジュース(酒、ビール)ばはり飲んでいる草食系ではないよ、彼女の一人や二人位作れよ」 少し言い過ぎたかな 「だって私、リュウちゃんの事、大好きだもん!」 「ワァーォ!俺まだそちらの方は駄目だよ、カンベンしてよ!」 妻のヨシ子冗談顔で自分の立場を強調する様に「あ~ら!孝ちゃん、私はどうなるのかしら?」 孝ちゃん天井を眺め俺に目を移し「う~ん!..どうしよう、私の気持ちは変えられないわよ、悲しいよね!、も~ぅ..リュウに聞いてよね!」 皆大笑い、俺は内心、フゥー、孝ちゃんが、男?であって良かった。
俺達は今年初めてビックレースに参加、資金もままならぬ弱小チーム、予備のマシーン(レース用車)も無い、今後のレース予定の不安が過ったがレーシングカーや予定の事には一再触れず、監督はじめ皆これほど心配していてくれた事、心に沁みるほど嬉しく感謝の思で一杯だった。
《商談》
話は、今回のレースから4,5ヶ月ほど前にさかのぼる、 横浜みなと未来、地上69階の展望ラウンジフロアーを持つラウンドマークタワー内の35階事務所にて、我がレーシングチーム監督兼オーナーの指示に依り、予てから話しの有った、メインスポンサーと商談に一人で出向いた、以前のドライバーが家庭の事情(父の事業ホテル旅館等を引き継ぐ事に)で降板し、年間レース後半、俺がドライブする事になった件に対しての従属契約や契約金の話し合いである、チームとして予め話はついていたが、予想していたとうり、不況のため、以前の契約どうり、それ程、期待した金額は示されなかったが今後ともお付き合いさせて頂ける事になり、先ず々ほっとした。
ラウンドマークタワー35階の事務所から高速エレベーターで1階出入り口へ、フロアーは、OL、ビジネスマン、イベント会場や観光、アウトレットのお店が並び、遊園地、公園、半月形のコンチネンタルホテル等あり、横浜のファションの地である老舗が並ぶ元町、中華街が近いため、観光客、子供から若者、お年寄りまで、ビジネスマン等、目的の違う人々が何時でも大勢入り混じり行き交っているが、不思議と違和感なく馴染んでいる。
俺は入り口近くの喫茶店へ、左側ショーウインドーにスイーツ類が美味しそうに沢山飾られている、中に入ると着飾った女性達のグループ、オフィスレディー、ビジネスマン、観光の人々で賑わっているが、以外に静かである、ウェートレスに空きテーブルに案内され、ホットコーヒーを注文した
とにかくレースを続ける為の資金を得るため、スポンサーの獲得に悩んでいた、上位チームのいくつかは、外人ドライバーを雇い、メーカー(車の会社)から、直接援助が受けられる名門、俺達、チームはビックレース出場は今年が初めて、立ち上げたばかりの弱小チーム、資金面でも大変で、ドライバー兼、営業マン、カーレースのチームを運営する事は並みの金額では出来ない、これから各社に交渉に出かけなければならない、俺のカーレース経歴や俺達のチームが記載されている車のスポーツ誌や成績表など集め、昨年此のレースの観客動員数等、宣伝効果について..などなど、冷めてしまったコーヒーを飲みながら、何処の会社にお願いに行くか、取り留め無く、考えを巡らせていた。
「龍崎さんですよね」 突然、淡いスズランの香りが微かに漂い、素晴らしい魅力ある声で、顔もスタイルも抜群、白のスーツにパンツルックでなんともエレガント、如何見ても年上で気品ある女性が声をかけて来た。 突然の事で、ただ呆然と見つめるだけだった、何か返事をしなければ、当惑している俺を察したのか 「あのー私、以前、奥様の担当医でした鶴見ですが」
「ああ!思い出した横浜X大の、何時も白衣しか見ていなかったもので」 余りにも突然で長い事会ってはいない上、私服、こんなに魅力的な人とは..「其のせつは大変お世話になりました」 鶴見先生微笑みを湛えた瞳で見詰め「同席しても構いませんか?誰かいらしゃるのでは?」 「いいえ、ちょうど用件が済んだ処で、休んでいたので、どうぞ」 「私、空きテーブルを待っていて、貴方が目に止ったの、丁度お話したい事も有り、少構いません?」 「あっ!どうぞ」
真向かいの椅子に優雅に座った、柔らかな、瞳で俺を見つめながら 「何をお飲みになっていらしゃるのですか?」 「俺、いや私はコーヒーですが!」 スーと右手を優雅に上げウエイターを呼ぶ「私にミルクティーとこちらにコーヒーの追加お願いします、..よろしいですか?」と微笑で見つめた、なんと、美しく魅力的、俺の心を見透かされた様な気がして、おもわず目が泳いでしまった、如何したと云うのだ、俺はただ圧倒され 「あ、はい」 と返事するのが精一杯、何時もは、レースクイーンや沢山のコンパニオンを相手に冗談の連発、どうにもインテリ諷(intelligent)には弱く勝手が違う、何時もの俺は?戸惑うばかり、
何の話だろう..かろうじて 「何か..俺、..私に?」 「貴方達の事あれからずうーと気になっていたのよ、と云うよりも、貴方の事かな!」 「俺、いや私達1年半位前に」
優しい微笑みを浮かべ「離婚の事知っています、奥様・・いえ美奈子さんから全て聞いていますわ、それから気を使わず”俺”で良いですよ、 心不全と狭心症で奥様が救急で入院なさって、私が担当になり、初めて貴方にお会いになったときに、なぜか引き込まれてしまいそうな貴方のキラキラ澄んだ激しく生き生きしている目と、純粋で直向な心に触れこんなにも奥様を愛している人がいる事に感激したのよ、あの時の貴方は自分の全てを失っても、奥様を助けてあげたい、思いが痛いほど伝わって来て、其れで印象深くある意味、恐いくらいに感じたのよ」
「あぁーそうだったんですか」 いっきに、説明している鶴見先生に、俺も少し冷静さを取り戻し、不謹慎と思ったのですが説明とは関係ない事を頭の半分で考えると云うより感じていました ”..どうしてだろう、今まで沢山素敵で可愛い人と出会ったのに、どこか違う、これが大人の女性の貴賓と魅力なのか..顔や体が綺麗なのは言うまでも無く暖かく繊細な心の動き、生活から養った知性や情熱、此れを本当のエレガント(elegant)と言える人だ..今までに無い強烈な魅力に引き付けられていた” あの頃は白衣の先生を綺麗な人だと思っていたが、そんな意味で見る余裕など全く無かった
俺は、妻の入院中の事を思い浮かべ、当時の気持ちを解かりやすく先生に説明した「今までの、俺の生活の全てを捨て、自動車レースで成功する事を目標にして生きてきたのに、妻の病気の事で、辞め無ければならず、他の生き方もしらず、俺は奈落の底でもがき、本当に苦しんでいた!、何としても妻の病気を治し、レースに復帰したかったから、必死だったんです!」 先生は頷きながら「だから!だったのね、あの恐いくらいな目、それで貴方のこと気になって..聞いているの!」
この人と、もっと話したい、こんな気持が生まれた事は初めてだった、 とっさに、思いついた言葉が 自分でも、なんと、浅はかと思いつつ 「あ!はい、聞いています、..先生、お腹空いていませんか? 何処かで、ゆっくり話が聞きたいと思い、俺、何時も一人で寂しい食事で、夕食御一緒できますか?」何時もは言葉にした事が無いが、以外にもスムーズに一気に出てしまった
考える様に可愛い唇辺りを指先で押さえ「そうーね..?云われれば、その方が良いかも、..私も、何処か?」 ヨシやった!俺は一気に「俺の知っている所で良いですか?ここから1時間位かかりますが、逗子海岸にイタリアンの美味しい処知っていますが?」 先生は指先を唇から頬に移し「そうね..私も久しぶりにウインドショピングに夢中で云われれば、お腹空いたわ、そこに連れて行って下さる?」 まさか、OKが出るとは! 後で聞いた話ですが、普段、絶対有り得ない事どうして、簡単に返事をしてしまったか、今でも解らないと、多分同じ様に女性が一人で外で食事するのが寂しかった事と貴方の気迫を感じたからと思うわ..だったそうです
喫茶店を後にして、帆船日本丸を左手に駐車場に向かう、俺達レーシング・クルー達が夏、時々利用しているイタリア人がオーナーの逗子のお店に携帯で予約を入れた 「グラチェ、リュウ、2人なんて珍しいよ、待って居るよ」
《逗子海岸》
「先生、こんなトラックの様な車に乗るの初めてでしょう?」 俺はBMW X5 xDrive30i silver の助手席ドアーを開け先生を招きいれた、先生はにっこりして、少し高めのステップに足を掛け「私だって知っていますよ、BMWの4WDとか多目的スポーツ・ワゴンとか云うんでしょう」 女性のわりには良く車の事知っているな助手席に座り込むのを見届けドアーを閉めフロント側を回り運転席に付いた「ワゴンと云うよりメチャメチャ汚れていますからトラック見たいな物で、先生、俺はこの車見たいに多目的で便利ですよ、どうぞ何時でも御利用下さい」 ようやく、何時もの俺に戻ってきた様だ
微笑を浮かべた顔で、俺の目を覗き込むように「そうね、此れから一杯お願いしようかな?..冗談ですよ!、..何故か?貴方と同じ匂いを感じるのよ..弟の様な!私に弟はいないんですけどね」
「へー!、俺は先生の様に爽やかな鈴蘭の様な素晴らしい香りはないですよ、汗と油の匂いです、それと時々オナラもね」 益々目を丸くして「ち!違います!、その匂いではなく」 「解っています、冗談ですよ、人としての感覚、物の考え方がでしょう、でも先生とは..違うと思うな」 先生は悪戯坊主でも叱るように「モー、貴方って人は!..いいえ、奥様が入院中五ヵ月の間、毎日貴方を視て話をしたのよ、少しは貴方を理解していると思うわ.... この香水、普段は付けられませんが、これは私の好きなゲランの夜間飛行と云うの、どう?」 「とても素晴らしい爽やかな香りですが..何かむらむら、するような」 「バカね!」 その見つめた目は、何か母に似た優しさに包まれ、私に安堵と安らぎを与えた。
みなと未来から本牧に出て首都高速、横浜横須賀線で朝比奈インターで降り鎌倉霊園の曲がりくねった山道を抜け、鎌倉鶴岡八幡宮の正門、大きな鳥居の前をへて由比ガ浜海岸に出る、右手に湘南の海辺を眺めながら材木座海岸をへて逗子へ、車の窓を開けると心地良い海の磯風、時折、穏やかに揺れる波がキラキラと光を乱反射し、何処までも広がる波間の先に穂が閃く、
何時もなら遠く感じる道のりだが、とりとめのないジョークなど話している間に、直ぐに着いてしまった様に感じられた
少し予約時間より早く着いたので逗子の海岸に出ることにした、車を海岸の駐車場に止め、海風で砂が吹き溜っり所々段差も隠れてしまった階段を滑らないように下るが 「あっ!」 突然先生の小さな悲鳴、砂に足をとられ、少し滑った様だ、俺は思わず両手を広げた先生の右手を掴んだ、先生も確り握り返し、何事も無く続く砂浜に互いに無言のまま出る、階段を下り切った所で俺は急に恥ずかしくなり、慌てて先生の手を振り切る様に放した 「ありがとう」 「いえ」 「レーサーなのね、咄嗟の動作が速いわ」 「ええ、まあー」
先生は歩きずらそうにして「靴に砂が入ってしまったわ」 俺は先生の前にしゃがみ込み「先生、俺の肩に掴り、靴を脱いで下さい」 先生は砂の入った高級そうな黒の革靴パンプスとでも呼ぶのか砂の入った足を躊躇しながら差し出した、その足首を優しく掴み靴を脱がせ、足と靴の砂を払い無言で戻した、長い間だ忘れていた女性の手や足を握った感触が生々しく、急に恥ずかしくなり言葉につまった、 先生は改めて「優しいのね、有難う助かったわ!」 俺は取り澄まし 「いえ」と言う返事がやっと出た
日差しも柔らかく爽やかな風が時々吹いて、ウインドサーフィンをしている人達や散歩をしている人がチラホラ見える、大きく緩やかに湾曲した遠浅の砂地の波打ち際のゆったりした波と共に、心安らぐ穏やかな潮騒を聞きながら互いに靴に砂が巻き込まない様に静かに足を運び、暫く二人共無言で歩いたが、俺は落ち着く為に大きく息を吸い、妻との経緯を話し始めた..「俺たちが、結婚して..」
先生は遠く、海の先を眺め当時を思い浮かべる様に、俺の話を遮る「奥様から、聞いています」突然、俺に向き返り 「・・あっぁ!、もう奥さんでは無いですね、とにかく、離婚の件と静養を兼ね軽井沢に移る事で、あちらの病院に診断書を添えて上げました、....この様な話、してよいのか?..でも事実を話した方が、誤解が無く良いと思いますので、お聞きするのですが」
暫く考え込む様な沈黙があり、そのまま先生は話を続けた「貴方!何処か身体が悪いのですか?」 「いえ、何処も、あ~ぁ頭は悪いが?」 「そう云う事ではなく、ハッキリ質問するわ」 「何か?」 ・・・「貴方方は一度も性行為(sexual intercourse-less)が無かったのですね」 エッ!なんだ、この先生!上品そうな顔をして顔色一つ変えず、サイボーグの様に無表情、余りにもギャップの違い、何の動揺も無く、冷静な普段の会話、まるで医者の講義用の話し方だ、もっとも医師である事は間違いないが、余りにもサラリと云ってくれ本音はホッとした、それに食事の誘いに、応じたのは、俺が離婚した事を知っていたからだ。
先生は尚も冷静に「それに、以前、奥様が五ヶ月余り入院中、貴方は、一日も欠かさず夕方から翌朝まで奥様の横の借りベットで泊っている事も知っていました、そんな貴方の暖かさと優しさ、それとあの時の貴男は..何かの目的の為に悲壮的な激しさ、さえ感じました、それ程、愛が有ったのに何故? 奥様が心臓病だったからですか?それとも貴方ED障害?」
「....!?」 「..此れでは解らないわね、解り易く云い直すわね..impotence?、失礼と思いましたが、もしかして、何か精神的障害が有るのではと思い」 俺は改めて先生の顔を覗く様に見直したが、何の動揺も無く、冷静な顔のまま俺に問いかけている、俺は内心驚きは有ったが、たぶん、心臓病の患者や家族から、そんな相談を受けているのかも知れない、そのぶれない目に医師として純粋な質問に、応えなければと
「いいえ!ちゃんと人一倍、男ですよ!」 ..まったく!こんなに綺麗で可愛い顔して上品な先生が、会って直ぐだと云うのに、意外な言葉に当惑したが....なんて事云わすのだよ!....しかし、不思議なもので咄嗟に出た、言葉は、人並みで無く、人一倍だった..一体何を強調しているのか、長い期間の禁欲生活がそう云はせたのか?自分の心の中で笑えて来た 俺は続けて「だけど、そんな俺でさえ、心が洗われてしまう、彼女は(以前の奥さん)そうした人なんです!」
それには応えず、俺の事に触れてきた「先ほど車の中で、香水にむらむらとおっしゃいましたのと確かカーレーサーでしたね、それで正常だと思いましたが、医師としてはっきり、させて置かなければいけないから、此れからの貴方の話に間違った、見解をしない様にね」 ..医者ってそんな事聞くの..患者の扱いで麻痺しているのか?それとも本当に必要な事かも?このとき俺は感じた職業的質問、やはり先生だなと.. 「先生!あの時レースを辞めてしまって、又今度、再トライしようと思っていますが、レーサーだと何故?」 「そうね..一概に言えないのですが、男性的で攻撃的でなければ、勝てないでしょう?..アンドロゲン(androgen)とエストステロン(testosterone)というホルモン(hormone)、今の男性は少なくなって、いるようです、女性にもエストロゲンとプロゲステロンは有り重要ですが一生に作られる量はスプーン一杯位だそうです、詳しい事は、ともかく、..それから?」
俺は経緯を話し続けた「それで、..彼女の病気もあったのですが、俺の中で勝手にイメージを作ってしまい、こんなに汚れを知らない素直で優しい心の持ち主を、と思うのは俺だけでは無いと思います、彼女に接した人なら誰しも思う事でしょう、あの頃荒みきっていた俺にはイノセントワールド(innocent world)何所か別の惑星からの天使が場違いな所に降りてしまったのでは、なぜ俺なんだ!俺の様に汚れた手で穢してしまってはいけない、今までの肉欲を捨て、此れが俺を変える試練だ、何がそうさせたか解らないが?、その不思議な魅力に何時しか取り込まれ、俺が守らなければ、と勝手に自分の中で作り上げてしまって、
其れと病気を治して頂きたかったのは、おれ自身の全てを賭けた夢、カーレースを続けたい為でも有ったから、俺の出場するカーレースかなりの集中力が必要で其のたび妻を気使っていられない、多少のアクシデント等のショックに堪えられる体に戻って欲しく、況してやあの頃は子供など邪魔であって子供を作る事など、以ての外、其の上、子供を生む事に耐えられる体ではなく、そんな事は如何でもよかった、
こんな事話しても誰も奥さんが病気だから当たり前でしょうと言われてしまうし..、何所にいても、救急車のサイレンを聞くたびにドキッとして、あわてて確認の電話をしたり、そんな状況で、カーレースも出来なくなり、何時も不安で、其れが長期に続くと看護疲れも重なり、心と肉体がばらばらになり、当り前ではすまされなく、疲れ果ててしまい駄目なもので、入院していた時のほうが、本音、安心し、本当にほっとしました..其ればかりか、このまま永遠に病院に預けられたら、妻の幸せも考えられなくなり、そんなおぞましい恐ろしい事まで考える様になり!..俺はただ々、彼女を守りたかった!それだけで良かったはずが、それが足枷になり..そんな事を少しでも考える、俺に嫌悪感を持ちました」 先生は黙って頷いていた 「こんな話つまらないでしょう?」 「いいえ!お伺いしたいわ、どうぞ続けて下さい」
なおも俺は話を続け..「先生だって知っているでしょう、彼女がどんなにピュア(純真で汚れのない)で人を非難したり傷つけたりする事が出来ない人だと! もしこの世に神がいるのならなんで俺なんだ!脾肉な事するのかと思いました..かつての俺を知る人は、プラトニックラブで結婚!そんなの、うそだ!何故結婚する必要が有るの?と、信じてむらえず、子供のママゴトじゃぁ無いんだよと失笑され!その上、逆玉を狙ったんだろうと、ましてやレースなど遊びであって職業では無いと、理解してむらえませんでした、だからこそ、なお更貫き通し汚す事が出来なかった、彼女が先生に相談していたなんって!、..心に閊えていた事が、やっと一人でも事実だと知って頂き、俺が間違っていたのかも知れませんが、そんな愛し方もある事を..何か救われた気持ちです!」
先生は暫く考えていたが、力強く「確かにその通りな、心優しく汚れの無い人と思いますが、それは違います、男の勝手な妄想です!..どんな女性も人として愛と安らぎを感じたいのですよ、それと何故、信頼できる誰かに相談しなかったのですか?」 余りにもハッキリと否定され
つい俺は、声が荒くなり 「理屈じゃないよ!如何してか俺にもわからないよ!」 「ごめんなさい」 「上手く説明できないが先生は男の純真さが解っていない!、現に妻に会うまでの俺がそうでした、本当に愛してしまったら、絶対に傷つける事が出来なくなるものです!、自分の欲望だけに走れるのは余り愛していないから、簡単に傷つける事が出来るのです..ただ々、守ってあげたかった、其処に陥った人でなければ俺の心など解らないよ、其れだけが、随一、俺が出来る事と思い、
..幾度となく妻と話合い、時には、妻から俺に抱きつき迫って、それでも受け入れる事が出来ず、その都度二人で何回も傷付き涙し、ジレンマとの戦いに疲れても、俺には、なんとしても自分が作り上げた汚れを知らない妹の様なイメージをひたすら守り、壊す事が出来なかった!」 先生は両手を前に出し下に向けて押さえる様に振り下げ、俺を制しながらも優しく「少し冷静になって!、落ち着いてね..落ち着いて下さい」
「すみません、..ただ先生だけには、解って欲しくて..今だから、こんなに冷静に話せますが、どんなに苦しかった事か、俺だって男だよ!女が欲しいとどれだけ思ったか!、又、俺の為に妻がどれだけ勇気を振り絞り、羞恥心に身を震わせ、心を震わせた、行為か痛いほど解っているから、尚更痛ましく、苦しく切なく侮辱した行為か!知っていても、如何する事も..、本当に疲れ切てしまい」..
..如何したのだろう、今までこんな事は決して無かった、自身の心の底を、素直に開き、真剣に思いの数々の全て話せ、しかも此れほど理解されたく、訴えている、..そんな優しい目と軟らかく抱き締める様に受け止めて、なんの気取りも無く、何時でも本音で話してくれる..俺は何の拘りも無く、今までの溜りに溜まった全てを一気にブッツケ吐き出している..何ぜだろう、不思議だ?なおも俺はサーファーの人達をボンヤリ見詰め、砂浜をゆっくり歩きながら、話を続ける
「そんなある日、妻が置手紙をして実家に帰ってしまった、貴方を自由にしたいから、貴方の夢を叶えて下さい、どんな時でも貴方は私の為に飛び返って来てくれ、どんなに疲れていても私の傍に一晩中看護していてくれていた、貴方が私を想って大事にしてくれて本当に涙がこぼれるほど嬉しかったか、そんな貴方に何も答えられない自分が辛く悲しくやりきれなく感じていました、貴方が思うほど私の心は美しくありません、これからは貴方は誰にも邪魔されずに好きなカ-レ-スに夢を駆けて下さい
..それと貴方は野菜あまり食べないから、料理が嫌でしたらコンビニエンス・ストアーに一食分の野菜サラダ有ります、必ず食べる様に、アンダーウエアーは何処にあるとか、とまあそんな事が書き記してありました」
その時の事、先生には、話せなかったのですが、部屋は何一つ普段と変わらなかったのに静寂の中、何か強烈に冷たい風が吹いているような、狭い空間がやけに広く、妻の暖かさを今更ながら感じ手紙を持ったまま、崩れ落ちしばらくそのまま床にしゃがみこんで、北国の真冬の荒野の中に取り残されたように動くことが出来ませんでした、あれだけ心配をかけ疲れ切っていたのに..、お互い憎んで別れたのなら、こんな寂しさは、起きなかっただろう、何故か妻の楽しそうな笑顔だけが思い出され、今更ながら悲しさと虚無感を強烈に感じていました、
「それから暫らくして彼女の母親から、手紙と離婚届けの書類が送られてきまして、どうか何もしないで下さい、貴方の声や手紙を見るととても悲しそうにしています、本当に貴方が娘を大事に愛して下さった事、良く解っています、以前から貴方に負担が掛かりますからと申し上げて来ました、今まで本当に辛い思いを掛けましたね、本当に有難う御座いました。美奈子もやっと決断出来た様です、娘は油絵が好きなので、静養方々軽井沢の別荘に行かせます、何時でも貴方が決断出来ましたら、その書類に印鑑を押して定出して下さい、と記してありました、
何処か俺の心の奥で、そんな日が来る事を望んでいたのかも..ただ俺の考えを曲げたくなかった、意地に成っていたのではないか?もう続かない事を知っていながら認めたくなかった!何処かで自分対しての言い訳を探していた、本当は疲れ切っていて、そうなる事を望んでいた!..色々な思いが有りましたが、その全てを断ち切る為にもサインと印を押し送り返しました。
それで暫らく何もかも、全てを忘れる為、又これから先の進み方を示してくれる道標を探す為に、改めて好きなカーレースの名門校(JimRussell's British Academy of Motorsport/Racing Drivers School)にイギリスへ留学、(現在はアメリカとカナダのみ)三ヶ月ほど行くことにしました....でもどんなに新たな刺激に夢中になりレースカーをドライブしょうと、環境への変化、外国人の刺激を受けようとも、(イギリス南部の田舎町サーキト以外何も無い所ですがレンガ造りの古い家並等、風情が有り素晴しく綺麗な所です)
私の心の灰色の影は消えないまま、帰国しました、生徒は全て外国人、アメリカ・ドイツ・フランス・イギリス・イタリア・ブラジルそれは国際色豊かで言葉も間々ならない中で皆同じ目的、性格も違うが、それなりに意思の疎通は出来た、中にはそのままイギリスに残り、ヨーロッパF-3に参戦する人も、其処で成績を認められF-1に進む事も可能だ、出来る事なら俺もそうしたかったが資金にとても余裕がない俺は諦めざるを得なかった。
帰国後、二年半位で先生に偶然お会い出来たしだいで今こうしています」 少しおどけた言い方をした 「茶化さないで!それで大よそ理解出来ました、..どう考えても一方的で貴方が悪いわ!如何して結婚などしたの!」
「如何して?、って、..そんな事、云われても、解っていても..もういいよ!..俺は青かった!て事ですか?..そんな、常識的答えは、言たくわないが、俺が、自分への償いか、憧れかは解らないが汚れの無いこの子(美奈子)を守らなくてはと思い..」 ..ただそれだけでは言い尽くせない経過が沢山有った、..其の当時、俺の荒み切った生活の中で、偶然彼女と出会い探しているお店を一緒に探したのがきっかけ
それから彼女から又お会いしたいと、何回も会う内に、楽しく明るくなって行く俺を感じ、逢う度に心が洗われ俺自身浄化されて行く様で嬉しく思った、だが、これ以上逢ってはいけないきっと傷つけてしまうからと、何回も断ったが、彼女の気持ちに絆され、負けてしまった..先生には出会いを話せば長くなるし、知る必要も無いと思い話す事は止めた..
しかし、どこかで、自分を正当化したい心が働き「それと、此れだけは言って起きたいが小学校に入り立ての子供の頃、可愛くて綺麗な女性の先生が居て、皆の憧れだった、ある時、先生がお便所に行った時、俺の友達が、あの先生はお便所になんか行かないよて、泣いて否定したんだ、どんなに彼に取って天使の様に美しく心が膨らんでいたか、だが俺は心無く、俺のお母さんも先生だが便所に行くよって云ってしまった、彼は(リュウのお母さんと違う!絶対、絶対違うんだ!)て、誰もが彼の聖域を犯す事は出来ない、何れ解る事だが、一笑出来る物では無いと思います、その時誰が説明し納得させられただろうかって? 今の俺の場合はもっと始末が悪いよ、全て解っていて、それ以上に完全に弩壷にはまってしまって、美しく、綺麗な物えの憧れと、俺の心の救いに、せめてもの償い!..何時の間に如何する事も出来なく..。」
如何して、意味もない弁解じみた事を言ってしまったのだろう?先生に良く思われたいからか?..良くは解からないが心では母親一人で育ててくれた感謝、厳粛な生き方の母への反発、自慢の母に、無条件に愛されたい、俺に振り向いて欲しい、何がそうさせたか解らない又そんな環境への反発、そんな自分への反発と葛藤、そんな時に妻の純真な心に触れ、心洗われる思いと償い、そんな複雑な思いで、なぜこうなったか、一口に説明が付くものではない、理屈では無くこうなってしまい、適切な言葉が思いつかず、少しは理解されたのではないかと思い又予約の時間もあったので..
まーぁ!良いか..「それに以前は完全な人間を求め、澄まし顔で、綺麗事を言って、手を汚した事の無い人が嫌いだった、その人達の心の奥の化けの皮を剥がして遣りたかったし、酒を飲んで愚痴や、したり顔で批判ばかりする人も許せなかった、でも今では、心や精神だけで人の営みが出来る事ではない、人は欲望と共に生きている事が、嫌と云うほど解りました、全て俺がいけなかった、..後悔はありません」
先生から、もっと否定的な冷ややかな言葉を浴びせられると思ったが以外であった「貴方は悪ぶっているが、本当は純真過ぎるほど純粋な人よ、結果的には人を傷付けてしまったが、それが解っただけでも成長したのよ、大半の人のは結婚前に逃げ出していますよ、人の心には悪魔も住んで居るのよ、人にも自分にも、許す事も覚えなければね、何時かは、折れてしまいますよ」 まるで本当の姉の様な口調でした・・何故か!この人とこれからも、これで終わらず、ずうーっと関わる様な気がした
そんな話で予約時間が近ずいたのでレストランに向かった、トニー(restaurant Tony)の看板の玄関を開け奥のカウンタまで進む「ハーイ!トニー元気だった (Hi! How are you Tony?)」「リュウちゃん、待っていたよ(How doing Ryuchan!can't wait ..Oh! How charming & sexy! Miss' behind) 後ろのミス..お嬢さん、凄くチャーミングでセクシーね、イントロデゥース(introduce)ね」
先生から「鶴見 佳子(よし子)です、今日は宜しくお願い致します」俺はこの時初めて名前を知った「今日はリュウの好きなスペァーリブをメインに私トニーにお任せコースでよろしいか?、ミス、ヨシコ」「おいおい!俺には聞かないの?」 トニーは白人とは故、逗子の海岸の太陽の下、浅黒く焼けた精悍な顔で「レディーファーストね、それとリュウの好きなオニオンローフ付けるから」 先生は笑顔一杯で「おまかせするわ、」 やはりイタりア人、笑顔でウインクを先生に送り「じゃー今日はトニーのおごりで(is to be my treat)美味しい赤ワインで乾杯ねミス、ヨシコ飲めますか?、リュウは子供で飲めないからスパークジュース」俺にもウインクを送って、車で来ているとき俺が絶対にアルコールは口にしない事をしっているからだ 「はい頂くわワイン大好きですよ」
「このバベキューリブとアペタイザーオニオンローフ(appetizer onion loaf オニオンリングをビルデングの様に積み重ねた様な物)は、以前、私とトニー達とで銀座のトニーと同じ名前のアメリカンフード店トニーレマのオジリナルメニューを私達が気に入り海辺のサーファー達に喜ばれるだろうとトニーがオリジナルレシピで造りあげた物です」
「先生にはカロリーが高過ぎ、くど過ぎませんか?」 「リュウ、大丈夫だよ、別にトニースペシャル、ボンゴレ ビアンコ(あさりのパスタ)用意するよ、それとイタリアの家庭料理でトマトとレットオニオンの冷製サラダ(トマト、オニオンは半分にし又それを八切かザク切りして、ソルト少々の水を加え、乾燥バジルと生スイートバジル少しでオリーブオイルたっぷり後は冷蔵庫で少し寝かすと良いよ)とても簡単で美味しいよ..これはね、年代物のバルサミコちょと高いが美味しいよ」 と言いながらサラダにかけてくれ「ブレッド(a piece of bread is dunk in dressing)に浸して食べて」
先生早速フランスパンをちぎってトマトサラダのドレッシングの中に浸し「ほんとう!こうするととても、美味しいわね、..ねー、トニー、バルサミコとワインビネガーと、どの様に違うの?」 トニーは俺と先生の間の席に座り、彫りの深い顔で表情豊かに得意げに説明を始めた「日本の酢と同じでお米と葡萄で作る違い、ワインの熟成方と熟成度の違い、ワインビネガーは主に調理に使うと思って良いよ、..バルサミコは葡萄果汁を煮詰め濃縮させた物を木の樽で(is wait for the grape-juice to mature inethe cask)12年以上熟成良いものでは20年30年以上熟成させ樽の香りが程よく付き主に最後の仕上げの調味料に使うと思って良いのでは、安い物でも使う前に鍋で半分位煮詰めて酸味を飛ばして使ったら良いよ」 先生は興味深げに「そうなんですか!初めて知ったわ..リュウ知っていた?」 「詳しくは、知らない、でも、オリーブオイルとバルサミコでパンに浸して食べる事は知ってたよ」 「へー、リュウの事、見直したわ」 トニーは尚も得意になり「もう一つ教えるね、ボンゴレ・ビアンコとロッソが有るよ、ビアンコはオイルソース、ロッソは、レッド、トマトソースね」 「俺、初めて教えてむらったよ、やっはり、トニーは女に甘いね」何だろう、今までにこんな気持ちを抱いた事は初めて、妬みの様な気持ちが沸き、そんな俺に驚きを感じた 「イタリアでは男皆、普通ですよ」トニーは俺を見詰めニッコリ、ウインクを送る
「トニーどうしたんだよ!いつもと..」俺は心を見透かされたかの様に恥ずかしくなった 「リュウ、嬉しいんだよ!エックス・ワイフ(ex-wife )別れた妻以来、(almost three year)三年位、初めて女性を連れてきて、しかもこんなにチャーミングでセクシーな人今度はミス、ヨシコ何時でも一人で来てね」 本当に心配し喜んでくれ、嬉しく思った、国が違っても、人には変り無く、友達は出来るものだ! 「またまた!イタリア人は女性が好きだから!奥さんに云うよ」 奥さんは日本人だ 「オオノー、奥さん恐いよ、リュウ、シークッレト、シークッレトね!..リュウ&ミス、ヨシコ、アナザーカスタム(another custom)ね、ちょっと失礼するよ」ちょうどお客さんが5,6人入ってきてトニーはそちらへ向かった
「龍ちゃんと呼んで良いですか?」突然先生が尋ねた 「ちゃん、なんて、龍(リュウ)で、良いですよ、皆にそう呼ばれていますから」 「リュウ..ねえ..これから、そう呼ばせてい頂くわ」 「頂くなんって!そんな者ではないですよ、それより、本当に、こんなに油ぽい、カロリーの高い物で..」 先生
「たまには、食べてみたかったのよ、後で運動するわ」
「先生、このBBQ・Rib バーベキュウ・リブはホークやナイフを使わず、手でガブリと行って、その方が、旨いですよ」 先生「ヨーシ!やってみますわ、何か野獣になった見たい! (小さく、ガーォ)..ウーン美味しいわ!」本当に楽しそうに 「リュウちゃんは、沢山良い友達がいるようね」ワインのせいか、立続けてしゃべりだした 「私達の医学会議が終わった後に良く高級レストランやホテルのレストランに先生達と行くのですが、少しも楽しく無くほとんど先に帰っています、こんなにリラックスして楽しく過ごした事、無かったわ」 先生はトニーのワインのすすめも有って少し酔って、来た様だ!
「リュウ、先ほどの話なんだけど、女性だって、たまには自分を忘れ、全てを忘れ、心を休めたい物なのよ!人は中々聖人君子にはなれない者よ、皆、寂しく弱いのよ、全ての束縛から解放されたい時もあるの、現にリュウ、貴方がそうだったでしょ..」 「先生!先生!..酔っているんですか? 先生も何か有ったのですか?」 「もちろんよ!私を幾つだと思っているの」 「失礼、年を聞いても良いですか?」 「かまわないわ、もう三十三よ!..運転免許証見てよ」..運転免許証をハンドバックから出して見せた..俺より五歳上なんだ、先生は俺の年知っているはずだ..「リュウは二十八歳でしょう、私、女として、もうオバサンよ」 「判りました、免許証、落とすといけないから、しまって下さい、..先生は、そんな事有りませんよ、全然若いです」..一つ位上かな?..本当に若いし綺麗で魅力のある人だなとおもった..「ありがとう、リュウに云われれば嬉しいわ」、
「リュウに初めてお会いした時、精悍で、瞳が澄んでいてキラキラ!輝いて、その瞳で見つめられ、体中の細胞が目覚め”ゾック”としたわ!」.. 「今もよ、少し肉付き良くなったみたいですが、其の目、その顔、その純粋な気持ちで私に問いかけるところ少しも変っていないわ、そのうえ人を惑わせる、その仕種、優しさが感じられ、人の心を引き付け、もっと魅力が加わり、いけない人ね!」
..本当に酔ってしまったのかな?..先生の別な姿を見られた様で、人間的で色気さえ感じ、何か先生に近ずけ身近に感じた.. 「またまた!お世事が上手いですね、酔っているじゃないですか?..此処の所USネイビー基地内のアメリカのジャンク・フード、(ファストフードの事)とにかく、カロリーが有る物ばかり食べていたから、少し太り気味、トレーニングしなければ」
「お世事なんかじゃないわよ、その澄んだ瞳で見詰られると、其の目の中にに引き込まれてしまいそう、本当ですよ!..だめだめ!随分話したわ、久しぶりに、こんな時を過す事が出来、本当に楽しかったわ、少し酔ったみたい、お腹も満腹になったし、すごく楽しかった、そろそろ帰りましょうか?」 ..俺も久しぶりに楽しく、いつの間に大分時間も過ぎていた
..「そうですね」..大声で..「トニー!」 マスターを呼び「トニー、今日はありがとう、お腹フルね!美味しかったよ、奥さんに宜しくね!」 「今日は店に来れなかったがマイワイフも、リュウの事、心配していたね、あれから(離婚)元気ないってね、早く前の様なリュウちゃん戻ったらいいねって、今日リュウの明るい顔、見れて本当に嬉しいよ、ミス、ヨシコ、リュウの事頼んだよ、何時でも来てね、待っているよ」両手を広げ先生を軽くハグ.. 「今日は本当に楽しかったです、料理もとても美味しく、ついお腹一杯頂きました、此方こそ有難う、又伺わせて頂きますわ」..
帰りの車の中で「本当に楽しかったわ、ついワイン飲み過ぎ、少し酔ったみたい、リュウ、本当に良い友達たくさんいるのね、良かった」 そんな話をしなが、横浜X大病院の付近とだけ云って無防備にも、酔いのせいか、すやすや、寝てしまった、仕事が忙しくきついのかな?この時とても、可愛い人と感じた、「病院近くですよ」 と揺り起こし 「家は何処ですか?」 「う~ん、あら寝てしまったようね、やはり、プロの運転ね、安心して..もう少し先のシーサイドライン柴口駅の近くの柴町のマンションよ私の実家は金沢区の能見台で個人病院を開いているの、病院まで交通が不便でしょう」 そんな話をする内に先生のマンションに着いてしまった
先生「今日は、とても楽しかったわ、コーヒーでも入れるわよ、寄っていく?」 「いいえ、今日は夜遅いので帰ります、じゃあ、おやすみ!」 「運転気を付けてね、..プロに可笑しいわね、其れじゃー、お休みなさい」 まーぁ 社交辞令と思いとあっさり帰ったが、何か心残りで先生の言葉通り家に寄ればよかったと思い、少し後悔したりで、たまりませんでした
それから一週過ぎ先生はもう俺の事などすっかり忘れている、事と思っていた、金曜日、先生から連絡が入り、この前は楽しかった事、お礼に今度は先生が招待しますと言はれ、本当は嬉しかったのですが、一応断りました、是非との事、じゃぁー明日土曜日に、といって受けましたが本音は、あれから一時も先生の事が頭から離れず、いっそう逢いたくなって直ぐにでも逢いたくてたまりませんでした、今までカーレースに夢中で、こんな事一度もなかったのに!如何したんだ!気になって仕方ない、ああ逢いたい!
話はレースのビジネスに戻るが、あれから思い当たるスポンサー交渉に奮闘、思案の甲斐なく、行き詰まり、このままでは絶望的だ、人に束縛される事が大嫌いだが、迷いに迷い葛藤が有ったが、レースは何としても続けたいその思いが強く、最終的に別れた奥さんのお父さんの会社が
アルミニュムのインゴット(塊)を製造している、東京駅近くの本社事務所に久々に訪ねた、後ろめたい気持ちと頼ってはならないと思いつつもレースに復帰出来るチヤンス、如何してでも逃したくはなかった、しかし、後々、俺の心に思いも因らない重圧になってしまうとわ、その時は少しも思ってもいなかった、
受付で社長にお会い出来るか尋ね、了解を得る事が出来ホットした、社長(以前の義父)見慣れた社長室に案内された、大きな社長用デスクの前に豪華な接待用カウチがセットされている「如何した!、久し振りだね、あれから元気にしておるかね?、この不況だ、きっと君が尋ねて来ると思った、娘から達てのお願い、力になって下さいと頼まれている、まあー掛けたまえ」と言い、後は何も私達の事にはいっさい触れず、カメラ、精密機械の会社やエンジンブロック、アルミホイールの会社に取引があり、3,4社、その場で何の特にもならないのに連絡取っ手頂き、私を紹介し訪ねる事を電話なのに頭を下げ了解を受けていました
俺は立ったまま、電話の話に聞き入って、今更ながら、俺は心とは裏腹に娘からのお願いと聞き、訪ねた事を後悔したが此処までして頂き、もう引く事が出来なかたった、 結婚当時は良く会食に高級ホテルや料亭等に同伴したものだ、私の会社に来ないかね?とよく誘われたが、断って来た、
「近いうちにこことこの会社を尋ねなさい、力になって頂けると思うから、元気そうで良かった、君は人より危険な仕事、充分体には気を付けて..掛けたまえ」ソファーに向かいてを差し伸べた、俺は座る事も出来ず 「はい、有難うございます..ええと..美奈子さんは?」 「心配は無い、軽井沢で絵を描きながら、自分の作品を飾る画廊とまで行かないが、喫茶店と言った方が良いかな、お手伝いさんと静かに過ごしとるよ、余り気を使わずに良いから、たまには、私を訪ねて来なさい」席を立ちながら「食事でもどうかね」 「はい、今日は私達のチームに吉報を報告したいと思いますので、すみません」 「そうか、何時でも訪ねて来なさい」 「有難う御座います」 と言って、頭を深々と下げる事しか出来ませんでした
たまらず涙が出そうでお礼も、そこそこ、あわてて社長室のドア閉めたので事務員が不振な顔で見つめていました、少し前まではお父さん、何も云わずとも、男と男、解っているだろうと語りかけているようでした、この人の家庭で育った妻だったのだと、新ためて思いましたが、俺の心には何か強烈に圧し掛かり、勝手な物で頼ってしまった、俺自身を許せなく胸に痞える後悔の思いが増して、ビジネスとして心から喜べなかった、
無論、社長の会社も大分援助して頂きました、次の日にチーム監督権マネージャーの北原と紹介された会社を回り、少しずつですが、契約を取り付け、何とかチームとして運営出来そうです。
《二度目の食事》 待ちに待った土曜日が来た、早速、朝から先生に電話を入れ、午前中は何か急に病院へ行かなければならなく午後2時半位に先生のマンション前で待ち合わせした。 それから、1時間ほど遅れ、急いで来たのでしょう、薄っすら汗をかいて
「御免なさい、急に患者の様態が変わり、処置していた物ですから、もしかして帰ってしまったかなと、思ったり心配でした..ごめんなさいね」 「大丈夫です車の中で休んでいましたから、それでもう大丈夫なのですか?」 「ええ、後は当直の医師がいますから、それより横浜山下公園前のホテル・ニュウーグランドでフランス料理と考えていたのですが、着替えもしなければ、いけないし時間もかかるから、能見台にある焼肉店でよいかしら?とても美味しい所よ」 「あ、はい、何処でも構わないです」 凄い格差だが多分俺の為を思って、時間も遅くなり、お腹も空いていると思い気楽に腹一杯食べさせたかったのかも知れない 「その方がかえって、リュウも沢山食べれるから、ちょっと、シヤワーだけ浴びたいから、部屋でコーヒーでも、飲んで待っていただける?」 セキュリティ完備の最上階、横浜、金沢八景島や海の公園の砂浜が見えるナイスビューの4LDKでリビングが広々している
「凄く、良いところですね」 先生は直ぐにキッチンに入りコーヒーをドリップして「リュウ、コーヒー好きのようだったのでブルーマウンテンを焙煎してむらったのよ、飲んで見て」 「確かに香り豊かで、まろやか、とても美味しいよ」 「良かった、じゃ、シャワー浴びてきますから、退屈だったらテレビでも見てて」 何だよ、俺を男として見ていないのかよ、と思いながらも、何か胸はドキドキ、いったい俺は何を期待して何を考えているのだ、冷静に冷静にと自分に言い聞かせ、コーヒーカップを持ち立ち上がり窓辺からの海の景色に心落ち着かせていた、向かいは千葉の房総半島が黒く霞んだ山並に真っ白い綿飴の様な入道雲を抱え、空は動物を連想させる夏雲が所々に浮かび青々と澄んでいる、目の前は海の公園が良く整備された砂浜が広がっている、海は湾内の為か波も穏やかである
「お待ち同様、さ~ぁ行きましょうか?」 ジーンズにTシャツ、ずいぶんラフ、でもスタイル抜群ピッタリ決まっている「先生は何を着ても、似合いますね、スタイルも良いし、特に足はすらりと真っ直ぐ長く、お尻の形ち、良いですね」
少し怒った顔を作り「バカ!..何云ってるの、子供のくせに、さ~行くわよ」 「でも、スタイルいいし、綺麗だから、今日のシャンプーの匂いも好きですよ」 「もう!解ったわ、ありがとう、行きましょう!」 全然子ども扱い、無視されている。
京急能見台、此処は東京にも40,50分国道16号線を挟み両脇坂になっている、静かな高級住宅がある駅近くの焼肉店はテーブル5,6、席と畳の2席、2組のお客さんがいた、私達は奥のテーブルに座った、女将さん風のおばさんが「いらしゃい、お嬢さん、ずいぶんお見えにならず、病院のお勤め忙しいのですか?お父様も近頃見えないので、今日は何に致しますか?」 「ええ、そうなんですか、父に伝えて置きます..取り敢えず、ビール、リュウ、なににするの?遠慮なく沢山食べてね」 俺はとっさに気取って 「僕は車ですから、お茶で、メニュー見せて下さい」 はい、と云って女将は奥に、
先生はにっこり笑顔を見せながら 「へー、僕ですか?」 「からかわないで下さい、先生に気を使った
のに」 「ごめんね、ここは、私達家族が私の子供の頃から来ていたのよ、私の家は、この坂の上へ歩いて5分位な所で、父が看護婦と事務員一人の小さな開業医しているの、」 「凄く近いんですね、ご両親は元気なんですか?」 「ええ、元気ですよ」 女将が注文を伺いに来た 「リュウ、決まった?何でも遠慮なくね」 「じゃぁ、骨付きカルビとロース、ユッケ、生センマイ、ご飯、サンチュで又後で」 「リュウは、生肉が好きなのね、私は石焼ビビンバと..クッパは、リュウの分と二つね」 「きっと、俺は野生動物に近いかも、何かに束縛されたりする事が大嫌いだから」
「私ね、リュウと居ると、何故か、自分になれて、落ち着くの、あれからずーうとリュウの事、頭から離れなかったの、如何してか判らないが、気になって!気になって!仕方なかったのよ」 「俺も、本当は直ぐに逢いたくて、俺もこんな事初めて、何時もなら車の事考えたら、忘れるのに..会いたかった!」
「本当?嬉しいわ!..年の事考えたら、考えられないし、私、どうかしている!、食事、誘うの止めようと何回も考えたけれど、考えるほど逢いたくなるのよ!」 「年なんて関係ないよ、すごく、若く見えるし」..とは云った者の余りにも職業の違いや、地位、立場が違う!..でも其のことには触れていないが.. 「始めは、皆そう思うのよ、現実はそうは、いかないものよ、分別の有る女がって、非難されるだけよ、でも、この気持ち、どうにもならないの!」 本当に此れほど素直でストレートに自分の気持ちを伝えられた事はない、何の気負いも無く素直に清清しくさえ思う、きっと、伸び伸び素直に育ったからと思う 「どうにもならない事考えても仕方ないよ!俺の事子供扱いして!」
「違うのよ、こんなに、悩んでいるのに!リュウたら、生意気の事云うからよ」 「俺、子供扱いされ、駄目なのかって、でも良かった、すごく嬉しいよ、自分の気持に正直になろうよ、悩んでも始まらないよ、これからそのつど解決して行こう、サァー目の前の問題から..美味しそうだよ食べよう」 ちょうどお肉の焼け具合が良い頃だったので、 少し笑顔になった 「そうね、お腹空いたでしょう、戴きましょう」
「女将にコチジャン有ったら、お願いして」 「どうして?」 「サンチュにコチジャン少し塗って、寿司くらいの大きさのご飯乗せてカルビをのせ、手巻きすしの様に食べるのが好きだから、先生もトライして」 「リュウは、食事や料理の事、色々しっているのね」 多分先生はその食べ方知っていたと思うが、笑顔で聞ていた 「あちこち、友達やレース仲間で食べ歩いたから、今わ楽しく食べようよ」 「そうね!リュウの云う通り、台無しにするところね、食べましょう、遠慮無く沢山食べてね」 深刻な話しているわりには、俺は良く食べた、女将に挨拶をして、店を後にし、
帰りの車の中で、心にも無いことを聞いた 「先生、実家に寄らなくて良いのですか?」 「今日は止めておくわ」 「じゃあ、マンションに送ります」 「まだ、話したい事有るので、今日はそのまま帰らず部屋に寄って!」 「はい、俺もまだ帰りたくないと思っていました!」 よし!期待通りになった..、ところが何故か非常に不安に襲われてしまった、きっと先生を失いたくはないと思うからだろう
部屋に戻り、ジャズを聞くのが好きなんだけれど普段は映画音楽が好きで良く聴いているから、始めに流れたのが、フランス映画の男と女のフランシス・レイのテーマ曲でお馴染みのダバダバダ、ダバダバダ~でした 「古い映画探して観る事が好きで、偶々良く行くレンタルショップで見つけて、印象深く残っていて、台詞も少なく、大人の恋愛の苦悩と美しさが良く出ていたわ、リュウも何時か見てみたら」 ずいぶん、古風だな、暫らく音楽を聴いていたのですが、
沈黙に耐えられない様に同時位に、「ねー」「あのさー」 「リュウから話して!」「俺は、いいよ、先生からどうぞ」 「リュウから..」 「じゃ、俺から、話すよ、なぜ俺なんか!、もっと先生に相応しい人がいるだろうに」 「リュウからそんな言葉が出るとわ思わなかったわ、私に相応って、誰が決めるの!、私自身が決める事でしょう」
「そう云われればそうだけど、俺もそう思うよ、ただ、迷ったり、後悔して欲しくないから、先生さっきもそう云ったでしょう、迷ってるって、俺だって世間のそう云った考え嫌いだけれど、それに打ち勝つ気持ちが無ければ、いずれ駄目になるよ、先生を大事にしたいから」 ..俺は如何したんだろう?今まで口にした事の無い言葉が、本当はこのまま感情に任せたいよ、必死に抑えているのに..先生を失いたく無い..不安が大きく広がる、こんな気持ちになった事、今までに無い、初めてだ!、
俺はこの時ラウンドマークタワーで出合った時の衝撃が解かった様な気がした、顔や体の綺麗な人に沢山、出合ったが、先生の様に、内面から醸し出す、エレガントな動作、知性や情熱、繊細な心に引き込まれて行く、今までの反動か俺の性的欲望が怖く、又傷つけてしまうのではないか、初めて感じた不安、姿形では無く、何処か母を思わせる、あの慈愛に満ちた眼差し、云い返れば、これ以上、進む事が凄く怖くなった、でも失いたくない!一体俺は如何したのだ!心とは全く違う言葉が!戸惑うばかり、やっとカーレースへの復帰が叶うのに、俺は何をしているのだ手足纏になるに決まっている、だが心とは裏腹にどんどん、のめり込んでしまう
「リュウ、ごめんなさい..リュウが病院に通っていたあの頃、私、貴方みたいに健康で自由で破天荒な人に遇った事が無く、毎日会えると楽しみになって、其のうち、弟の様になっていたの、あの頃のリュウだったら、そうするだろうて判っていたの..でも感情に此のまま流されたい気持ちもあったのよ、リュウの方がよほど大人ですね、何か恥ずかしい気持ちよ、でも..ありがとう、もう少し考えるわ」 「ごめん!俺、今日は帰ります、気持ち決めたら連絡下さい、待っていますから、今日は楽しかったよ、じゃーね」 俺は先生が怒ってしまうのでは無いか、不安で有ったが、飛び出す様に部屋を出た、
帰りの車の中、俺はどうなってしまったのか、俺の方が感情の赴くまま、したいよ.. 男の方がもっと辛いよ、でも先生の方がもっと辛いかも、女性からの、 俺ってバカだよなー.. 俺と全く違う、知性や繊細な心の動きの出来る、先生を本気で好きになったのか?!..上手く行く訳無いよ..きっと駄目になる!恥をかかしてしまったから..出来るなら失いたくない、いや本気で失いたく無い!どうして、こんなに胸が痛むのか初めての気持ち、この俺が、一体如何したんだ、何でこんなに切ないんだ!うぅ..なんなんだ!いけないと思う心が、逆に俺を煽ってしまう
まだ先生に話して無い事があった、結婚前、世の中、斜に構えていた時期で、母の愛情、家庭への反発で遊び回っていた、その頃は生きる事の無意味さ、口先だけで善人ぶって平気で人を裏切る人等、人間不信に落ち入り、何時も冷めきって人の裏側で見る事しか出来ない自分を虐め、自暴自棄になり、それも俺の弱さである事も知っていた、レースに興味を持ったのも、暴走族やグループに入らなかったのは人間不信の俺にとって、群れる事が大嫌いだった、
その寂しさを満たすため、女に溺れ、何の愛情も無くただ自分の欲望のまま、罪悪感をかんじながらも、何もかも成り行き任せ、愛しているとかは一度も口にした事は無い、其の頃は結婚など、考えも及ばなかった、そんな刹那的無責任な生き方しか出来なかった、命の尊さなど少しも感じなかった俺は、何処かカーレースに共通点を感じスピードに魅せられ、のめり込んで行った、
男の身勝手と云うより俺の身勝手、とても人を批判する立場で無いが、欲望を満たした後の空しさと嫌悪感が増すばかり、何でこんな事に無駄な時間を費やしてしまったのか、もお顔を見るのも嫌になって避ける様になってしまっても、俺の弱さ、又、何人も同じ繰り返しをしてしまい、もっと自身が傷つき、互いに傷つけ悲しく辛い思いをさせてしまった、天罰であろう、中には俺自身のめり込み悲しい別れをした事も、そんな自分が嫌いで、美しい愛を求める自身の仮面の下に眠っている肉欲やエゴイズムなのに、身勝手の話だが、益々、男の性がと繰り返す自分に精神と体の欲望のバランスが取れないままに闇の中で俺は傷ついていった
そんな時、天使の様な彼女(別れた妻)に合った、この子は絶対汚してはいけないと強く思うと言うより、俺が浄化される、そんな気持ちが働いていたのかもしれない、その結果がこれだ、そんな、トラウマの様なものも有り、今度のケースも又大事な人を傷つけてしまうのではと恐くて逃げ出したのが本音
此処まで読んで下さり有難う御座います(枯れ葉の流れ着く先 【幻:前編2】) クリックね《http://touch-me.blog.so-net.ne.jp/2010-12-11-8》是非お読み下さる事お願いまで
あけましておめでとうございます。
今年もユニークな記事を楽しみにしています。良いお正月をお過ごしください。^^
by 般若坊 (2012-01-01 10:29)
新年おめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
楽しく安全で健康な良い年になりますように。
たくさんの夢と希望が楽しめる、
み恵みある年になりますように。
by つなみ (2012-01-01 17:02)
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆
昨年中は大変お世話になりました
今年もよろしくお願いいたします
2012年がよい年になりますように!
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆
by youzi (2012-01-01 21:52)
あけましておめでとうございます。
2012年もよろしくお願い致します。<m(__)m>
by yakko (2012-01-03 15:30)
◇謹賀新年◇本年もよろしくお願い申し上げます。
そして、いつもご訪問頂きありがとうございます。
昨年同様、ま~くんさんのイラストとのコラボ小説を
楽しみに拝読させて頂きます☆
by くーぺ (2012-01-04 11:45)
遅くなりましたが、あけましておめでとうございます^^
またお邪魔しにきますね(#^^#)
by リキマルコ (2012-01-06 07:55)
旧年中はお世話になりありがとうございました。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
いつもご丁寧な訪問をありがとうございます!
とても感謝しております。
どうぞ佳い一年でありますように。
by そら (2012-01-06 20:32)
いつもご訪問&nice!有難うございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
by kumakichi (2012-01-07 10:05)
ハラハラドキドキの展開ですねぇ^^
いつもながら、タッチおじさんさまの小説と、ま~くんさまのイラストはよく合ってますね^^
今年もよろしくお願い致します。
by yoshinonoko (2012-01-07 21:34)
タッチさん、こんにちは(⌒∇⌒)ノ"
いつもご来訪有り難うございます~m(__)m
お寒い毎日ですネ。
お風邪をお召しにならないように、
ご油断なさいませんようにネ("⌒∇⌒")
また来ます。
by つなみ (2012-01-10 11:34)
ご挨拶がとっても遅くなりましたが、
あけましておめでとうございます!
今年もどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m☆
by choko (2012-01-10 14:00)
あけましておめでとうございます。
ご無沙汰してます。
今年もよろしくお願いいたします。
(もう10日になりましたが、新年のご挨拶を。)
by bamboosora (2012-01-10 15:57)
タッチさん、こんにちは(⌒∇⌒)ノ"
先日は、コメント有り難うございました~。
ほんのちょっぴり、夜明けが早いような気がします(^^)
by つなみ (2012-01-17 10:51)
先日はご訪問頂き、暖かい言葉をかけてくださり
ありがとうございました。
リュウくんは葛藤の連続ですね^^;
今後も楽しみです^^またおじゃまいたします。
by fu-u (2012-01-30 10:56)
またまたタッチおじさんのアイコンを発見してニヤニヤと嬉しくなっております(^ー゜)ノ
今日からまた寒くなっていますが、お身体に気をつけてくださいね(*^^*)
by リキマルコ (2012-02-08 15:42)
当ブログへご訪問頂きありがとうございます!
それにしても凄い長編小説ですね。
横須賀や能見台、みなとみらいなど
神奈川在住にとっては風景が浮かびます。
それと上高地のかっぱ橋。。。
従姉妹が毎年夏に山荘の手伝いに入っているので
こちらも親しみがあってよかったです。
by ガレやま! (2012-02-14 00:49)
いつもご来訪いただきありがとうございます。
タッチおじさん の更新に対して Nice の方法がわかりません。 良かったら私のブログのコメント欄にでも ご記入ください。 すみません m(_ _)m
by 般若坊 (2012-02-24 17:50)
こんばんは♪ご訪問ありがとうございます。
少し暖かくなったきましたね、でも明日からまた寒いようです(-o-;)
お身体に気をつけてくださいd(⌒ー⌒)!
by リキマルコ (2012-03-08 18:24)
当方にnice!をどうもありがとうございます。
by マイン (2012-04-12 08:11)
タッチおじさんさん、こんばんは。
nice+コメントありがとうございますv
長編の小説、すごいですね^^*
一気には中々読めないので、少しずつ読ませてもらいます♪
それでは、失礼しました。
春になったと思いきや、少し肌寒い日々が続いておりますので、お体ご自愛ください。
by キュミ (2012-04-21 00:20)
こんばんは(^-^)いつもお越しいただきありがとうございます。
春を飛び越えて初夏のような気候ですが、お身体に気を付けて楽しいゴールデンウィークをお過ごしくださいね♪
by リキマルコ (2012-04-28 22:08)
ナイスありがとうございました。
あまりの力作に簡単にはすべてを読みきれません。
また出直して参ります。
一応全て読むつもりです。レース系なら、専門用語にも付いていけますので
by masakazoo (2012-05-03 20:12)
こんばんは♪いつもありがとうございます。
暑くなり始めましたね。
でも、天気が悪くなると、肌寒い日もあるので、
まだコタツがしまえない状態です。
by youzi (2012-05-19 22:23)