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枯れ葉の流れ着く先 【幻:前編8】 「Fictoin Story」 [小説(story) Fiction]

     ☆=Story【前編7】からの続きです、是非下欄【前編8】をお読み下さい=☆ 

    《居酒屋》

大田家.jpg 翌日何時もの様に其々仕事に出かけ、久振りに何時も忙しいヨシ子が珍しく定時に戻り二人して近くの漁師の居酒屋で夕食を取る事にした、夕方六時頃居酒屋のドアを空けた 「いらしゃい!」 相変わらず女将さんの元気なダミ声で迎えられる。

 何時もと変わらず大分混雑してざわめいている、奥の席から漁師仲間であろう 「なんだ リュウじゃないか! お嬢さんも一緒かい」 「ハイ 今度柴町に住む事にしたから 此れからちょいちょい寄らせてむらうよ」 「へぇー そうなんだ」

 釣り船屋の親爺 調理場の奥でビールのコップを上げながら 「何故 此方に住むの?」 俺はヨシ子に手を差伸べ 「先生の処に転がり込んで 居候だよ!」「ほんとなの?」「ああー だから この先の先生のマンションに越して来たの」 親爺目を大きく見開き 「へー!ビックリしたな 結婚するの?」 「まぁーね」 「リュウは当分結婚しないと思っていたよ、こんなに美人のお嬢さんとかよ!」「あぁ」 俺はだまって笑顔を作り ”はい” と云う意味で首を小刻みに縦に振った 親爺は本当に嬉しそうな顔を向けて 呟く様に「良かったな!」 俺はもう一度首を縦に振った、 帳場で聴いていた女将さん 調理場のカウンターで 飲みかけのコップを置き 刺身を切り揃えている旦那に向かって自慢げに 「家のは ”そんな事無い” と言っていたが・・やっぱりね! リュウが先生を此処に連れて来た時からそんな気がしてたよ」 今度は奥の馴染みの近所のお客さんや漁師仲間に向かい 大声で 「ねー皆!リュウが結婚するんだってよ!」

 騒騒していた人達が一兜焼きjpg.jpg斉に此方を向き、一瞬静寂があり 拍手と歓声が上がった、奥の席で顔馴染みの若者達が席を空け 「よう!リュウこっちに来いよ ちょうど鮪の兜焼きを頼んだ処だよ お祝いしょうぜ!・こっちこっち此処の席あけたよ」 皆この近所の漁師の息子や釣り船屋の息子等の集まりだ。

 空いた席に照れながらヨシ子と二人座り 「じゃあ邪魔するよ」 「リュウ、凄い美人で羨ましいねー紹介してよ」

 女将さんが酒とタバコで潰れた声で 「バカだねー、そんなにガサツに聞いたら、お医者さんの先生がビックリするだろう」 客の若い漁師の一人が 「へー医者先生なんだ、俺も診てむらいたいね」 女将さん若い漁師の頭を小突き 「頭でも診てむらいな、こいつの頭は取り換えても良くはならいけどね」 別の若者 「女将に遇ったらお前も形無しだな!」 「全くだ!」

 俺は二人の会話に口を挟む様に 「まぁーまぁー 紹介するよ! 横浜X大病院の心臓の先生で佳子さん」 ヨシ子少しは漁師達に馴れてきたのか 臆する事なく「ヨシ子です これから宜しくお願いします」 女将 話しかけた若い漁師を見ながら 「それじゃあおおこぜ.jpg前は診てむらえないね お前の心臓 バカが付くほど強いから」

 若い漁師自分の胸を軽く叩いて 「それは無いよ女将さん! 俺だってこんな美人に弱いよ 心臓バクバクしているよ ほら!」と言いながら むねを擦ってみせた、 お客さん皆一斉に大笑い、

 ヨシ子は直接こんなことを言はれたことは無く少し途惑い 「まぁー! お世事でも嬉しいわ」 若い漁師 「ホントにお世事じゃ無いすよ!」 ヨシ子 「ありがとう」。

 一息ついたところで女将さん 「先生 飲みますかー?」 「ええ ビール頂くわ」 女将さん 「先生はビールと リュウはウーロン茶で良いよね」 「あぁー 腹が減っているんだ あと何か煮付けと刺身それに飯お願い」 女将さん 「リュウは生臭い物が嫌いだから・・それじゃぁー オコゼの煮付けと刺身カワハギが有るから見繕うね」、

 ヨシ子 若者たちを見回して 何かを感じたのか 少し大きな声で皆に向かって 「貴方達 健康診断受けているの?」 釣り船屋の若い船頭 「俺なんか病気になった事無いから ・・でも先生だったら診てむらいたいよ」 またも皆大笑い!

 ヨシ子はもう雰囲気に慣れたのか 臆する所も無く 「皆なさんもそうよ 診断受けた事なさそうね 健康だからって安心出来なのよ、本当に安心出来るか調べて下さいね 突然倒れてからでは遅いのよ、病院紹介するから皆さん行くようにね!」 其の後、皆とそんな話しと冗談を言鮪すきみ.jpgいながら 楽しく呑んだり食べたり楽しいひと時を過した。

 支払い行くと 女将さんが俺の肩に手を置いて 「今日はリュウの結婚祝いだから料金は要らないよ」 俺は困った顔をして 「だめだよ ちゃんと取って」 女将 可愛い者を見る様に目を細め、片に置いた手を前後に力強く揺すった 「素直じゃないねー お祝いだから良いんだよ」 「はい そうですかありがとう御座います」

 ヨシ子は俺に ”本当にいいの?” と問いかける目で見ている、俺は心で ”うん” と呟く様に小さく頭を縦に頷いて見せた、 ヨシ子は安心した表情で女将に向き直り 「かぶと焼きやオコゼの煮付け珍しい物ばかり とても美味しく頂きました、今日はご馳走になりありがとう御座いました 皆さんも此れから宜しくお伝え下さい」 女将 嬉しそうに 「先生も此れに懲りずに時々来て下さいよ、帰り気を付けて」 その後 真っ直ぐ家路に着いた。

 俺達は部屋で寛ぎながら、この部屋に俺の荷物を運び込む日を考えて 「ヨシ子、8月8,9日モトギのレースまで何も予定が無いから 引越しや住所変更の手続するよ」 ヨシ子も考えていたのだろう 「そうね リュウの住所変更時に結婚届一緒に提出しましょうか?」

 「結婚式と一緒でなくて良いの?」 「両親と相談したり 式場やまだまだ時間が要るから、ちゃんと何か良い日を選んで先に届出をしましょうよ」 「うん!そうだね、俺の誕生日3月17日だから7月17日にしょうか?」 ヨシ子は驚いた顔をして 「えぇー本当? 私の誕生日も1月17日奇遇じゃぁない!そうしましょうよ、リュウが絶対忘れないから」 「え!本当なの?」 「本当よ!リュウは私の誕生日に興味無いのね」 「嫌味かよう?」 「そんなんじゃぁ- ないわよ! 年上だから 気を利かして聞かないで いてくれると思っていたわ」 「そんな事 気にしてたの? 関係ないよ!」 俺は他のチームから話しの有った契約の事も気になり

 「じゃぁー1月と3月の17日 語呂がいいね 17日に決まりだね・・それとねぇー来年のレースの契約、他の一流チームから話があったけれど 如何するか迷っているんだ? 今度のレースの時に返事聞かれると思うの 今までと違って全部チームがやってくれると思うが やはりスポンサーは個人に付ける事が多いから、でも次へのスッテプアップは見込めると思うよ それに契約金も桁違いと思うし・・・でもーね?」

 ヨシ子はやっぱり 俺が相談すると思っていたのだろう 「リュウの長年の夢が見え始め 手を伸ばせば届く処にいるのに迷って!・・ 自分の心の中では決まっているんでしょう? なのに迷うなんってリュウらしく無いわね」 「・・・」 俺は黙って答えを求める目付きでヨシ子を見守った 「私に相談して ”他のチームの方が良いに決まっているでしょう 移りなさいよ” って言われ それで表彰台に乗っても リュウは心から喜べないでしょう」・・” その通りだよ! なんだ 解かっているじゃん ”・・ 「・・・」 と思いながらも返事に迷い 更にヨシ子を見詰めた。

 俺の問いかける表情に答えるように 「解っているわ、リュウが恩有る人を捨てる事が出来ないで迷っている事・・こう言う答え聞々たかったのでは? ” リュウには そんな事出来ないから 今まで通りやりなさい! ” って・・そのとうりでしょう!」

 俺の考え手に取る様に解かっている、まいったな! 「多分皆も不安に思っているから早く結論出さなくては、もちろん俺には世界が望みだから 少しでも上を狙いたいよ・・だからと云って必ずしも成功出来るとは限らないし、それに北原監督に拾われたから 今の俺が有るし・・・うん此れで 決まった! 今まで通りのチームでいくよ!」

 とは言っても俺の中では揺れ動いていた だが何れ何処かで活き詰まる様な予感もある だからこのチームを選んだのかもしれない? 既に この時からと云うより俺の生き方が 俺の運命も少しづつ軌道を外れ初めていた事を知る由もなかった!

 ヨシ子は俺の座っているカウチ(couch)の横に立ち俺の肩に手を置いて 力付ける様に軽く押した 「リュウなら何処のチームでも大丈夫と思うよ、・・でもね私良くは解らないが、この世界余ほど確りしたスポンサーがいなければ生き詰まるような気がするの」・”勿論 痛いほど解っているさ!”・俺は心で呟いた「兎に角 リュウが後悔する事無く納得する様にしたら良いんじゃない」 確かに鋭い指摘だが俺には  ”じゃぁーさようなら”  とはいかないよ。

 ヨシ子は両肩を揉むようにして 続いて俺にたずねた 「それでね話違うけれど、前に話した事あるでしょう 私の患者の子供 海斗(カイト)君と言うのだけれどレーサーが夢なの、それで一度リュウの出るレース如何しても見させて上げたいと思っているのだけれど どうかしら?」 「どうかしらって そんな事して良いの?」 質問したがドクターに愚かな質問だ 訂正するように・・「俺はかまわないけど?」

 ヨシ子真剣な表情で 「海斗君 拡張型心筋症なの、心臓を提供してくれる(レシピエント)ドナーが見つからない限り 今の医療では直る見込みが無く体が成長する分 心臓に負担が掛かるの、今もどんどん悪くなっているの、・・それでね 部長には私が付いて行くからと話し 検討していただき、精神的に生きる意欲が生まれるかもしれないとのことで 両親にも了解得ているから」

 俺を覗き込みヨシ子の悲願する様な目と言葉から、何時もと違う何かを感じ 「決勝レースだけ見るだけだったら 時間的にも余り負担がかからないと思うけれど 片道車で約3時間半掛かかるよ、ヨシコがそんなに言うには訳が有ると思うから手配するけど」 ヨシ子は俺の両肩を揉む手に力が入り 俺は思わず 「イタタ・・痛いよ!」 と発してしまった、

 「あら!意外と凝っているのね・・海斗君の事ありがとう、車なら大丈夫よ 酸素吸入も点滴も出来るから、リュウは本当に優しいのね!これであの子と約束守れるわ」・・「あの子 車が好きで何時も私に話すのよ、それで先生の婚約者はレーサーなのって言ってしまって・・それであの子如何してもリュウを応援したいって聞かないの」・・「それに あの子の母親の方が私の中学から高校大学時代の親友なの、彼女の話では夫は商社マンで海外を行ったり来たりで 余り海斗君に会いに来ていないの」

 「ふーん」 「それでね お母さんが ”出来たら是非見させてやって下さい” ですって!」

 「解ったよ! じゃー明日病院へ行ったら その海斗君の洋服のサイズ聞いといて」 ヨシ子は不思議そうに俺を見て 「どうして?」 「うんプレゼント、俺達のチームのブルゾンでもと思って」 「リュウて だから皆好きになるのね! きっと喜ぶわ」 

 ヨシ子は結婚式も嬉しいだろうが、もっと自分を向上させる授業を受ける事と今の仕事を大事に思っていると思い、式の事はヨシ子に任せようと思った。

 ヨシ子は楽しそうに話を続けた 「それとリュウが居酒屋に連れていった意味解かったわ、今まであの人達の様にガラ悪い人達と話もしないでただ敬遠して居たけれど、皆素晴らしく本当は優しく愉快な人達 これからはああいう人達のお話も真剣に聞けるわ」

 「そうだよ皆良い連中だから解かってくれると思って」 「それと 高級料理だけが美味しい味では無いって、漁師の経験から新鮮さと其の物の旨さを引き出しているよね」

 「本当にみんな美味しかったわ! リュウって不思議? 色々な層の人と知り合いね、きっと私 鼻持ちならない人なっていたのかも、本当にリュウに逢えて良かった」 「それはヨシ子自身が変えようと思っていたからだよ、俺だってヨシ子ともう離れられないよ」 これは本音だ 「本当?嬉しい!」 本当にヨシ子は気持ちがいい 素直で率直である。

 翌日 会社(ベース)から監督に電話連絡し、ヨシ子との結婚 籍だけ今月17日に入れる事 又 心臓病の子供を次のレースに ツインリング茂木に連れて行きたい事 それに子供用のレーシングスーツ(オーバーオール)とジャケットをサイズは後で知らせるから用意して下さいとお願いした。

 監督の改まった声で 「リュウ 話は違うが・・解かっているよ 他のチームから誘われて居る事 如何する?」 「ええ!知っていたんですか?・・・今まで通り監督のチームでやらせてください」

 監督の声が一段と高まり 「俺のチームで本当に良いのか? お前の夢叶えられ もっと上の海外レースにも出るチャンスだぞ! 俺に遠慮は要らないよ 本当にそれで良いのか?」

 俺は冷静に 「ええ もう決めましたから、それと他のチームはビジネス化していて 少し成績が悪るければ直ぐお払い箱だから、監督!今ままで通り お願いします」

 「そうか解かった お前の強情で頑固なところ知って要るから、何時でもこだわらずチャンス有ったら良いんだぞ! 念を押すようだが本当にいいんだな!」 「はい!宜しくお願いします」 だが 言い知れぬ予感に襲われた これが最初の誤りだったかもしれない!

 監督 「・・子供服手配しとくよ、それからヨシ子さんに結婚おめでとうと伝えてくれ」 「有難う御座います」 

 それから俺の母にも連絡を入れた ”17日に籍だけ先に入れる事を” 母まったくもうと言うような声で 「ヨシ子さんから連絡ありましたよ、お前が頼りないから本当に確りしなさい!」 相変わらずだ 「もう同じ間違いを二度とするんじゃあないよ お前にはもったいくらいな人だよ、大事にしなさい」 の返事だった。

 その日の夕食前、ヨシ子から 「両家のお母さんに入籍する事、連絡しましたから、それに私のお母さんがリュウに何時でも夕食にいらして下さいと云っていましたよ、・あれから何か気に入ったみたい」

 俺は肩を竦めテレた様に 「ありがとう、俺もお母さんに連絡したらヨシ子から連絡があったって、宜しく云ってくださいだって、それと海斗君のサイズ分かった?」 「今六歳だけど、本当は学校に入れなければいけない年なの、やはり成長も遅く五歳位のサイズで良いみたい」

 「判った直ぐに連絡するよ、それと監督に今まで通り頼みますって話したよ、それと俺達入籍する事伝えたら、監督がヨシ子さんに  ”おめでとう”  宜しく伝えて下さいだって」

 ヨシ子は心配そうに 「大事な契約の事、電話でいいの?」 「其の方が良い時もあるの、長い付き合い感情が入らない方が良い時もあるの、俺の言葉で全て察しているよ」 「それなら良いが?」 全て間違った判断では無かったが、ここでも運命の歯車が回り始め一時も時間が戻らない事を後々痛感する。 

 ヨシ子との連絡後直ぐにスクール事務所に電話を入れた、久美ちゃんの気取った少し高目の声が聞えた 「ジャパン・レーシング・アカデミーで御座いますが」 「ああクミちゃん、監督は?」 久美ちゃんは途端に普通の声になり 「なんだ!龍崎さん?たった今!監督帰りましたよ」 「なんだは無いよ!・・それじゃぁ、監督に明日でも伝えてよ子供のレーシングスーツのサイズ五歳用でお願いしますって」

 何故か久美ちゃんの声が明るく弾んで聞こえる 「その話聞いていますサイズ五歳用ですね、明日メーカーに注文出しておきます、それと龍崎さん家のチームに留まって下さる事聞きました、本当に嬉しいです!」

 「まぁーな、これからも宜しくね、次のレース8月9日朝一にもう一度マイクロバスで家のヨシ子とそのレース用スーツの体の弱い子の母親と俺、四人ですから迎えに来て下さいと伝えてね」 「ハイ竹田に伝えておきます」 「それじゃぁ頼んだよ、それと竹田君と旨く行っているの?」 「ええ、おかげさまで仲良くしています」 「良かったね」 「はい」 「じゃぁー又ね」

 電話が終わるのをまった様にヨシ子が話しかけてきた 「リュウて本当優しいのね、有難うきっと海斗君喜ぶわ」 「当日まで海斗には内緒だよ」 「解ったわ、リュウレース前に病院で海斗君に一度合って頂ける、海斗君のお母さんにも?」

 「いいよ、それと今度金曜日17日半日に成らない?結婚届け提出の日、後二人だけで何所か食事どう、それともう一つ土曜日、両家で集ろうよ、確か能見台に予約制の懐石料理の店、確か電話番号控えて有ると思うから予約入れておくよ、どう?」

 「良いわね多分大丈夫よ、スケジュウル調整するわ、お母さん達に連絡しなくては、じゃあ私何人になるかお聞きします」 「今回の会食費用俺達の結婚の為だから 男の俺がレースの契約金の方から出すよ、少しはカッコ付けたいから 此れも必要経費かな?冗談だよ 両親に伝えてね」「でもそれって リュウの活動資金でしょう?困るじゃぁーない?」「うん でも今回はそうするよ」

 「本当にいいの? そうするわ、リュウて何処からそんな考え浮かぶの感心しちゃう」 「ヨシ子からに決まっているでしょう、ヨシ子ならきっとそうすると思って」 「まぁー!調子いいんだから、本当はお母様からでしょう?」

 「まぁね、これ全然違う話だけれど前から思っていたの、朝や夕食後の皿洗い俺がするよ、ヨシ子に少しでも勉強する、時間作って遣りたいから」 ヨシ子が突然抱き付いて俺をソファーに押し倒して来た 「リュウて、どうしてそんなに優しく成れるの?ヨシ子駄目になっちゃいそう!」 「ダメになったら困るよ、夕食まだだよ!お腹空いちゃた」

 ヨシ子は俺の額を突いて 「リュウは良いとこで、本当!お腹なんだから、直ぐ仕度するわ少し待ってね、 リュウ!心から愛しているわ!・・あっ!それに食器洗い機買いましょうよ?ね」 「良い考えだね俺も賛成だよ、それに腹が空いては戦が出来ぬって言うでしょう・・この頃のヨシ子の料理凄く美味しくなったよ手早く応用も良いし栄養バランスも良いよ、あったっま良い人は違うよ!」

 「リュウ、おだてないでよ!」 「本当だよ!」 「ほんとうに?・・嬉しいわ!フッフ・・男は戦なの?・・ラブ & ピースでしょう!急いで仕度します」 俺は何って素直で率直で可愛い人だと改めて思い笑って誤魔化した。 

 ヨシ子は夕食の支度をしながら 「リュウ、今朝楽しい事あったのよ、通勤途中と柴口の駅で、おじさん達に、先生おはよう、お仕事ですか?て皆に笑顔で言われたの、私の心も何だか明るくなるの」 「あぁ、きっと昨日居酒屋に居た人達と思うよ」 「ええ、私も何処かでお会いした人達と思ったの、何か毎朝楽しみになりそう、これもリュウの御蔭ね」。

やはり!.jpg 17日金曜日午後、横浜金沢区金沢文庫の市役所に結婚届けと住所変更の届けを提出して、役所の係員が事務的に 「お姉さんが代理ですか?」 俺は不満そうに 「生年月日を確認して下さい!」 係員書類に改めて目を通し、慌てて 「これは、大変失礼しました、おめでとう、御座います、お幸せに!」 バツが悪そうにお辞儀を繰り返していた。

 手続を済ませ役所を出、ヨシ子は自分に言い聞かす様に呟く 「やっぱり、年上に見えるのかしら?」 それほど腹は立てていない様子 「俺が、子供の様に見えたからだよ」 「リュウ、本当だから気にしなくても良いよ、でも余りにもあっけ無いね、此れで結婚!」

 「俺もそう思うよ、少し花火のクラッカーでパンパンパンと派手に、あそこに居る受付の人達だけでも派手に、おめでとうと言って欲しいよね、そんな祝福出来ないかなー、余りにもお役所仕事でセンス無いね、俺だったら受付に ”結婚祝いされたい方¥200円で受け付けます” それに離婚届けの書類もお渡ししますって張り紙でもするのにね」 「こら!リュウ少しおちょうしに乗り過ぎよ」 「だよね!・・・所詮紙切れだからね、まあ俺達の心の有り方だから」 

 「最近リュウに押されぎみ私の方が子供ね、私少しお金の事でイライラしていたの、其れなのにリュウ何にも云わずに受け止めてくれて嬉しかった!」 「良いんだよ解っているから、それと言い忘れたがあの契約金 余残っていないが結婚式に使ってもかまわないよ ヨシ子に全部任したんだから どう使おうとかまわないよ」

 「ありがとう 出来たら私達の子供の為に使いたいの」 「まだコウの鳥が来ないのに 今から余り子供を甘やかす様な事は良くないよ 少しは俺達の為に使おうよ」指輪.jpg

 気を取り直し、横浜元町まで足を伸ばし宝石店で二人の結婚指輪とペンダントを奮発し、プラチナシルバーペンダント.jpgにダイアを大小埋め込んだデザインの良いものを選び、内側にxx.07.17 for ever love Y&K(XX年7月17日 永遠の愛を ヨシコ&ケンジ)を刻んで頂き発注した。

 俺は宝石や指輪に興味はなく女性はなんでこんなに喜ぶのか解らない? 特に指輪は基本的に女性は男を縛り付けたいのか? それでも戒めを抜け 男は自由を求めさ迷いたいからか? 子孫繁栄の永遠のテーマ 不可解で解からない!?。 

 中華街に足を伸ばし二人で ささやかな祝いの食事をした、ビールと烏龍茶で 「結婚おめでとう、ヨシ子と俺の幸せの為に乾杯!」 ヨシ子がコラーゲンたっぷりの鱶鰭 ジュワジュワたっぷりの小籠包 海老チリ等をオーダーした、ヨシ子は今日一日本当に楽しそうに過し今最も輝き弾んだ声で嬉しそうに 「乾杯!私 お姉さんに見られるからコラーゲンで若返らなければね」 「十分若いし綺麗だよ」 「誰に云はれるよりリュウに云はれるのが一番嬉しい!」

 楽し祝いの食事を済ませ 帰りに俺の本牧のマンションによりデスクトップのPCやオーデオ関係を運んだ、空いたマンションは母にお願いして 何れ誰かに貸し家賃収入を得よと思っている。

    《海斗君との出会い》

浩子です.jpg 土曜日の朝、約束どおりヨシ子の病院にレーシング・チームの赤い帽子を手に海斗君に会いに出かけた、ヨシ子の友人の海斗君の母を玄関の待合所で暫らく待っていた、間もなく、海斗君のお母さんが見え 「始めまして、長崎(旧姓大平) 浩子です、此の度は自動車レースに連れて行っていただけるそうで、宜しくお願いします」 

 綺麗だ!やはり類は類を呼ぶではないが、中々の日本的美人で賓がありそうなうえ、妖艶な雰囲気を漂はせている、きっと着物が似合いそうだ 「此方こそ、よろしく」 ヨシ子は白衣を纏い俺に見せたあの甘える様な笑顔は消え澄まし顔が少し冷たく見えた 「さぁー、行きましょう」 俺は咄嗟に思いついた考えを説明した 「ねぇー二人とも、ちょっと待って!海斗君の部屋番教えて俺だけ先に行くよ、暫らくしたら来てよ、俺が誰だか海斗君に当ててむらうから」

 ヨシ子は苦笑した顔で 「リュウたら子供みたい、行きなさい海斗君驚くかな?私、浩子と話したい事ありますから」 とヨシ子は浩子さんを促す様に見た、浩子さんは表情を崩さず俺に了承の意味だろう、そっけなく 「私達におかまいなく、お先にどうぞ」 その、そっけなさが妙に俺の心をそそる!

Cap.jpg 俺は海斗君の病室の前で、帽子を解る様に手前に持ち直し部屋のドアを空けた、一番奥の窓側のベッドであろう一目で判った。

 帽子をチラつかせベッドの横に立ち 「オッス・・・海斗1.jpgよ!海斗君だね」 不振な顔しながら、暫く沈黙をし俺を見詰めた、直ぐに俺の持っている帽子を見つけ、緊張した顔が綻び 「はい!・・鶴見先生の・・龍崎さんですか?」 たぶん俺が来る事を聞かされていたのだろう 「そうだよ 正解!」 海斗の笑った顔が何とも可愛い 「だと思った、レーサーですよね、嬉しいな!」 余ほど車が好きでレーサーに憧れていたのかな?

 俺は帽子を差し出し 「これ、俺のレーシング・チームの帽子だよ、ほら・・海斗に!」 海斗は万遍の笑みを浮かべ 「龍崎さん有難う」 海斗の返事が余りにも仰々しく子供らしくないと思い 「なぁー俺も海斗と呼ぶから俺の事、リュウで良いよ」 「はい、解りました」 まぁーそのうちなれるか?。

 ちょうどヨシ子達が部屋に入って来た 「ママ、これ・・リュウ・・リュウから頂いたの」 浩子俺をチラリと見て 「なんですか!呼び捨てで、失礼ですよ」 俺は慌てて浩子さんを制止するように 「いいんです、私がそうしてくれと頼みましたから」 初めて海斗に会った時、死んだような目で俺を見詰ていたが俺がリュウだと解ると、途端に目に輝きが増した。

 この部屋の空気が何か淀んで居るようだったので、ヨシ子に向かって 「外の屋上に連れて行って良いの?」 ヨシ子、少し考える素振りで 「少しだったら」 ヨシ子の返事を聞いた俺は早速海斗に 「じゃぁー、海斗 行こうか?」 嬉しそうに 「ハイ!行きたい」 と目を輝かせた、

 車椅子をベッドの隣に置き、母親が手を貸そうとしたが海斗はその手を払いのけ 「自分でやるから!」 そんな、事を言った事は始めての様で、浩子さんとヨシ子は顔を見合わせて肩をすくめた、海斗は車椅子を支える手が震えながら、それでも自分で座り込んだ、車椅子を押しながら 「よし海斗、大丈夫か?行くぞ!」 「はい、龍崎・・リュウ」 俺を呼び捨てにすることが、慣れないようで照れ笑いを浮かべ、それでも嬉しそうに俺に振り返る 後からヨシ子達も付いて来る。

 俺達は屋上に上がり、初夏の日差しの中、東京湾を挟んで千葉房総半島の山々の上に真っ白な入道雲が見る、爽やかな海風が時折吹き抜け、左手に八景島が見え手前には青々した海が広がっている 「海斗、気持ち良いだろう?こうやって、鼻から息を吸い込み口から思い切り吐いてごらん」 俺がやって見せた 「はい」 と答え 胸一杯湾からのそよ風をスーツと吸い込む 「リュウ気持ち良いね、あの八景島の水族館に行った事有るよ

 「そうか、楽しかったか?」 「はい」 「今度はレース場まで道乗りが長いぞ!頑張れるかな?」 「はい リュウ!」 俺はアメリカ兵の間で流行っている握手で こぶしを作り 互いに相手の握った拳を上下にトントン叩き親指を立て握り合う、挨拶の仕方を繰り返し教えた、

 車椅子.jpg「よし!海斗はレーサーに成りたいのか?海斗の車椅子をレーシングカーの様に走らせるぞ、確り捕まっていろ!いいな!」 「はい リュウ」 俺は車椅子を押し走りだした 「リュウ 恐いよ恐い!」 海斗は驚いて頭を伏せ 目を閉じてしまっている 「海斗 顔を上げて確り前を見ろ!レーサーになれないぞ!」 泣きそうな声で少しづつ顔を上げ恐る恐る目を開いた 「はい リュウ前を見ています」 「ようーし!楽しいだろう?」 暫らくして海斗は元気に 「はいリュウ もう大丈夫です!ハァハァハ・・楽しくなりました、ねーリュウ もっと もっと 早く!」。

 屋上を一周してヨシ子達の処へ帰った、何か険悪な雰囲気!・・ヨシ子からいきなり平手うちが俺の頬に飛んで来た 「パッチーン!」 俺の左頬に見事に決まった、俺はとっさに避けようとしたが、あえて頬で受けたが 衝撃の強度で やはり加減しての事と判る、それは浩子さんの怒りを露わにした佇まいと刺すような目を感じたからだ 「リュウ!何と云う事をするの海斗君は心臓の病なのよ!」 ヨシ子の怒りの声が響いた、

 ヨシ子の立場も解かっていたから、ちょっと俺のやりすぎかなと思い 「ごめん、そんなに様態が悪いと思は無かったから」 とだけ俺は弁明した、 浩子さんの鋭い眼差しで俺を睨み 「なんって事する人なの!海斗に何か有ったら・・もう、貴男の様な人には頼めません!今回の話無かった事にして下さい!」 叱られているのに不思議なものだ、浩子さんの怒りに震える目付きに何かゾックする感覚を覚へ引き込まれる!・・俺って変だ! 慌てて目を逸らし神妙な態度をとった、

 怒りと蔑みの目で睨む様に俺を見ている、浩子を見てヨシ子 「浩子さん御免なさい!、私も迂闊だったわ、リュウに詳しく病状伝えてなかったの・・・あなた!リュウ下の玄関で待っていて下さい!」 寂しそうにしている海斗に分る様に俺は小さく手の平だけで手を振り、浩子さんに向かって 「驚かせ、危険なことをして失礼しました」 と云って頭を下げ病院の玄関ホールに向かった。

 2,30分位だろうか暫らくしてヨシ子が降りてきて 「リュウごめんね、痛かったでしょう、私は医師ですから少しでも安全を求めなければ成らないの」 「解かっているよ、だから避けなかったの、真ともに受けたから痛かったよ!」 ヨシ子は皮肉ぽく 「チュウー、しましょうか?・・浩子さんに冷静に説明したのだけれど、浩子、怒らせちゃった・・・アーァ!リュウ一旦帰りましょう」 今日は両家の夕食会だ、二人で家に戻った。

 俺は少し悔しさもあって 「あれじゃあ、安全より、もう海斗は死んでいると同じだよ!あれは駄目、これは駄目、可愛そうに、ただ恐怖に慄き死を待っているだけ、どんなに恐いか、大人だって耐えられないよ、それでも、海斗は親に心配掛けまいと懸命に良い子ぶっているのだよ、俺は多少の犠牲を払っても生きる喜びを知って欲しかった、レースの話で海斗の目が輝きだしたんだよ、ヨシ子が俺の目に感じた様に、俺解かったよ子供なんか嫌いで面倒だと思っていたよ、でも海斗に会ってキヤキラ輝く目を見て可愛い奴だなって」

 「リュウはそんな処、不器用だから人には中々解かって頂け無いのよ、実は私も医師として迷ったけれど、同じ考えだったからリュウにレース見せてってお願いしたのに、ごめんね、しかたないわね」 「俺も悪かったよ、そんなに心臓悪いとは知らなくて」 「もう、いいのよ忘れましょう」。

 懐石l.jpg夕方、能見台の懐石料理店で両親の会食会を行い、俺の処は母と兄夫婦、ヨシ子の処は父、母、看護婦、受付嬢、皆さん集った処で俺は 「えー今晩は、今日は両家の顔会わせと云う事で、宜しくお願いします」 着物姿の母は息子の俺の目から見ても知的で美人決まっているなと思う、その母、俺を手のひらで示し 「挨拶もろくに出来ない息子ですが、結納も兼ね末永くお付き合いお願い致します」 と丁重に頭を下げた。

 こんな挨拶から始まり母は熨斗袋を出し、俺は慌ててそれを制した ヨシ子は直ぐに察して 「お母さん、それはもうリュウいいえ健司さんより頂いておりますので」 母は俺を見て 「健司は何も話さないから、でも此れは私から佳子さんに」 ヨシ子が俺を見つめた 俺は相槌をする様に首を立てに顔を振り 「お母さんの気持ちだから」 ヨシ子恭しく 「では、有りがたく頂きます」 後は和やかに話が弾んでいた。

 特に俺の母とヨシ子のお父さんが話が合い、ヨシ子の母は兄と話が盛り上がり、俺は鶴見医院受付の奥村さんと、コンピューターの表計算やアプリ(application)色々なプログラム等、医院に合せ制作する事等約束し無事、顔合わせも終わる頃、

 ヨシ子の母が誰とでもなく愚痴をこぼす 「一人娘ですから、鶴見を継ぐ養子が欲しかったのですがね」 ヨシ子慌て義母を征し 「お母さん!話済んでいるでしょう」

 お袋は気を使ったのか、俺を睨み、義母に加担する様に 「健司さえ良ければ、本人の考えですから」 俺は慌て 「これから、なるべく伺います、・・・もう入籍終わっていますし」 本当は医者の家を継ぐそれなりの人が望みだったのだろう、ヨシ子はその場を何とか纏め一段落付き、ヨシ子と俺は、思わずほっとした。

 家に帰りヨシ子、先ほどの熨斗袋を出しながら 「リュウ、お母様にちゃんと言ってないから、これ、返して下さいね、お願いよ、お母さん(ヨシ子の母)の事ごめんなさい」 「いいんだよ、解っているから、お袋、何時までも駄目な子と思っているから、俺もビックリだよ俺から返すよ、安心して、それにヨシ子のお父さん何も言はなかったけれど、鶴見家跡取りが居なくなるから、俺って何も考えずバカだよな」 「リュウもう止めましょう、リュウは養子なんて嫌でしょう、それ以上言わないで」 「ごめん」 俺は変だなと思いながらもなんとなく謝っていた。

 此処のところ慌ただしく過ぎ、明日の休み(日曜日)ゆっくり家で休み、夕食は俺がパスタとラムチョプ作る事にした、初めての俺の料理の披露だ!力が入りそうだ。

 日曜日の朝、食事中にヨシコの携帯が鳴り、海斗の母浩子さんからだった 「昨日は御免なさい、海斗が昨日のお昼から食事を全然、取らないで困っています、海斗の言い分は龍崎さんに会うまで絶対食事を採らないって・・お願いですから一緒に病院まで来て下さい、お願いします」・・「との事だから、リュウ、いやでしょうが一緒に行って下さる?ごめんなさい」 と電話の説明した、

 「ヨシ子が謝る事ないよ、行くからと連絡して、それから初めに海斗と俺だけで話させて・・問題ないでしょう?」 ヨシ子は心配そうに 「信用しているけど、乱暴な言葉使わないでね」 「それくらい解っているよ!」

 二人は慌ただしく食事を済ませ、病院に駆けつけた、玄関に海斗の母、浩子さんが落ち着き無く行ったり来たりオロオロしながら待っていた、

 俺を見つけると慌てて走りより 「先日は・・」 と浩子さんは深々と頭を何回も下げた、俺は無視する様に 「そんな挨拶は良いから、俺が呼ぶまで海斗君の部屋に入らないで!男同士の話だから良いですね!」 浩子さんが戸惑いながらヨシ子に救いを求める目付きで見つめ、ヨシ子は頷き大丈夫よと言う様なしぐさをする、浩子は不安そうに 「はい、解かりました、宜しくお願いします」 と深々と頭を下げた。

 俺は部屋まで行き二人にドア外で待つ様に告げ、ドアを空けベッドの脇に立ち海斗に同情や憐みの態度はとらず 「ヨウ!海斗どうした?、何時までガキの様な事しているの?・・・うん・・何があったの?」 質問しながら海斗を覗き込んだ、 海斗は泣きそうな顔を堪えて 「だって!リュウさん」 俺に同情を求めた、俺は無視する様に 「だってリュウさん、じゃーないだろう、リュウで良いと言ったでしょう、それに ”だって!” は嫌いだぞ!ハッキリ云えない人はもう付き合わない!如何したいんだ?」

 海斗は俺を怒らせてはいけないと思ったのか、今度はハッキリと 「ハイ!リュウ僕は・・リュウとレースに行きたいのに!」 「そうか・・ありがとう、俺も海斗にレース見せたいよ、楽しみにしていたんだ・・それで?」 俺は海斗の意思の有るハッキリとした、要求を待った、海斗は涙目で泣きじゃくりながら 「ハイ!リュウと見に行きたいです!」 「わかった!」 今度は声を和らげ 「海斗、そんな事をしてお母さんに心配掛けて海斗も悲しいだろう?」

 海斗は俺の目を探る様に 「・・はい・・」 「だったら、お母さんに海斗はレース見に行きたいとハキリ言はなければいけないよ、そんな弱い子はレースやっても負けるし、レースやる資格ないよ、何が有っても諦めない最後まで戦うの、其れがレースだよ分かった?強くならなくてはレース出来ないぞ!約束だよ」

 海斗は目を輝かせて 「リュウ、解った解ったから!約束するから」 「そうか解った!お母さん呼ぶから、ちゃんと話せるか?それと、ご飯食べなければ元気になれないぞ、レースだって出来ないから、ヨシあの握手できるか?」 グートントン、グー親指たててから 「よし、いいね、お母さん呼ぶよ」 確りした口調で、こっくりしながら 「はい、分かりました」 俺はドアを空けヨシ子と浩子さんを招き入れた。 

 海斗お母さんの顔が見られず下を向き 「お母さん、僕、リュウのレース見に行きたいの、行かして下さい、ご飯ちゃんと食べ元気になるから」 ・・浩子さん、海斗の手を握りながら 「はい、分かりましたよ海斗はそんなにレース観たかったのね、お母さん気が付かないでごめんなさい、行きましょうね、龍崎さん宜しくお願い致します」 深々と頭下げた、

 俺は海斗に向かって、親指を立て 「分りました、海斗はレーサーになるだって!な、海斗、ちゃんとお母さんの顔を見なさい」 明るい声で俺と母の顔を見ながら 「ハイ、頑張ります」 また海斗の目が輝いていた俺は心に感じたこの笑顔だよ! ヨシ子も海斗の輝きの有る顔を見て、緊張の解れた顔で 「ほっとしたわ、良かった!」

 浩子さん緊張した面持ちで俺に向かい 「海斗があんなに逆らった事初めてです、私の気持ちだけ押し付けて、何も見えなく成って、海斗の気持ち全然、解かろうとせず、龍崎さんにご迷惑かけて済みません」

 嘗ての俺も前の奥さんで、そうだったから、自分の立場で物を考え、其れが自分にも相手にも正しいと思い込み、肝心の相手の心を察し物事を考えられなかった 「母親だったら、子供の安全と、少しでも健康になって、欲しい思うこと当然です、気にしないで下さい、ただ海斗君に生きる希望を持たせたかったから!俺も子供の頃、冒険に心躍った覚えが有るから、それで母を心配やら困らせた覚えがありますから」

 浩子さん考え深い面持ちで 「そうですね、心では解かって居たのですが・・駄目ですね」 暫らく、雑談をしながら、海斗の食事に付き合った 「海斗、そんなに慌てて食べなくても、喉に閊えるよ」 海斗がジュースを飲みながら 「うん、リュウ、海斗レーサーに成れるかなー?」

 「なんだよ!成れるか?じゃぁー無いだろう、レーサーに成るだろう、此れから一杯苦しい事や悲しい事沢山有るよ、リュウだって一杯あったが我慢して乗り越えて来たんだよ、海斗はリュウより強いよ、今だって戦っているんだからきっと勝つさ!そうだろう?」

 「はいリュウ、頑張ります」 親指を立てながら 「おぉ!そうだよ、リュウ何時も見ているからな」 同じように親指を立て万遍な笑顔で「はい」 浩子さんは俺を見詰めながら 「誤解していて御免なさい!ヨシ子が龍崎さんを選んだ理由分る様な気がするわ」 ヨシ子嬉しそうに 「でしょう凄く優しいの、幸せよ!」 浩子苦笑いで 「ごちそうさま」 それから暫らく海斗や浩子さんに付き合って、何故かほっとして病室をあとにした。

 夕食の食材を求めに近所のストアーに出向く、車の中で 「リュウ、さっきから黙ってしまって、如何したの?」 「うん、海斗の事考えていたんだ、昨日からずうーっとお腹が空いても何も食べずに、ハンガーストライキ、初めての抵抗だったんだね、あのか弱い小ちゃい体で俺との約束、自分の病気の為にお母さんの悲しむ顔、どうして良いか分らず、海斗なりに悩んでいたと思うと・・もう考えるのやめよう、ウルウルして来ちゃうよ」 

 「だから、リュウは優し過ぎるのよ、私よりリュウこそ、子供駄目にしそう!そこが好きだけどね、それだけでなく、今日の様に、子供の扱いから、電気の配線、電気品の修理、コンピューター、車、お掃除、それに料理、何でも便利屋さんみたい、私も甘え過ぎで駄目になっちゃうわ!頑張って、勉強しなくては!」 多分今回の引越しで、俺が整理整頓やオーデオやPCのセットや棚作り、ヨシ子の壊してしまった電機品の修理等手早くやったからと思う。

 前にもヨシ子に説明した、アサリのスパゲッティー(ボンゴレ)威張った手前、失敗出来ない、冷汗物だ、フライアサリのパスタ.jpgパンにオリーブオイルにガーリック弱火で加熱、いい香りがして来たら、ここでたっぷりの砂だしアサリを入れる事が重要、タカノツメ少々と黒コショウを擦り入れパセリのみじん切、白ワインを多めコップ三分の二位(これが男の料理だ)

 フタをして中火で、アサリが開いたら、バターを入れ、此処でお醤油ほんの少々振りかけ(此れがポイント)飾りの為3,4そのまま残し、あとは殻を外し身だけを残す(お店に出す訳で無いから成るべく食べ易く)後はパスタの煮汁を少し入れ缶のマシュルームのスライスとバターを入れ乳化させる(又は生クリームを加えても良い)残りのパセリのみじん切、を加えエルダンテに茹で上がったパスタを加える

 ラムチョップは8本、岩塩と黒コショウを擦り、ラムにすり込む、フライパンにオリーブオイルを惜しまず、ラムが半分位沈む位入れる(これは、ラム独特の臭みを取る為)先ずフライパンにオリーブオイルにガーリックとローズマリー入れ弱火で香りを出し、取り出し、ラムチョップを入れる、初めは少し強火で両面を焼き焼き色が付いたら弱火にして、赤ワイン入れ、じゅっくり数分蓋をして蒸す(これも臭みを消す為)

 後はブナシメジと舞茸等残り油で炒め、コーンの缶等盛り合わせて、出来上がり 「リュウ、コーヒー出来ているわ、少し休んだら」 「じゃぁー、テーブルにセットして」 盛り付けをヨシ子に任しテーブルにセットしている間、ヨシ子の入れたコーヒーを口にして、何かほっとして休む 「準備出来たわ、リュウも少し飲むでしょう、ロゼ(ワイン)開けて、頂ける?」

 二人席に付き、グラスを合わせ乾杯! 「リュウ、何処かのレストランで頂いたけれど、臭みが有って食べれなかったけれど、このラムチョップ美味しいわ、こんなに美味しくなるのね、それとボンゴレも凄く美味しいわ!、もしかして、逗子より美味しい!」 ワインのせいか食欲もある様だ 「よかった、何って言われるか心配だった、お世辞じゃあないよね!」 「本当よ、とても美味しいわ!お店出せるわよ」 「だめだよ、材料ふんだんに使ったから、赤字だよ」 「今度、時々リュウに頼もうかな?」 

 「良いけど、台所めちゃくちゃにして、材料が高く付くよ、安い食材で美味しく作るこれが出来なければ駄目だよ・・・今まで忙しく、やっと少しのんびり出来るね、ヨシ子と遭えて良かったよ」 「本当?嬉しい!もっと若ければ良かったのにね」 「いや!お互い今だったから、受け入れられたと思うよ、今のヨシ子だから、本当の俺で居られ、本当に休めるよ」 「本当にそう思っているの?」 「本当だよ」 「嬉しい、ヨシ子もよ!」

 暫く、ゆったりした食事の時が流れ、突然ヨシ子が 「ねー、早く食べて、子作りしょう!」 ワインも手伝ってか?俺、思わず噴出してしまうほど可笑しかった 「何で、そんなに可笑しいの?」 「ごめん、食事中余りにも、突拍子な事言うから」 

 「だって、早くしないと体力的にも、私齢だから、リュウの子供欲しいの!いけない?」 「そんな事ないけど、ごめん俺、自分の事で精一杯で子供まで考えていなかったよ、第一ちゃんと育てられるか心配だよ!」 「リュウ、結婚て・・」 「だよね!でも正直、子供の事まで考えていなかったよ」

 「リュウには躁急過ぎたのかしら?」 浩子や海斗を見てヨシ子の年を考え本当に子供が欲しいと思っていたのだ 「俺って考え甘いよね、それが自然だよね」 俺は話を逸らせ 「俺といれば、若くいられるよ」 「如何して?」 「ちょっと、耳貸して」耳元で「あれ!良いアドレナリンが出て、ホルモン、バランスが良くなり若返るよ」 「やっぱり私と同じ一応先生ですから知っています、でもね女は年になると子供出来づらくなるのよ・・、早く夕食済ましましょう!」

 なにか素直すぎて子供がお菓子を欲しがる様で、可愛く可笑しさが又込み上げた 「慌てなくても!俺は逃げていかないよ、せっかくの力作なのに」 俺は言葉と裏腹に、一瞬不安が過ぎったが、幸せで楽しさに押し流されていた 「とても美味しいから、一杯食べ過ぎて太ちゃうから」 ヨシ子は甘えたしぐさで 「ねぇ~!赤ちゃんもリュウの力作お願いするわ」 本当に拘りなく、明るく大らかな人だ、

 「それなら、明日から、少し早起きして、軽く、ジョギングしようよ、先生から見本、でしょう?」 「ええ、今までもしていたのよ、たまに夕方ね、やりましょう、リュウと一緒なら、楽しいね、足は第二の心臓とも云いますから、リュウに負けないように健康に成らなくちゃ」

 次の日から朝早起きして、爽やかな海の公園を軽くジョギングし、ヨシ子は栄養や健康には気使ってくれ、サラダとブルーベリーのヨーグルト、日差しの強い所でのレース、目の為にと果物は必ず欠かさず、用意してあった、美味しく朝食を採り、互い其々出勤

 俺はベースでボスに式は未だですがと、結婚の報告をした(marriage registration)、事務所の従業員が集り、ベース内のクラブで祝ってくれるから日にちを決めてくれとの事、アメリカ人は家庭のそう言った事は大切に考えていて、反って迷惑のときもあるが、帰ってから妻と決めますからと伝え、例のパトリシアは少し残念そうでしたが、直ぐに、「Congratulations!」おめでとう、と云って祝ってくれました、何時までもグズグズしなくて助かった。

 ヨシ子は学校の件、病院の部長に相談して、今の部署やめなくても大学のゼミを受けられる様に考えてくれるそうで、考えたよりスムーズに行けそうで嬉しがっていた。

 海斗君は、気持も落ち着き楽しみにしているとの事、ベースでの我々の結婚パーティーは今週の金曜日の夕がたに決まり

 パーティーの招待も基地内の将校クラブでバイキング形式で無事終わり、ヨシ子は米軍基地の中、全てが珍しく、英語も少しは通じ、特に外人男性は積極的で受け答えを楽しんでいた様だ、沢山外国のクッキング用品のプレゼントを頂きヨシ子は大喜び。

タッチおじさん ダヨ!.jpg  此処まで読んで下さり有難う御座いますストーリ【前編9】へ続きますクリックね《http://touch-me.blog.so-net.ne.jp/2012-09-24是非お読み下さる事お願いね


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ナベジュン

紫町、海の上の居酒屋いいですね( ´∀`)
by ナベジュン (2013-01-27 13:25) 

ま〜くん

こんばんわ。
ご無沙汰しております(__)
小説リニューアルされてパート毎になり読みやすく
少しづつですが再読しています。
改めてリュウとヨシ子の濃密な時間を確認しています。
あと、海斗は本当に健気ですね。
またお伺いします(^^)

by ま〜くん (2013-03-03 22:01) 

ま〜くん

☆いつもありがとうございます☆
by ま〜くん (2013-03-03 22:03) 

PATA

なかなか時間が取れなくてすみません。
また前に戻ることもありますが
ご了承下さい。
by PATA (2013-05-06 11:48) 

テレーズ♪

IE10は「保障対象外」らしいので何とか元に戻して
so-netに質問しましょう。
勿論、有料サポートなら高いんですが何とかなると
思います。ちょっと私も調べてみます。
by テレーズ♪ (2013-05-12 18:22) 

ちゅんちゅんちゅん

こんばんは!
ごちそうさま!の二人ですね♪
祝 入籍(^^)です。
が、なにやら嵐の予感が・・・。
by ちゅんちゅんちゅん (2013-06-14 01:42) 

つなみ

タッチさん、こんにちは(⌒∇⌒)ノ"
またまた来ちゃいました。
時々読み返して、いくたびも感動しています(*´∇`*)
私もなんとか過ごしています。
今日更新しました\(^_^)(^_^)/
by つなみ (2014-02-11 20:09) 

ちゅんちゅんちゅん

こんにちは!
ふぅ~(゜〇゜;)暑いですね!
こんな日はキンキンに冷えたビールを居酒屋で(≧∇≦)
時節柄、ご自愛くださいませ!
また、お邪魔します~(⌒‐⌒)
by ちゅんちゅんちゅん (2014-07-24 15:46) 

つなみ

たっちさん、いつもありがとうございますm(__)mぺこり
by つなみ (2014-10-10 18:33) 

ちゅんちゅんちゅん

こんにちは!
寒い毎日が続いていますが
お変わりございませんか(^^)
今夜は居酒屋に行く予定ですので
こちらにコメントを入れさせて頂きました!
足も良くなり
ランチに出かけて
アイスクリームのせのスイーツをいただいてます。
ごはんの代わりにスイーツはどうも胃が
落ち着きません~(笑)
by ちゅんちゅんちゅん (2015-02-05 14:00) 

mimimomo

こんばんは^^
やはり人生いろいろありますね~
結婚はそのうちでも一番と言っていいほど大変なイベントかも^^
by mimimomo (2015-09-06 18:07) 

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