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枯れ葉の流れ着く先 【幻:前編6】 「Fictoin Story」 [小説〔Story〕]

 ☆=ストーリ【前編5】からの続きです、是非下欄【前編6】をお読み下さい=☆ 

 俺は横浜本牧のマンションに向かい取り敢えず 必要な着替えや剃刀・ローション・ノートPC・靴・スーツ等 後デスク形PC等は後にする、少しでも早く先生に会いたくて休む事なく踵を返し金沢文庫柴町の先生のマンションへ、弾む気持ちを抑えドアホーンを鳴らした また悪戯心が起こり 「宅急便ですが、ハートマークのお届け物です」 エレベーターを上がりドア前でもう一度チャイムを鳴らした、

  内側からドアを開けながら 「ハーイ!リュウ今開けますから」 「なんだ又 判ちゃったか!」 当然解ると思ったがテレが有り何か話しやすく出来ると思ったからだ 「お帰りなさい、ハートはリュウ以外ないでしょう」 エプロン姿の先生の声に、その昔子供の頃学校や遊びから帰り母に向かって声をかけた時の様に、その声を聞いただけで何か凄く平和で安らいだ気分で安堵感を覚えた!、

 今までは帰っても侘しい一人暮らし 其の以前は俺が守らなくてはと思い安らぐ事などあまり出来なかった、 決して前の奥さん(美奈子)が悪いのではなく それどころか誰よりも俺を気使ってくれとても優しかった、 かえって取り返しの付かない それが間違っていたとしても 俺なりに愛していたのに、愛の方向が間違ってしまい辛い悲しみを与えてしまい 本当に可愛そうな事をしてしまった。

  他の接し方が有ったのではないか?十分解っていながら如何にもならない深みに落ちってしまって ・・ポニー.jpg何時までもくよくよ考えるのは止そう先生にもどちらにも悪い!、

  もし これが初めから先生に出合っていたのなら あたり前に思え こんなにも感謝と感動はなかったであろう、このなんでもない普通の営みが こんなにも大切に感じられ ある意味それが感じる事が出来良かったと思う・・何故だろう! 俺が幸せであればあるほど心がやけに痛む! あれほど 純粋で普通の人では考えも付かない視点で物を見る彼女を理解出来る人は そうは居ないと思う 幸せで有ろうはずがない 別れた美奈子が浮かんでしまう 俺自身の問題と思うのだが、

 もうダイニングに足を運ぶと料理の匂いが漂い 先生の優しい笑顔で迎えられ ”あぁ 俺にこんなに安心して帰る場所が出来たのだ なんて幸せの事か!”、

 気持ちを切り替え キッチンで料理中の先生に向かって「ただいま・・お肉の匂いたまらないな!」 急がしそうに空き部屋のドアを指差しながら 「もうすぐ仕度出来るから 取り敢えず あちらの空いている部屋リュウが使ってよいから 荷物運んで終わったら手を洗って此処に座ってね」 先生の声を背中に受けながら 「OK すぐ終わるよ とにかく喉が渇いたな!」

 荷物運び終わって手を洗いダイニングテーブルに付くと テーブルにはサラダにオニオンスープ・グラタン・フランスパン(バゲット)のスライスなど並べられていた、

 先生はエプロンを外し冷蔵庫からスパークリングワインを取り出し俺に手渡し 「リュウ! 開けてちょうだい、今日は特別の日 半日で帰らせて頂き準備したの リュウ其処のワイングラスに注いで」 栓が飛ばないように押さえて抜いてテーブルの端に置いてあった二つのワイングラスに注いだ 琥珀色の液体に微かに細かい泡が次からつぎえと幾つも弧を描いて立ち上がりシャワシャワ音を立て弾けている、

 スパークリング・ワイン.jpg先生のこぼれ落ちそうな笑顔で 「さぁー 今日から二人の門出よ!、リュウ宜しくお願い致します」俺も釣られ笑顔になっていた 「俺こそ!こんな準備してくれて 本当に嬉しいよ」 先生はワイングラスをしなやかな指先で持ち上げ 「リュウ乾杯しょう、これからの二人の幸せを願って乾杯!」

 俺もグラスを差し出し 「・・・乾杯!」 先生のグラスと合せた 静かな部屋に周波数の高い ”チーン” と涼しげな澄んだ音が静寂のダイニングルームに静けさを強調する様に共鳴し染み渉り広がった、まるで仏具の輪(リン)の様に数々の乾杯が有ったが思わず目を閉じて耳を傾けていた 其れほど俺の心の奥深く染み渡り 全ての邪心を取り除く様な気持ちに 改めて感動さえ覚えた、

 先生も同じ思いだろう 互いに暫く無言で見詰あった・・最初の一杯は喉の渇きのためか 炭酸が快く一気に空けてしまった 先生は俺のグラスに二杯目を継ぎ足しながら 「リュウ飲めるのね 改めて・・宜しくね!」「俺こそ急いで帰って来たから喉が渇いて それに今日はもう運転しなくて良いからね、俺アルコール弱いから 安心して酔っちゃうかも」 先生は目を優しく細め 「嬉しいわ 意外と真面目なのね、・・リュウって酔ったら如何なるのかしら?」悪戯ぽく笑った顔は何か色っぽくさえ感じる、こんなに色々の姿を魅せる先生に驚きの感動を覚えたが 俺は澄まし顔で 「さーね、車の仕事だから、余り呑んだ事ないから、少し笑い上戸かな?解らないよ、

 「リュウを酔わしちゃうかな!・・今日は止めとこうと、この後大事な事あるからフッフフ・・」 医者の家庭に育ち自身も医師になり 人間の生理を知っているからだろうか、本当に自分の気持ちに率直でオープン 余り罪悪感を抱かせない人だ 俺もついニャリとして 「だよね!」。オニオンスープ1.jpg

 「ねぇー 味に自信ないけど召し上がって、誰にも邪魔されず二人だけで 新しい出発を祝いたかったの!」「美味しいよ 幸せをかみ締めなくちゃぁー」・・俺は少し躊躇したが「あのさー このオニオンスープに・・ピザ用チーズある?」先生は何故と言う顔で「有るけど?」俺は僅かな時間を惜しんで懸命に用意した先生を思って 「怒らないでね 心込めて作っていただいたのに・・其処のフランスパンにガーリックバターぬってトーストしてからオニオンスープに浮かし入れてチーズたっぷり乗せて三・四分位チンするの もっと美味しくなるよ、其の方がきっと美味しくなるよ 良いでしょう?」 先生は嫌な顔もせず素直な人だ 直ぐに席を立ち 「今日はリュウそこに座っていて 私が作るわ」暫く手持ち無沙汰に待ったが 自分の手で仕上げたかったのだろう 俺に言われた通り手を加えてくれた 「リュウ 如何かしら?」「うん バッチリ美味しいよ」先生も早速口にした「本当美味しいわ! リュウ如何してこんなに知っているの?」「うん 自炊が多かったから でも和食は全然駄目だよ」

 先生は折角用意してすぐに食べてほしかったのに 怒るどころか 「それにしても良く知っているわ 教わらなくてわね」と謙虚なのには驚きを感じた「そんな事ないよ、ヨシ子こそ此れだけ出来るんだもの 勉強ばかりして他の事は正直あまり出来ないと思ったよ・・でも驚いた 本当に美味しいよ!」俺を可愛く睨んで見せたが怒ってはいなかった「さぁー飲んで俺先生と逢へ本当に嬉しいよ! こんなに和やかに出来る日が来るなんて思いもシーザーサラダ.jpg依らなかったよ」先生はただ にこやかに俺を見ていた

 先生も ワインで艶かしく嫋やか(たおやか)な優しさを見せ「私もよ 学生の時お母さんの言う事聞いて料理習って良かった リュウとだと本当の自分になれ心から休めるの、それとねリュウがどんなに怒っても 私の胸の中で眠っているリュウを思うと 何故か全然恐くないの信頼しているから」お酒が入ったせいか先生は笑顔でよく喋る

 「なんだ! 全然子供みたいだね」「子供と違うわ 肉親の様な本当に心から裸になれるの! 身も心もって云うけれど本当にそう思えたから、リュウと一緒だと今まで感じた事が無い位心から休めるの だからリュウにも疲れを感じたら休めてあげたいの、リュウはそんな気持ちを抱かせるのよ」 きっと俺以上に俺の事を愛おしく感じているのだろう それに兄弟のいない先生にとって 俺は弟か子供の様に思う時もあるのかもしれないと思った。

 そのれを裏付けるか様に俺は話続けた!「俺 あの日あんなに素直に安らげるなんて! 先生が何の恐れもなく全てをうけ入れてくれたから」 先生も真面目な顔で 「私もよ 何が有ってもリュウから離れられないわ!」・・笑いながら「 ”覚悟して!”・・ な~んってね」 俺は怖そうに「おぉー 恐いなぁ!」 俺を見て笑い 「そうそう 今度の土曜日 私の両親に合って下さいね、連絡してありますから」・・「あ!それとハンバーグ・オーブンに入っているから出して」

ハンバーグとグラタン.jpg 多分 俺のハンバーグと思うが先生の倍以上の大きさだ 「この大きいのが俺の?」 「違うわ!大きい方が私よ 実はね私大食いなの 驚いたフゥフッフ」 「・・・!」「大きい方がリュウのに決まっているでしょう・・驚いた?」 「だと思ったよ、でもTVで大食いの女の人見たから まさかと思ちゃった」 俺は真剣な顔で  「うん!このハンバーグ変だぞ!すごく塩からい」 先生は驚き 「え!本当?」 俺はニヤリとして 「嘘ですよ!今の仕返し 凄く美味しいよ 本当に美味しいよ!」 「もう!リュウたら」笑いながら子供に’メ!’をする様に俺を睨む

 「あのさー 孝ちゃんが言った ヨッちゃんって先生のこと呼んで良いかな?・・それなら呼べそうだから」 俺の顔を真っ直ぐ見て 「リュウがヨッちゃんって呼ぶの可笑しいでしょう!」 「そうかなー?」 「いいからヨシ子って呼んで見なさい! リュウは私の旦那さんよ!なにか遠慮が有ってよそよそしいでしょう!」以前、何か有ったのかなぁー 少し言葉が激しい? まぁーいいか質問はよそう「じゃぁ・・ウン」 何故か何か喉に詰まった様に咳払いをし思い切って名前を呼んだ 「ヨシ子! コーヒー入れてよ」 ヨシ子はニッコリして 「ハイ旦那様 直ぐ入れて来ます」と答え 付け加えた「ほら云えば簡単でしょう」先生は決して自分の立場を誇ったり自慢する様な事は無く 本当に楽しい一時を向かえられた。

 翌日から 俺は先生をヨシ子と呼ぶ事にしたがまだ抵抗がある、ヨシ子は病院勤め何時も整った服装だ 俺はベースへの勤務、ヨシ子にも説明したが外人の兵隊の中ではスーツは対象的でチグハグだ 軽装で十分返って浮いてしまう職場の大方の外人達兵士や軍属はラフなスタイル Tシャツで軽装だ。

   《ヨシ子の実家へ》  

 翌 土曜日の朝を向かえ 二人して久しぶりの のんびりした休み、

 近くの ”海の公園” の海岸沿いを軽くジョギング中ヨシ子は突然走りを中断して 「リュウ!聞いてちょうだい」「なに」俺も足を止めた

 「私ね 以前から考えていたの 今の科も私に取って大事なことですが、その治療を受ける患者との治療内容や薬などインフォームド コンセント(informed consent)と云うのだけれど 簡単に云えば患者やその対象者とのコミュニケーション(communication)をとり理解して頂き 対象者の希望を取り入れ最善の治療法方を考えていく事なの、それには対象者の精神状態を知り理解を高める事が必要で大事だと思ったの」 「・・・」 ヨシ子は無言の俺を覗き込むように顔を近ずけ 「云っている意味わかるでしょう?」

  俺は ”それくらい分かるよ” と 少しムットしたが それだけ真剣な話だと思い 「うん解るよ」 と答えた・・尚ヨシ子は真剣な眼差しで「それでね リュウと知り合って もっと精神医学や心理学の勉強をしたいと思ったの」「それって! 俺みたいな人を見て?」「なに言ってるの! これからは世の中がもっと複雑になり 人間関係も色々心理学も必要よ、今回私もリュウも一つのきっかけで解決出来た事もあるでしょう?、今直ぐと云う訳ではなけれど」「・・・」俺は何時もと違うと感じとっていた

 「どう思う?」「いいじゃない」 俺の答えを聞いて もっと確かなものを求めるように俺を見つめた 俺達の例を挙げるまでもなく俺に異論などはない 「どう思うって聞かれても、身体や病気の事など解らないが?・・凄く良いと思うよ何時だって応援するよ 俺の事となら何の心配も要らないよ! ヨシ子が目標の有る俺が好きだと思う様に俺だってそう思うよ」

 嬉しそうに 「ありがとう 心療内科や精神病の様な専門的科は有るのだけれど、もっと気楽に悩みを聞く場が有れば良いでしょう 又その時が来たら相談するわね」ジョギングも終わり家に戻り朝食を取る。

  「リュウ 朝は野菜サラダとリンゴ バナナも確り食べてね 頭の回転が良くなるから、・・今日午後から私の両親に会いに行きますよ」まるで子供扱だが全然悪い気がしない むしろ揺ったりした安らぎを覚える 「うん 俺スーツ着て行った方がいい?」  サラダを出した手を止めて俺を改めて見る様に 「そうね? 初めて会うから其の方が良いと思うし 似合うと思うけど?・・・リュウの好きにしていいのよ」

yoshiko-太田屋前.jpg 朝食も終わりゆっくりコーヒー飲み、出かける準備を始めた「黒のTシャツにチャコールグレイの明るいスーツでノーネクタイにするよ それで良いでしょう? どうも俺 首絞められる様で息苦しいのダメなの!」

 「フッフ・・リュウは奥さんに首絞められるの嫌いで自由にしたいでしょうから・・少しラフだけれど家の両親気にしないから、それと皆と違ってリュウはセンス良いわよ それにとても似合っているわよ!」 「私もリュウ合わせて濃紺のスーツにタイトスカートにしたけど、どうかしら?」 俺に斜めに見える様に撓を付けて見せた、

 サイド・スリトがあるタイトスカート きりりと締まった足首すんなり真っ直ぐに伸びた形良い脹脛、魅力的な太腿がチラリと見え括れたウエストからのヒップラインが艶めかしい 「それって、何処かの大企業の社長秘書みたい」

 ヨシ子は訝しげに 「リュウ この洋服嫌いなの?」俺は意味ありげにニヤツキ顔になり 「そうじゃないけど かっこいいよ!眼鏡かけたら・・フフッちょっと違う事想像したから」多分俺が好色な顔になっていたのか 「なによ!なに考えているの? おあいにくさま目は悪くないわよ 其の顔 解かったわ、リュウ エッチな事考えているでしょう! それぐらい分るわよ!」 俺は慌てて 「それだけカッコ良く 魅力があるからだよ」「また誤魔化して」「誤魔化しじゃあ無いよ」

 俺は話題を替へ 「早めに出かけようよ! お昼 何所か外で食べよう」 「リュウにお任せ どこでもいいわよ」 「じゃー この近くの釣り船屋の近くで漁師の旦那と気さくの奥さんが夜は居酒屋で昼間食堂やっていて 鮨や焼き魚・煮付け等やって居る所で良い?」「うん! リュウが良ければ いいよ」

 金沢八景の野島公園に近い所で、魚料理は余り好きではなかったが、其処のは新鮮で料理も旨く何より処理もよく生臭くなくて 俺好み以前良く通って所である。

  居酒屋の看板の前で水を打っていた 人の良さそうな太り気味の肝っ玉かーさんの様な女将さんが俺を見つけ ガラガラ声で 「リュウちゃん!リュウちゃんじゃあない、如何したの 此処のところ顔出さないから?」俺は軽く会釈をしながら「今日は!」

 掃除の手を休め俺達に目線追いながら 「こんにちは じゃ無いよ! 音沙汰無いから心配していたんだから」 先生の姿に目を移し少し驚いた様に ・・「あら! 其方の場違いの綺麗なモデル見たいなお嬢さん! リュウの連れ?」 「ええ 此方 先生でお医者さん」 改めて驚いたように目を見開き 「まぁー モデルさんかと思ったよ!」

 俺は冗談に 「寂しくてさ! 女将さんに会いに来たのに」「なーんだか! そんなに可愛い子と一緒で 何を言ってるの!」 「ホント!久しぶりに顔見たくて それに美味しいお昼 食べに来たんだよ」 掃除道具をかたづけながら 「さぁー御世辞はいいから! そんな処に立って居ないで内へお入り 其方のお嬢さんもね」 先生 圧倒された様子で 「宜しくお願いします」が精一杯の様、

 中は畳の席で、大きいテーブルが6席、それにカウンターが人位座れる、まだ時間が早いので俺達だけだ、 カウンターの席の真ん中に座り 「今日は、おばちゃんにお任せだよ、お願いします」 カウンターに入った女将は 「はいよ、リュウおばちゃん じゃ、無いだろう、お姉さんでしょう!」 俺は苦笑で答えた 奥のキッチンから日焼けした漁師の旦那が顔を覗かせ目尻に深い皴をいっそう寄せながら 「久しぶりだな リュウ 何していたの?」 「又 車の方へ戻ったから」

伊勢海老の味噌汁.jpg 旦那は両手を前に出し上下に交互に振りハンドルを握る真似をしながら 「また これかよ? リュウはカッコよいからな、辞めたんじゃあないのか?・・!そっちの綺麗な人 紹介してよ」 「ああー お医者さんの鶴見先生」 ヨシ子は笑顔を作り軽く会釈して 「鶴見圭子です、これから リュウと一緒に時々伺いますので」 旦那は滅多に見せない万遍な笑顔で「リュウなんか どうでもいいの、鶴見先生だけで来て下さいね」 「それは ないよ! 奥さんに叱られるよ」

 女将は旦那を見ながら 「いいの このバカは、本当 美人に弱いだから、どうせ見るだけの楽しみだから」 旦那にゃにゃ顔で 「何言っているの、俺のモテルこと、知らないから」 俺は苦笑しながら「それより、腹へったよ!俺の飯 まだ?」 旦那慌てて 「そうだ!今出すよ」 伊勢海老の頭が入った、魚介類の味噌汁に金目鯛の煮付け・鱸の刺身・鮪の鰓(カマ)の肉をハーブと塩コショウ・ニンニク・バターでホイル焼に炊き立てのご飯、 先ずは味噌汁を手に口にしたヨシ子も思わず 「これ美味しい! リュウも頂いて見て」 俺も味噌汁を口にしながら 「だから 此処のは美味しいと云ったでしょう」

鮪カマ香草焼き.jpg 旦那さんがカウンター越しに 「先生 お代わりもありますから、一杯食べて下さい」 奥さん、旦那を誇らしげに見ながら 濁声で 「これは 顔と頭は悪いが 腕は確かだよ」 「そんな事ないです! 顔だって 味が有って魅力的ですよ、私 好きだな」 旦那嬉しそうに 「ほうら見なさい 俺はもてるから」 女将は手の平で旦那を叩くまねをして 「バカだね! この人は 方便や お世事も解らないから」 とにかく笑いが一杯で魚も美味しく二人してゆっくり過ごし満足した、

 支払いを済ませて 「じゃぁー又近い内に来るから 今日はご馳走様」 ヨシ子も満足したようで 「本当に楽しく 美味しかったわ ありがとう御座います」 女将さん嬉しげに 「先生の口に合ってよかったよ、リュウ レースは危ないから身体だけは気を付けてよ」 旦那も奥で手を上げていた ちょうどお昼時、近所で働いている人達がお店に集まって来た 「よぅー リュウじゃないか 珍しいな元気かよう?」 「あぁー 何とか生きているよ! 今日は急ぎの用事がありるから 又近い内に」「おお」互いに手を上げながら挨拶を交わし 彼らは店に入った、

 店中に入る彼らを見送りながらヨシ子は 「リュウ 本当に良い夫婦だね、料理も美味しかったし 本当 リュウは色々な人知っているのね、本当の暖かさが伝わってくるわ あんな感じのお店に入ったの学生以来だわ」 「気に入って良かった、 俺・・魚余り好きでは無いけど あそこのは何時も新鮮で美味しく食べれるよ」。

 さぁー! いよいよヨシ子の両親の所だ、俺はチョット躊躇したが 「..ヨシ子!」 やっと名前呼べた 先生は特別驚きもせず極自然に 「なぁーに?」 と優しく応えてくれた、名前が呼べた事に ほっとして 「前から思っていたが 歩き方綺麗だね」 「そーぉ・・ 学生の時にね スカウトされ少しモデルやった事あるから、そこで教わったの」 「モデル? あの洋服の?」 「ええーそうよ」「それでか 何時も決める処決まるからレースクィーンじゃぁ 余りいないよ」  「それにね 母がうるさかったからマナー教室に通っていた事があるの・・リュウもガサツに見えるが ちゃんとマナー出来ているね 一緒にいるから判るの」

 「俺 まだ子供の頃 お袋に ”なにがマナーだよ! どのホークやスプーンそれに箸であれ、手掴みだって その人が美味しいと思う方法で食べればいいんだよ と 嘯いた事もあったが お袋に叱られたよ ”お前が カッコ付ける為にマナーが或るのではないよ、他人が健司の耳元でクチャクチャしたり食器をカチャカチャ音を立てて食べたり喋っていたらいやでしょう、他人に迷惑掛けない様にする為だよ” だって 叱られたよ」それに これはヨシ子に黙っていたが前の奥さんの義父にホテルや高級レストランに幾度と無く連れて行かれ その時大抵の事は覚えた。

 先生の実家への途中 和菓子店でお土産用の綺麗なスイーツ菓子を購入、 いよいよ鶴見医院に着いた 駐車場にはアウディRS5・クワトロ(Audi RS5 quattro4.2L V8FSI)・・に驚き この車アウディはポルシェに変わりルマン24時間レースで勝ち続けているドイツメーカーの車 此れは義父と話が合うかもと内心思い、

 「ヨシ子 これお父さんの車?」「ええ そうですが なにか?」「これ皆の憧れの車だよ! お父さんと話が合うかもしれない?」「そうなんですか このオリンピックマークみたいの車 最近買い換えた様ですよ ちょと古臭いスタイルと思っていたわ、これからは もっとリュウの好きな車の勉強しなくてはね」 「別にそんなにしなくても いいよ」「あら 互いに お話し合わなくていいの? つまらないでしょう」「それも そうだね その車スタイル 最新の空力 流体力学を駆使した物ですよ」何だろう? 説明までして とても素直な俺になっている「へー そうなの!覚えておくわ」

 今日は鶴見医院の診察は臨時休業午前中で終わりの張り紙があった、きっと俺達の為であろう 何故か身が引き締まる思いである。

 裏手の家族用玄関扉を横に引きながヨシ子から先に入り 声をかけた 「ただいま」車の音で気付たのであろう 土間の上がり口に身構えた佇みは ヨシ子のお母さんと 直ぐに分かった ヨシ子似の顔で スタイルもよく賓の良い人だが まず俺を確り頭からつま先まで射るような目付きで一瞥され、穏やかに見えるが 俺に対して余り良い印象は持っていない様子だ!

 俺に向かって 「お待ち致しておりました どうぞお上がり下さい」 俺は緊張していたのか 少し大きな声で 「はい 失礼します・・ 龍崎と申します! 突然で申し訳有りません 宜しくお願い致します」もっと人付き合いの良い人なら こんなにぎこちない 挨拶はしないだろうと思った、

  奥の方には五十歳位の豊満な看護婦と オット 今は看護師と言うらしい、それに ヨシ子と同じ年位の細身の女性事務員らしき人が ちらちら此方を見ている、

 ヨシ子は母に向かって お土産の紙バックを渡しながら 「お母さん これ龍崎さんから  お父さんは?」 義母と呼んでよいのか兎に角 愛犬であろう パピヨンが尻尾をこれ以上早く振れないほど激しく振り ヨシ子に跳び付いて来た 俺なら大型犬をチョイスするのに 少しガッカリだ!

 ヨシ子に飛びついていたパピヨンを抱き上げ 「ルル今日は静かにしてね」ルルは初めて見る俺に ヨシ子の抱き上げた腕の中から乗り出すように 俺の匂いを嗅いだりそわそわだが 俺を見ながら嬉しそうに尾を振っている

 「ルルは解るようね リュウに吼えたりしないわ」 やはり飼い主が心を許している事が解っているのだろう、ヨシ子はルルの頭を撫でルルの頭を下げる様に押して 俺を見ながら 「ルル! リュウよ 宜しくねって」なにか風薬の様な名前だな、俺もルルの頭を撫で ヨシ子に向かって 「俺も小さい頃 近所にシェパードが居たので犬は好きだよ ルル宜しく」 と挨拶を送る、

 義母は まだ探る様な鋭い目付きで、俺にむかってお土産の袋を示し 言葉を投げ捨てるように 中身も見ないで「これ有難う これからは気を使わないで下さいね」と 作り笑顔が明らかに俺を嫌っている感じを受ける 「どうぞ お父様は応接室で待っていますよ」 ヨシ子は母にルルを預けながらドァをノックして大きな声で 「お父様 入りますよ」ドアを開けヨシ子と俺が入る

 俺は室内に入り緊張気味に 「今晩は 龍崎 健司です!」 義父は体格が良く全体にガッシリとしていて温和な顔だ 患者として訪ねたのなら 包容力があり安心できる人だろうにと感じたが 今は緊張でいっぱいだ、

  義父は待ちかねた様に 「おお 君か!其方にヨシ子も掛けなさい」俺は久しぶりに緊張していた 一刻も早く要件を済ませ この緊張から解放されよう考え ゆとりなくその場に立ったままで 「あのぅー お嬢さんと結婚しようと思いまして」と切り出してしまった

 義父は真っ直ぐ俺の目を見て 「その件はヨシ子から聞いているよ!まーぁ掛けたまえ ヨシ子も座って」何か罵声をうけると思った俺は身構え緊張しきって力が体全体に入っていた「はい」 俺は義父の差し出した手先のソファーに初めて気付き 少しホットして腰を下ろしたが 何か始めての就職面接試験を受けた時の様な緊張が戻り質問を待った、

 義父は咳払いをして 「ウッフン! ヨシ子は今までお母さんの言う通りのレールに従って来たが、ヨシ子が始めてお母さんに あんなに逆らって意見を言った事は無かったよ、最も もう親が色々言う歳では無いからな」

 義父は優しくヨシ子を見つめ私は ヨシ子が幸せで有りさえすれば それで良いと思っているよ」「はい 有難うございます」と俺は頭を下げ 余計な一言を発してしまった「経済的に幸せに出来るか解りませんが? 幸せで在りたいと思います」 義父は少しむっとした顔付きで 「龍崎君は変わっているね! 今まで沢山 娘を下さいと来たが 皆さん 幸せにしますからと云っていたがね、君の言葉に責任を感じられないよ! ヨシ子は今までいろいろな縁談があったのだが全部断って 結婚しないのか心配になっていたところだが・・」

  責任か!俺はおふくろからも云はれていたが 何故か意地になっていた 「はい、私は将来約束など出来ない事は言いたくありません、ただ今も将来も、心から幸せで有りたいと思いますし、今幸せに思っているから、お願いに伺いました」 呆れたようにヨシ子の顔を見て 「そうか ヨシ子! 変わっているな」 ヨシ子は慌て俺に助け舟を出し 「お父様!そんな事いいでしょう! この人正直なのよ!」

 義父は少し落ち着いた顔で 「まぁー 親として娘の幸せを望むものだよ、それに君の仕事は危険が伴うから心配だが! ヨシ子が承知の上今更何も云わないが 細心の注意を怠わらないようにしてくれ!」また やってしまった! 俺って奴は!お父さんの云う事はもっともだ 済まない気持ちで頭を下げ「はい 解りました! 心致します、先ほどは生意気な事云って申し訳有りませんでした 宜しくお願いします」俺はもう一度 深々と頭を下げた、お父さんはヨシ子の顔を見て苦笑していた、

 ヨシ子は父に 「それと お父様 私 精神医学の勉強したいと思い大学に戻ろうと思っています、その時は又ご迷惑掛けると思いますがお願い出来ますか?」「フム・・それも良いが お父さんの元気の内に頼むよ」 俺は神妙な態度で 「私もこんな事云える立場ではないのですが 賛成です、自分達で出来ると思いますが もし力不足の時は宜しくお願い致します」と頭を下げた、 義父は神妙な面持ちで 「ヨシ子の為に 私も出来るだけ応援するよ」 もう一度俺は頭を深々とさげ 「有難う御座います」

 ちょうど 義母さんがお茶を運んで来た 義父は 「お母さんも掛けなさい 龍崎君に話す事は無いのか?」 義母はヨシ子の顔を伺いながら 「ええ ヨシ子とお話しましたから、ただ一人娘ですから 医師の方で此の家を継いで欲しかったのですが 私の意見だけ押し付けてはいけないから」 ヨシ子は義母を制する様に 「お母さん その話はリュウには関係ないでしょう!」 「そうだったわね 龍崎さん 御伺いしたいのですが、ヨシ子に聞いた話では 如何してあの安定した会社をお辞めになられたのですか? それと何故、自動車レースなのですか? よく判らないのですが?

 危険で将来が見えない職業 何処の親であっても ヨシ子の母の言葉は間違ってはいないだろう、 俺は神妙に 「はい 私の母にもひどく叱られましたが、入社して二年そこでは 単に会社の派閥争いや歯車の一部でしかなく、生意気のようですが 私の技術や知識など何の意味も無く 人生が終わってしまうような気がして 嫌気がしていた処、自動車レースの触れ レースなら自分が生きている実感が得られ それに其のまま誤魔化しのない結果が得られると思いました」

 俺の説明では余り納得行かない様子でしたが 「そうですか 私には惜しい気持ちが致しますが」 俺は逆らはず 「今では地道な努力も必要な事も解っていますが・・」 俺の考えが変わらないと思ったのか「ともかく・・ヨシ子をお願いします」 小さく頭をさげた 「ハイ 此方こそ宜しくお願いします」 俺はもっと反対されると思ったが ヨシ子が全て話してあるらしく ほっとした。

鶴見家ダイニング.jpg 義父は両膝を叩き立ち上がり 「よし! 今日は家の従業員と云っても二人だけだが紹介しょうと残って頂いたから居間の方へ移ろう」 居間には仕出しの寿司や刺身手巻き用寿司セットなどダイニングと居間のテーブルに沢山揃え用意して有り、そこには中年女性の看護師さんと ヨシコと歳が同じ位の受付の女性が待っていた。

 義父は二人の向かって 「今度ヨシ子と結婚する 龍崎君です」と言いながら、俺を促すように肩を押し前に出した 俺は戸惑いながら 「龍崎です 何かとご迷惑掛けますが 宜しくお願いします」と軽く会釈を送った、

 看護師の小太りの方が 「安部と申します 此方こそ宜しくどうぞ」 続いて細身で眼鏡をかけているが 清楚で綺麗な感じだ 「私 受付をしています奥村ともうします 宜しくね、 想像していた方より全然違っていて驚きました」 俺は手を首に充て こすりながら 「はぁー? ご期待に添えなくて どうも」 すぐさま反応し その上ずばずばと物を云う人だ 「いえ! 青白く学問ばかりして眼鏡を掛けている人を想像した物ですから、若くて凄く精悍で好い男でビックリしました!」 俺は言葉に詰まり 「はぁーどうも 何と答えたら?」 ヨシ子慌てて 「奥村さん リュウが困っているでしょう それに そんな人想像していたんだ! 私だって 選ぶ権利あるんだから」皆の小さな笑い声が聞こえた、これは義母の影響かな?

 義父はビールを飲みながら 「さー皆 頂きましょう! 龍崎君も頂きなさい」 「あっ はい! 皆さんもリュウで良いですから リュウと呼んで下さい」 義父が 「リュウ君は 車のレーサーだそうで成績も良いそうだよ」事務員や看護師に向かい説明した「いやぁー それほどではないですよ」と頭を掻き 俺はヨシ子の両親をどの様に呼んでよいか判らず義父に向かい

 「お父さん..お父さんとお母さんと呼んで良いのですか それとも 先生とか? ヨシ子さんも先生ですから」義父は義母に向かい同意を求める様に「お前 それで良いよな! ちょっと 最近 呼ばれた事無かったから、お父さんか!?まぁーいずれにしても義理の父母だからな、まぁー その内なれるだろう」 義母は当惑した顔をして 「何となく ヨシ子ならともかく むず痒いわ」何となく寂しそうにしている、ヨシ子が俺をかばうように「お母さん! その内馴れるわよ」看護師の方が 「私達 おお先生と呼んでいるは」ヨシ子 それには不満そうに「それでは ちょっと! リュウのお父さんになるのですよ」 

 事務員の奥村さんが車好の俺に気を利かせ話題を変えてくれた 「あのうーリュウさん 大(おお)先生は車が好きで最近ベンツから買い替えたんですよ」 「あ!はい 私も駐車場で拝見しましたが良い車ですね 車好きの憧れですよ」 義父は得意そうな顔で 「そうか! リュウ君 友人のデイラーの奨めで購入したんだ、車のプロが言うのだから間違いないよ」と女性達に 少し力を込めて話した、

 多分 彼だけが男 女性陣に非難されて居たのではないか? 難しい説明をしても解らないと思い 「あの車はQUATTRO(クワトロフルタイム4WDハルデックス カップリングとコンピューター油圧システム)と云って音楽で云うリブラートですか?声を震わせる事ですが 波のようにクエバー(quaver繰り返し震える)凸凹した道でもスムーズに走れる事とクワトロ(quattro)の意味も兼ねて 足廻りが良く運転が楽でその機構がルネサンス(renaissance)的で素晴らしいと言う意味らしいです ですから非常に安全ですよ」俺の話を聞き先生は得意げに皆を見回し 「だろう!、だから良い車と言ったでしょう!」 だが女性には余り興味がなさそうだが 義母に一矢を報いようと思っていたのかも しれない!

 俺は話を変え 「奥村さんは 事務管理しているのですか?」「ええ?」「顧客・・では無く 患者さんのカルテと言うのですか? その整理に住所や連絡先・予約の管理・薬や血液等 外注検査の管理 それに税金の申請がもっと楽になると思いますよ、コンピューターのプログラム 個人医院用など色々有りますから」ヨシ子俺を援護するように「そうよリュウは米軍基地でコンピューターの専門で雇われているんだから 見て頂きなさいよ、仕事楽になるわよ ね!お父様」 義父は頷きながら 「それはいい そろそろ家もコンピューター入れようと思っていたところだよ」 皆も少しずつ和み始め 看護師の安部さんも好意的で 俺に食べ物を沢山勧めてくれた、先ず先ず一安心、

 夜も遅くなり帰る事にした、義母と女性の二人が見送りに出て お俺が運転席で挨拶を交わしている時に、高校生で在ろう身体の大きい男三人がすれ違いざま 義母に当たりその一人が罵声を発した

  「このクソババアー! 何 たしてるんだ!気を付けろ!」 俺は慌て 咄嗟に車から飛び降り 「おい!お前ら ちょっと待て! 俺のお母さんに何て事言うか! このバカが あやまれ!」 俺の余りの見幕に高校生達はビックリして後ずさり、追い討ちを掛けるように 「てめいらの おふくろが言われたらどう思う、ちゃんと頭を下げてあやまれ!」 もう一歩前に出て威圧した 学生達三人は俺の見幕に慌て 頭を深々と下げ 「おばさん すみませんでした」と何度も頭を下げた 「よし もうそんな事するなよ、お前へらのお母さんが悲しむぞ もう行っていい!」 「すみませんでした」 もう一度頭を下げ逃げる様に去っていった 俺は咄嗟の行為に 照れを隠すように 「一人では良い子だのに 仲間がいるとつい粋がってしまうから、それじゃぁーお母さん大丈夫ですね、皆さんお休みなさい」

 俺はヨシ子の実家を訪ねる前から 反対され快く思われていない事は解っていたのだが、義父母の雰囲気を感じ遣る瀬無く つい学生達に必要以上に怒りをぶちまけていたのかも知れない、もっと悪い印象与えてしまって少し後悔の気持ちであった 

 車で帰宅途中なぜか 互いに無言であった、助手席のヨシ子の携帯が鳴った 「はいお母さん・はい・・ええ・・ええ・・はい・・・分かりました おやすみなさい!」電話を終えニコニコしながら 「リュウ お母さんヤクザ見だってビックリしていたわよ」ちらりと俺の厳しい顔を見て「うそよ 凄く感動してリュウの事好きになったって お母さん単純なんだから リュウの事 良い青年ですって!」

 俺はビックリ 「本当?嘘でしょう! つい許せなくてカーとなり やっちゃった!、柄が悪くてお母さん驚いたと思ったよ!どうしても許せなくて きっと益々印象悪くなったね」「母からは本当よ! 私の方がビックリよ・・ でも素敵だったわよ」なんだ 自分だってお母さんと変わらないのか 「今までリュウの様に体を張って守ってくれる人に逢った事なかったから、それに ”俺のお母さん” てリュウが言った事 凄く感動したみたいよ」「本当てすか?何か信じられないな」「本当よ!・・ヨシ子も守ってくれる?」「当たり前でしょう ヨシ子だったら手が出ていたよ」

 嬉しそうに 「本当う嬉しい! それと..リュウは頭下げる事凄く嫌い見たいなのに 先ほど私の為にお父さんに頭を下げて頂き 本当に嬉しかったわ ありがとう!」 「そんな事ないよ理由さえ有れば こんなに軽い頭いつだって下げるよ」俺は人って変な所感動する物だと 解らんな??と思った、

 とりあえず少しほっとし「ヨシ子 結婚の事 前もって話してくれたんだね、でもお母さんの思いも解らない事ないし 悲しそうだったから、ヨシ子の両親に会って少し心が痛かったし そうとう反対されたみたいだね、初めてお母さんに逆らったの?・辛かったでしょう!」 「リュウそんなに 優しい事云わないで なお辛くなるでしょう!」やはりそうとうに 反対されたのだろう 窺がい知れる「ごめん! 本当にありがとう」 「リュウと同じよ 当たり前の事でしょう、私の為でもあるのよ もう云わないで!」

 「解ったよ ねぇー明日 鎌倉に行こうよ、俺達の報告と皆の幸せをお願いに行こう」「いいわよ そうしましょ、リュウが無事で入賞出来た事も 報告しなくてわね」

             ≪ 鎌倉 ≫

八幡宮.jpg 翌日 日曜日朝10時頃 鎌倉に付いた、初夏の日差しの中鶴岡八幡宮の前の駐車場に車を止め 大きな鳥居を抜け中央に石で組んだ急斜の太鼓橋があるが危険なのであろう渡る事は出来ない その太鼓橋の脇を通り過ぎ 広い砂利道の中央に石畳が長く真直ぐに続く八幡宮境内を手をつなぎ歩いた、神社の本殿に向かう上り口の長く急な階段左手の御神木、大きな銀杏の木のある石段を息を切らし上り切る、(下段の写真 今は倒れて見られない以前の大銀杏 現在再生が進められている

 俺は写真を始めたばかりで 余り解っていないが、先ずは形から 最新デジタル一眼レフカメラを持ちカメラマン スタイルのチョッキやパンツそれに気取ったハンチング帽を少し斜めに被り、 ヨシ子は 淡いクリーム色のパンツと黒の大きな襟をし 胸元がブイ字に大きく開いたブラウス それにパンツと同じクリーム色で透ける様な薄手の大きく長いスカーフ・鍔の大きな黒の帽子、背丈も170㎝の女性としては長身でスタイルも良く どう見ても目立つ、

 参門の両脇の仁王様を抜け大きな賽銭箱の在る仏殿前で 二人して賽銭を投げ入れ、仕来り通りに手を打ち 結婚の報告と家族皆の安全と幸せを祈り、参拝を終え ホとしてあたりを見回している俺にヨシ子は問いかけた 「リュウ何をお願いしたの?」俺は当たり前の返事をした「皆の幸せに決まっているでしょう ヨシ子は?」「フフ内緒」「俺応えたよ」

  ヨシ子は意味有りげに微笑んで「じゃー云うわ 可愛いリュウ似の赤ちゃん!」そんな事を少しも考えていなかった俺は内心驚いた「あっ俺 すっかり忘れていた! ・・もう一度お願いに行こうか?」俺は子供の事など全然思いもしなかったが 考えて見ればヨシ子は三十過ぎている 当然考えているだろうと しばらく後から思った「大丈夫よ どうせ忘れていると言うか子供に興味無いと思って、 リュウの事も確りお願いしたから 自動車レースの安全もね」「別にそんな事無いよ」と云ったものの その通りかも、自分の子供の事など考えても見なかった 「リュウは車の事だけだから そんなに無理しなくていいよ、・・私はリュウの子供欲しいから!、でもこればっかりは神様の贈り物だからね」

 これからの生活の事など俺には全く依存していない、それも少し男として不満で有ると思っているのだろうが図星である、そんな事を話ながら、境内をあちらこちら見学し、写真を写し、ヨシ子はモデルも遣っていた事もあり、ポーズも決まり人目を引く、

 二人の記念に近くに居た叔父さんにシャターを押して下さいとお願いし 叔父さんが 「モデルさんですか?綺麗ですね」面倒だったので、ヨシ子と目を合わせ 「ええ、そうです」と答えたのがきっかけか? 叔父さんも力が入った  ”もっと左に寄って” とか  ”二人共もっと寄り添って”  絵を描く人の様に両手の指を四角に作り覗き見して、プロ並の指示をしてきた、その仕種が余りにも滑稽で叔父さんに悪いと思いながら ヨシ子と顔を合わせ笑いを堪えて5,6枚撮って頂きました。

鎌倉鶴岡八幡宮の大銀杏.jpg しばらく境内を散策して ヨシ子がお手洗いに行きたいと云うので 大鳥居入り口近くの今は封鎖されている石で組んだ太鼓橋の左手池の処で待つ事にした、

 暫らく池をぼんやり眺めていると 年頃二十台後半から三十位で和服の如何にも鎌倉婦人と云う感じの上品な女性が声をかけて来た!

「鎌倉を撮影ですか?」俺は突然の質問に戸惑い 「えぇ まぁー」と曖昧な返事をした 「歴史を尋ねてですか? 私 ちょうど用件が済みましたので 名所などご案内いたしましょうか? それに そのカメラのレンズ ”ツァイス(Carl Zeiss)”でしょう?」しばらく和服女性の首筋と腰から足にかけて色気のある曲線に見入っていたが、慌てて返事をした「はい そうですが?」また何か話しかけ様としたが 俺は遮る様に 「貴女の思っている様なプロではありませんよ 有難りがたいですが 今日は連れが居ますので」と返したが少し残念 下心が出て一瞬今日でなかったら案内に応じていたのかもしれないと思った 俺の服装やカメラを見て写真家と間違えたのか? その和服の女性は名刺を出しながら

 「そうですか 残念で御座います、宜しかったら此方に連絡下されば何時でも伺いますので」 「・・えぇ? その時はお願いします」俺は虚ろに辺りを見回して「もう連れが見える頃ですので・・失礼します」和服の女性は淑やかにお辞儀をし 「では後日 お待ち致しております」と告げ内股で静かに立ち去り、俺は少し残念そうな顔で見送っていた、

 女性の立ち去った方向に目を向けると ヨシ子が優しく微笑んで立って待っているのに 初めて気付き 何故かドッキとした 「どうして 声かけてくれなかったの?」俺に近ずき これ見よがしに 和服の女性を見送りボゥーとしていた 俺の目先で思わせぶりに手を振り女性の見送を妨げた 「どうしてって! 此方が知りたいわ」

 俺の返事がないので「 リュウが楽しそうに話していたから、知り合いかと思ったの」・「本当はリュウがどんな対応するのか興味があったの リュウ モテルのね!」

 俺は初めて改め名刺をみた 着物の着付け教室の講師であった 「俺よほど暇に見えたのかな、何所か変だよ何かの販売?狐に摘まれた様だよ 逆ナンパだね」 「それだけ、リュウは魅力が有るの、私が惚れているだもん!」 「ヨシ子だってモデルさんですかて、聞いていたよ」他人が聞いたら、バカらしくなる話だが俺達はそんな話でも今は全て嬉しく楽しかった、

 境内を出て八幡宮を背にメイン通り右手の小さな裏道り小町通り.jpg小町通りに入り 少し歩いた所をさらに小さな路地を右に折れすぐ沢山一坪か二坪位の小さなお店が幾つも集まっている、そこで可愛いガラス細工の加工しているお店に入った、以前からヨシ子に何かプレゼントしようと考えていたから あちらこちら見ている内に薄っすらと微かにピンク色した真珠の入ったティアドロプ(涙の形、中に薄い水色の水の中に真珠が入っている)形で留め金部分を金網目のピアスと金のネックレスのセットが一際 目に付いた、

 何故か迷うこと無く此れにしようと思う「ヨシ子 これ付けて見て」女店員に申し出、取り出して貰った 「うん 思った通りとても良いよ、似合っているよ ねー店員さん」「ええ とても似合っておにあいですわ、今わバロック真珠もカジュアル向きに出ていますが?」 俺は冗談で「いえ! バロックも個性が有って良いですが 俺も不完全ですから 完全な物に憧れているのかな?」 女店員 何んとて答えて良いか困っている様子、

 俺はヨシ子に向き直り 「これで ヨシ子どう?」女店員 「お目が高い、少し金額がお高いですが、これは純正御木本で厳正されたアコヤ貝から取れたものです、御木本の保証書も付いています」何故か邪魔されたく無く 女店員を無視して「そうですか 其れよりデザインが気に入りましたので ヨシ子付けて見て」内裏雛.jpgヨシ子 胸にネックレスを充て鏡を見て 「素敵よ!でもいいわよ 高い時計戴いたばかりじゃない」「あれは別だよ それはそれ」女店員に向かって 「じゃぁー これ頂くよ! このまま付けて行きますから 今外したものを包んでくださいね」

 ようよう品物が決まりほっとしていた 処に ヨシ子急に俺の腕を掴み向きを変えさせ 「ねー、これとっても可愛いわ」と言いながら 10cm足らずの小さな球と云うのかドーム状のガラス容器の中に入った 其れは小さな可愛い季節外れの内裏雛を指差して「可愛いでしょう!リュウと私みたい・・でしょ」ヨシ子はそう云って俺を見詰めた

 「お姫様は兎も角 俺そんなに上品じゃないよ」「そんなことないわ リュウだって素敵よ ねーお願い ついでに買っていいでしょう?」 「そんなに気に入ったの?」 「うん」 とコックリしながら悲願する様に見詰める顔を見て、俺は女店員に 「これも一緒にお願いします」 ヨシ子の喜ぶ顔が眩しいほど美しいとその時感じた。

 思ったよりネックレスの値段が高かったが如何してもが気に入り欲しかったので余り、好きでは無かったがカードで支払いを済ませた 「色々の意味を込め! ヨシ子にプレゼントだよ」 「ありがとう 本当に嬉しいわ、リュウから初めてのプレゼント腕時計といっしょに大事にするわ」 店員さんに向かって 「良く似合っているでしょう?嬉しいわ!」と無邪気に質問した「はい 本当にお似合いですわ 宜しかったですね」 先生はなお 嬉しそうに「私達の記念なの嬉しくて!」 本当に子供の様に嬉しそうでした、店員さんもその表情を見て「それは良かったですね、お幸せに!” 」 店員さん達一緒に喜んでくれました こんなに素直な処が有り何か皆を幸せにする人だと思った。

 店を後にして 「お腹空いたね、お昼なんにするの」 「あの店員リュウが変な事云うから困っていたわよ・・リュウ、それよりいろいろの意味ってなーに?」 冗談で小指を立てて 「いろいろはこっち色気の色々だよ」 「こっちって?」 「いろいろはいろいろだよ 分らなければいいよ 深い意味無いから、其れより何か食べようよ」

 ヨシ子小首を傾げ 「おかしな人?..そうね、日本そば屋さん在るかな~ぁ お蕎麦にしない?」 「あぁ 確かもう少し行った処の四つ角左に入った所だと思うよ」 「リュウ良く知っているね 前にだれか..ごめん」 「気にしなくて良いんだよ 今までお互い其々生きて来たんだから、色々有って当然 前にも云ったと思うが互いに過去は変えられないよ 其れより過去が有ってお互いの今が有るのだから 余り気使いすると返っておかしくなるよ もっと素直に行こうよ」 「ごめんなさい リュウは私の過去を決して聞かないのにね 時々リュウのほうが大人だね、リュウって 本当に色々な面を持っていてビックリよ」

 考えてみたら、俺が生意気な事云っても ヨシ子は今まで俺を否定する事も叱ったも無かった 余裕なのか?母が子供を見守る様な優しさに溢れた目で見詰ている、益々安心と安らぎを感じる 「此処だよ 入ろう」 店に入ると お客さんが誰も居なく 主人らしき人がカウンターで ザル蕎麦をズーッズズーッと音を立て美味しそうに食べていた、俺達はその隣に座り 何をオーダーするか壁のメニユーを見ていると先ほどの主人らしき人が 「ここのザルで食べたら蕎麦の味が分かって美味しいよ 信州から取り寄せて私が打っているから」

 このまま 黙っていると 薀蓄を語りそうだったので 「私も信州に友達が居ますから、良く聞かされました、じゃぁ大盛のザルお願いします、それと天ぷら別に二つお願いします」 ヨシ子も困り顔で 「ザルでお願いします」 本当に蕎麦は美味しかったのですが やはり たれの付け方までのうんちく、その内お客が入りだし ほっとし味蔵漬物店.jpg二人して早々に食べ店を出た、

 「リュウ なにか食べた気がしなかったね リュウは不思議な人ね、何故か人を引き付けるのね?」 「そうかなぁー、でもそう云えば よく全然お客の居ないお店でも俺が入ると不思議に直ぐに混雑してくるだよ」「ふしぎね?」「この先に味蔵(あじくら)と云う漬物屋が在るから 美味しい漬物何か選んで行こうよ、ヨシ子のお母さんにも届けてよ 少しごますりしなければ」「アッハッハ! そんなにしなくてもよいのに でも ありがとう」

 この小町通りは何時でも観光客や東京方面の人達で肩を触れんばかり混雑している、紫いものソフトクリームや近所でおせんべいの焼く匂いが漂ている ここも有名店で 皆食べながら歩いている、

 向かいの美蔵漬物店の中に入る此処も人々で込み合っている 「わぁー 沢山種類が有るのね! 珍しい物ばかりで迷ちゃう」「味見出きるから 好きな物選んで」 私達の物とお母さんに届ける漬物を混み合う中 三・四点ずつ選び駐車場まで混雑の中を戻る。

 由比ガ浜.JPG海岸(由比ガ浜)まで足を伸ばし砂浜に入り 砂浜で二人が写真を写したり冗談を交わしジャレ合う様に暫らく楽しく波と遊んでいると、此方に 貴賓の有る初老の男が近ずいて・・何処かで遭った様な?でも如何考えても思い出せない!・・その老人が俺に向かって 「これ 宜しかったら差し上げます」 と云って 小さなクスリ入れの様な透明な袋を差し出し 「桜貝です 綺麗ですよ 沢山拾いましたから どうぞ」と差し出した

俺達二人して覗き込み ヨシ子は「綺麗!淡いピンク色で本当に綺麗!ねーリュウ」と俺れに同意を求める 「これ頂いてよろしいですか?」 「ええ どうぞ!貴方方に・・」 その老紳士はヨシ子に桜貝の入ったビニール袋を手渡した 俺とヨシ子は揃ってお礼を述べ「有難う御座います」 その初老の賓のある人は低い嗄れ声で 「どうぞ、お幸せに!」と返事もろくに聞かず 踵を返す様に向きを変えた

 ヨシ子お辞儀をしながら「有難う御座います」とお礼を述べたが その老人は振り返りもせず後ろ向きのまま片手を上げヨシ子に応えながら 砂を踏む気配もなく 驚くほど静かにスムーズに立ち去って行った、俺は目の錯覚か!?その老人の後ろ姿を呆然と見送り 何か一瞬寒気を覚えた!

 ヨシ子嬉しそうに「 綺麗ね! リュウと居ると不思議な事が起きるわ」 思わず俺は 「如何して何だろう? こんなに他にも楽しそうなカップル沢山居るのに?」 なぜか俺のsixth-senseが騒ぐ! 何故か心に引っ掛る 何処かで合ったのかと考えたのですがその初老の紳士を思い出せない 俺は何か浪子不動jpg.jpgその時一瞬不吉な気持ちになった、

 其れは 徳富 蘆花 の不如帰 ”ほととぎす” の小説(病弱の浪子の台詞...人はなぜ死ぬのでしょう)を思い浮かべたからだ、逗子の海岸に石碑が立っているからか?

    作詞:土屋 花情       さくら貝の歌 

うるわしき 桜貝一つ  去り行ける 君にささげん  

この貝は 去年の浜辺に 我一人 ひろいし貝よ

  ほのぼのと うす紅染むるは 我が燃ゆる胸のさざ波 

    ああ なれど 我が想いはかなく うつし世の渚に果てぬ

 「どうしたの?」 ヨシ子が俺を覗き込む 「うんうん 何でも無いよ、これはね さくら貝の歌があって こ桜貝.jpgの貝殻に二人の愛が実る様に願いを込めて集め 集めたさくら貝の中からお気に入りのさくら貝のひとつに恋の願いを込め いつの日か願いをかけた桜貝を胸に 憧れの人に自分の気持ちを告げ 恋の成就は さくら貝が海に帰るとき、 桜貝を拾った海岸を訪れ 成就したらお礼の気持ちを込めてその海に戻すんだって、きっと さっきのお爺さん ヨシ子が余り綺麗だから若い頃思い出して 自分の若き日の失恋か壮絶の悲恋の思い出と重ねたのかな」・・「それとも俺達 年が離れているから不倫の仲と思ったのか?とにかく旨く達成する事を願い渡してくれたのでは?」折角 あの老人の好意だが 俺の心の中で何かもやもや納得がいかない

 俺の不安の気持ちはくみ取らず 綺麗の言葉だけ残ったのだろう「また!リュウはおせいじ云って! それじゃぁー 私達に必要無いね リュウと私上手くいってるもの! でも凄くモダンで賓のある人でしたし願いが籠っているから」「・・」「それと この貝殻 さくら貝と云うのね 淡いピンクで綺麗よね! リュウとの記念に持って帰るわ! 赤ちゃん出来たら 一つずつ戻そうね」俺はこれ以上訳もない不安を考えるのはよそうと思った

 それにしても せっかくの好意だ 「ねー これ いったい幾つあるんだろう! こんなに作るの?」 「大丈夫 リュウなら出来るよ」「こんなに?オットセイだよね」 「その位 健康で有って望しいから」

 又 しばらく二人で写真を撮り波と遊び  ヨシ子が躊躇するように「リュウ 前の奥さんの事だけど 気を悪くしないで聞いてくれる!」 「うん 何?」 「一度 合いに行ってらっしゃい、リュウ何か何時もひっかかっているみたい」「如何して? 俺はもう何とも思っていないよ」「解かるのよ! 男女の愛ではない事は解っているの でもね リュウは正直で優しいから 判ってしまうの!」「・・」

 「 私の事は気にしなくて良いのよ、其の方が私にも良いの 何時も気になって吹っ切れない気持ちのリュウを見ているのが 私 辛いの!」「・・」「 心の中でも ちゃんと別れて来てと思うから 気持ちの整理ついてからで良いから そうしなさい、私の為にもリュウ自身の為にも  ね!」 語尾はかなり強くなっていた

 凄いな全て分かっているよ、俺が、幸せを感じれば感じるほど、もう、心の傷は癒えたのか、一人で大丈夫なのか?彼女の事が気になって心配になっていた事も事実だ!それと前の奥さんの父からの資金の提供スポンサーの件、先生に対し後ろめたい 「ご免なさい、その内ね」 ヨシ子が決してやきもちや怒りで無いことは、解っていた、ヨシ子は優しい言葉で 「そうよ、もうリュウの一部だから、分かるのよ、そんなリュウを感じる時、少し寂しいな!」 俺はもう一度 「ごめん!」 言い訳は言いたくなかたし 見透かされている、俺の気持ちを尊重し傷付けまいと時々お母さんかお姉さんの様だが 俺の心が別の処に在る事がヨシ子に取って一番辛い事である事は痛いほど解っている・・・が!俺は心の中で ”すまない もう少し待ってくれ” とつぶやいていた 

 ヨシ子は気持ちを変える様に 楽しいそうに「本当にリュウと一緒だと楽しい事ばかり、今までこんなに楽しい時を過した事無かったわ リュウありがとう」 「俺も同じだよ!ヨシ子と居ると安心して自分になれるよ」 「本当 私勇気出してよかった、リュウを誘う時 本当に勇気出したんだから、リュウたら考えろって 威張って帰ってしまうだもん 悲しくて泣けてきちゃった、でもそれで今が有るから良かった」 「ヨシ子は 俺の荒んで歪んだ心直してくれたんだよ、今のこの気持ち何時までも大事にしようよ」 「はい!大事にするわ、人を好になるて事は理性や論理知性では無いのよね」

 「だろうね 俺と全然違う生活をしているヨシ子を好きで好きで堪らなくなったから 不思議だよね、帰りちょっと寄り道して美味しいビーフシュチュウ食べさせてくれる処あるんだ 寄って行こうよ」 「はい 嬉しいわ 行きましょう、アッハッハァ リュウはムードでると直ぐにお腹に来るんだから!

来来庵.jpg  由比ガ浜から八幡宮へ戻り建長寺をへて21号線を北鎌倉方面へ長寿寺近くで駐車場を捜し其処から徒歩で2,3分、店は通り沿いにある来来庵(ライライアン)看板門をくぐり、石段を登り玄関になる、昔ながらの民家ふうで山を生かした庭は情緒豊かで、店内は左手が座敷、右は土間にテーブルが一列に並び、テーブル席に案内された 「リュウ 本当に色々な所知っていて驚いたわ 凄く風情の在る所ね」 ここの特性ビーフシチューにライスとサラダ それにデザートに抹茶とレアチーズケーキを注文した 

 ビ^フシチュー.jpg「此処のビーフシチューはかなり昔から始めた様で、軟らかく煮込まれた鎌倉牛が美味しいよ、デミグラソースもまろやかで優しい味だよ」 「隠れた人気店なのね、古い建物と庭との境が素通の様で気持ち良いね」注文した物が運ばれ店員が 「長い事 お見えになりませんでしたね、これ店で初めたばかりの品 サービスですからお二人で召し上がれ」 凄いな タンシチューだ!

 「本当に良いのですか? 有難うございます 余り来ていないのですが如何して?」 「何か貴方 印象ぶかく覚えていました」 御ゆっくりして下さい」 「はい なんだか申し訳ないが有難難く頂きます」「どうぞ 御ゆっくり」軽い会釈をして厨房に戻った  ヨシ子 俺をマジマジとみて「ほんと!リュウって不思議な人ね」

 「いや 今日は特別だよ、ヨシ子と一緒のせいだと思うよ さぁー食べよう」俺にもサッパリ解らなかった「はい! 本当軟らかくてとろけそう ソースもまろやか美味しいね、今日は本当に幸せよ」 「 俺 ヨシ子の笑顔が一番好きだから・・ 少しキザぽいね!」 「そのキザな言葉 リュウだったら許せる、もっと聞きたいわ 日本の男性は云わなさすぎよね」 「俺も抵抗有ったが 外人の処で働く様になったからかな?」

抹茶とレアチーズ.jpg  食事を済ませ、出入り口の会計に支払いに、先ほど食事を運んで来た女性がいた 「リュウちゃん まだわからないの!私よ」 「え!..だれだったかな?」 「分からないの? 小学年の時 同じクラスの藤森よ! 待って居たのにリュウちゃん結婚しちゃったから あちらの方なの?..綺麗な人ね」

 「あぁ! ヤッちゃん?(泰子)」思い出した! 成績優秀な可愛い子で俺の隣の席で 確か国語のテスト合わせで隣りと交換した時 俺ほとんど解らず白紙で、ヤッちゃんがビックリして ”私全部直して上げる” と言って 答え全部自分で書いて回答に丸付けて 全部正解100点にして 俺がそんなに出来る訳無いのに、後で一緒に職員室で先生に叱られた事があった、でも少し面影が残っていたが本当に女性は変わるんだと改めて感じた

 「そうよ あの時結婚してくれるって 私 待っていたけど先に結婚してしまうから 辛かった!・・それで前から話のあった此処に嫁いだの」「俺そんなこと言ったの?..それに小学生の時だよ 本当に?」 「本当よ ズーット待っていたんだから!」

 「ごめんなさい、そうだったの 何って云って謝れば良いやら..本当にゴメン、でも良かったね俺に比べ こんなに良い所へ嫁ぎ 本当に良かったじゃぁない!・・それでさっき変な事言うなと思ったよ 解からなくて悪かったね」 「もぅーすっかり忘れているんだから いいわ許してあげるから時々来てね」 「もちろん!そんな事覚えていて許さないって云ったら..あぁ びっくりだよ!」多分 俺の前の奥さんの顔も 離婚の事も知らないのでは?

 御手洗いから戻り 少し離れた所で待っているヨシ子を呼んだ、きっと話をあわせてくれると思い 「えぇと!家内のヨシ子です」「 何か変だと思ったが こちら小学校の時の友達 泰子さん だよ」

 ヨシ子も話を合わせてくれ「あぁ そうでしたの 妻のヨシ子です 大変美味しく頂きました よろしくお願いします」泰子はかなり客慣れして 「此方こそ これを機会にどうぞ御ひいーき下さいね」何を思ったのか ヨシ子に似つかぬ御世辞「その頃 龍崎にいたずらされ お困りでしたでしょう?」 「いいえ 凄く正義感が強く良く助けて頂ました、懐かしくつい声を掛けてしまい よろしかったら時々 お訪ね下さい」

 「はい ありがとう御座います、とても美味しく頂ましたわ 又伺わせて頂きます それでは失礼します」 たった少しの この会話 女は澄まし顔で 俺にはなにか冷たい火花を感じた様に思えた!

 「リュウ?あの人と何かあったのかな~、ちょっと変だったよ」女性の感は鋭い「まだ小学生の頃だよある訳無いでしょう でも話合わせてくれて有難う」 ヨシ子は冗談ともつかない顔で 「女性はもっと大人よ..」 「ヨシ子もそうだったの モテタでしょう?」 ヨシ子は澄ました顔で「私は..何にもなかったわ」 俺は冗談らしい話振りで 「本当かな?」 フッと膨れた顔で 「リュウと違います!」。

 その数日後、鈴鹿行き前々日のヨシ子 「リュウ、今回私仕事で鈴鹿に行けないから」 「うん、分っているよ」 「それでね 私リュウのお母様にお会いして来ますから」 「いいけど 俺と一緒に別の日に行けば?

 「リュウ ダメです! もう私達一緒に暮らして居るのですから、遅い位 だらしない事は ちゃんと報告しなくては駄目よ、今連絡して下さい!」 俺は首をすくめ 「はい! 解りました」 おぉ恐い!、ヨシ子に初めて叱られたが 何故か凄く安心感に包まれた、俺はお袋にヨシ子が1人で訪ねる事を電話で報告し了解を得た。

タッチおじさん ダヨ!.jpg  フー!まだかよ!..此処まで読んで下さり有難う御座いますストーリ【前編7】へ続きますクリックね《http://touch-me.blog.so-net.ne.jp/2010-12-11-3是非お読み下さる事お願いね


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ナベジュン

タッチおじさんこんばんは!さくら貝綺麗ですね!つい料理の写真に目がいってしまいました。
今日は6まで読みました。
引き続き参上いたします!
by ナベジュン (2013-01-21 22:37) 

ja1nuh

今晩は、毎回引き込まれて読ませていただいてます。 文章は荒削り(失礼)ですがストーリーや表現が素晴らしく毎回楽しく読ませて頂きます。 これまではさわやかな展開でいつこの幸せの状態が崩れるのかと心配になってしまいます。 リュウの清々しさにとても魅力を感じます。
これからも読ませて頂きますのでよろしくお願い致します。
by ja1nuh (2013-03-03 19:16) 

RuddyCat-Lalah

ここまで読ませていただいたのですが、
レースや二人の会話以外の場面でも
非常にリアリティな情景が私の中に浮かんできます。
街の様子、レストランやショップの描写の為だったと
今更に気がつきました。
ここまで情景を語れるのは、
タッチおじさん がいわゆる取材に行かれたからで
しょうか?私が一度も訪れたことの無い場所でも
とても鮮明に浮かんできます。
by RuddyCat-Lalah (2013-03-04 20:08) 

テレーズ♪

未読も結構ありますね。
by テレーズ♪ (2013-05-12 13:42) 

ちゅんちゅんちゅん

こんばんは!
ハンバーグの会話、
光景が目に浮かぶようです。
これからどうなるのか、ワクワクしてます。
お料理もすごくおいしそうで
深夜に読むのはつらいかも(笑い)
by ちゅんちゅんちゅん (2013-06-12 01:06) 

ちゅんちゅんちゅん

こんばんは!
あまりに暑いので。
綺麗な海とさくら貝みたさに
こちらにやってきました(^^)
温泉に行きたくなったら
温泉の出てくるお話のところに出没しますよ~(笑)
by ちゅんちゅんちゅん (2013-07-31 02:54) 

つなみ

タッチさん、いつもありがとう(*´∇`*)ノシ
by つなみ (2014-06-18 11:02) 

つなみ

タッチさん、コメントありがとう(*´∇`*)
by つなみ (2014-06-20 14:34) 

mimimomo

今日はここまでです^^v
by mimimomo (2015-08-29 15:54) 

ちゅんちゅんちゅん

こんにちは!
ご無沙汰してしまって(*_*)
猛暑&台風ですね!
コンビニで非常食を購入しました、
逸れてくれるといいのですが(ーー;
touchおじさんさま地方も
被害などありませんよう
祈っております☆
by ちゅんちゅんちゅん (2016-08-27 13:30) 

mimimomo

こんばんは^^
結婚前にお互いの両親に会うのってなかなか骨ですよね~ わたくしの場合はもう両親いなかったし夫は楽だったと思います^^ でもわたくしは大変でしたよ~!
by mimimomo (2017-09-21 18:46) 

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