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枯れ葉の流れ着く先 【幻:前編2】 「Fictoin Story」 [小説(story) Fiction]

      ☆=ストーリ【前編1からの続きです、是非お読み下さい=☆

  《逗子海岸》

 BMW5.jpgラウンドマークタワー横の地下駐車場の俺の車の前で「先生、こんなトラックの様な車に乗ること初めてでしょう?・・ちょっと待って下さい」 と先生を手で制止、

 俺はレース用の車と違い普段愛用している車には余り性能やスタイルにも無頓着で、沢山荷物を運べ力強くオフロード(off-road)も走れる車で在れさえ良く余り清掃もしてないが定期整備はしている

 BMW X5 xDrive30i silver の助手席ドアの脇で先生を制し 俺は慌て助手席に乗り込み散らかしたCDや雑誌等を後部席に投げ入れ手箒で埃を払い 「どうぞ」 と あらため先生を招きいれた、

 先生はにっこりして 少し高めのステップに足を掛け俺に振り向き 「私だって知っていますよ BMW4WD(四輪駆動)とか多目的スポーツ・ワゴンとか云うんでしょう」  女性のわりには良く車の事知っているな助手席に座り込むのを見届けドアを閉めフロント側を回り運転席に付いた

 「ワゴンと云うよりメチャメチャ汚れていますからトラック見たいな物で、 先生! 俺はこの車見たいに多目的で便利ですよ どうぞ何時でも御利用下さい」 ようやく少し落ち着き何時もの俺に戻ってきた様だ! 

 微笑を浮かべた顔で俺の目を覗き込むように 「そうよね 此れから色々お願いしようかな?」 余にも率直な返事が戻ってくるなんて その上覗き込顔が優しく美しい! 予想も出来ずドツキとして俺は返事に詰まり前方に顔を向けた「・・・!」

 ヨシ子は龍﨑の横顔を何気なく見つめ 時折見せる横顔が余にも寂しく愁いを帯びていることに改めて心が動いていた そんな俺の戸惑った顔に反応するように  先生は「冗談ですよ!」と明るく答えた 俺は慌てて訂正する様に 車と俺自身を兼ねて 「いえ!こんなので良いのなら何時でも」 「有り難う・・・・」 先生の屈託の無い素直な返事にホットする

 先生は暫らく移り変わる景色に目を移していたが 先生自身に問いかける様に「ねー ・・何故か?貴方と同じ匂いを感じるのよ・・弟の様な! 私に弟はいないんですけどね」 躊躇する様に話終わりに 初めて俺を伺う様に顔を向けた きっと俺に興味を持ちどんな反応をするか知りたかったのだろう

 多分先生にとって単に別世界に生きている生き物に興味を持った位のものだろうと思い 俺は澄まし顔で 「へー!・・俺は先生の様に爽やかな鈴蘭の様な素晴らしい香りはないですよ 汗と油の匂いです、それと時々オナラもね」 今度は先生 益々目を丸くして 「ちっ違います!・・その匂いではなく」 俺は してやったり! と顔を綻ばせて 「解っています 冗談ですよ! 人としての感覚や物の考え方がでしょう ・・でも先生とは違うと思うな」

 先生は悪戯坊主でも叱るように 「モゥー 貴方って人は!」 ・・・落ち着きを取り戻し 「いいえ 奥様が入院中少しの期間ですが おおよそ五ヶ月間 貴方を視て話をしたのよ!少しは貴方を理解していると思うわ・・・ それにこの香水 職業上普段は付けられませんが これは私の好きなゲランの夜間飛行と云うの・・どう?」 先生は五ヶ月間と言ったが 会って話したのは数回だったと思う 俺の匂い発言で気になったのだろうが

 香水などに縁の無い俺 どのように応えて良いか解らない 「どう?・・って云はれても!・・爽やかな良い香りですが・・何かむらむらするような」 「バカね!」 その見つめた目は 何か母に似た優しさに包まれ 私に安堵と安らぎを与えた、

 俺はなお失礼の無い様に付け加えて 「先生のは程よく良い香りですが ・・時々 特に外人や中には日本人にも 噎せ返る強烈な匂いの香水付けている人がいるが 俺はたまらなく嫌ですね」

 先生 俺を覗き見るように 「私は大丈夫?」 と当時院内で自信に溢れた対応とは思えぬ不安そうに俺を見つめる顔がとても可愛いらしい 「俺 先生の匂い好きですよ!」 香りと云はず匂いと思わず洩らしてしまい なにか生々しく獣のようで 先生の顔も見れずに前方見つめたままハンドルを握って頭を縦に振る 「本当に?良かった!」 先生の屈託のない明るい声が聞こえ何かほっとする。              
 
かもめ.jpg みなと未来から本牧に向かい首都高速本牧インターを入って通称横横(横浜横須賀高速道)で鎌倉へ、鎌倉の切通しで有名な一つで朝比奈インターを降り、

 突然今までの景色が一変する様に日差しが遮られ大木が立ち並ぶ薄暗く奥深い緑の急勾配に曲がりくねった対向車とのすれ違いが少しきつく狭い山道を鎌倉霊園まで安定した4WD (four-wheel drive)の素晴しさを味わいながら駆け上がり鎌倉に向かって曲がりくねりながら又坂を下る、

 やがて鎌倉鶴岡八幡宮の正門、左右の車道を挟み中央に腰の高さほど一段高くなった桜並木の歩道が大きな鳥居に繋がている、当時の権力を示す何処までも真っ直ぐに長く海岸まで続く、両脇には沢山の老舗が門構え大きく並んでいる 何時も変わらず観光客で賑っている鎌倉のメイン道路沿いに由比ガ浜海岸に出る、今までの圧迫された景色から開放され何処までも真っ青に大きく広がる湘南の海辺を眺めながら左に折れ材木座海岸をへて逗子へ向かう。

 車のウインドウを下げると心地よい海の磯風が飛び込んでくる、 穏やかに揺れる波がキラキラと光を乱反射し 水平線の彼方まで何の障害物も無く 何処までも青く広がる波間の先に帆が閃く、
 何時もなら遠く感じる道のりだ いつもと違い何処か浮ついていたがやっと平常心を取り戻した様でジョークなどまじぇ話している間に 意外と早く着いてしまったように感じられた。

 予約時間より実際に早く逗子に着いたので車を海岸沿いの駐車場に止め、石原慎太郎 太陽の季節の小説と岡本太郎の太陽をモチーフにした記念碑のある階段から砂浜に出ることにした。

 時々海岸の砂を巻き上げる海風が強く吹き荒れ 所々溜った砂で段差も隠れてしまった階段を踏み外さないように海辺に降りるが・・

逗子海岸1.jpg 「あっ!」 突然先生の小さな悲鳴、

 砂に足をとられ少し滑ったようだ 俺は思わず 両手を広げた先生の右手を咄嗟に掴み体を支えた 先生も確り握り返し 少し俺に体をあずけながら何事も無く階段を下り砂浜に互いに無言のまま出る、

 ほっとしたのか、俺は急に恥ずかしくなり 慌てて先生の手を振り切る様に放した。

 「ありがとう」 と云って、俺を見詰めた先生の顔が余りにも近くにあり 其の上ドッキとするほど色気を感じる。 途端に俺の脈拍が上がる、何故か返事に戸惑い 「いえ」 がやっと出た。

 「レーサーなのね、反射神経が鋭く咄嗟の反応が速いわ」 その様に話しかける先生の優しい瞳が眩しく 慌てる様に目を反らし 小声で 「ええーまぁー」  と応えた俺の顔が赤らむのが分る 一体如何した事か? その途惑いになおさら動揺する。

 先生は歩きづらそうにして 「靴に砂が入ってしまったわ」 誰に訴える訳でも無く呟いた、

 俺は先生の前にしゃがみ込み 俺自身の戸惑いを打ち消す様に 意思を込めて少し言葉を強めた 「先生!俺の肩に掴り靴を脱いで下さい」 躊躇している先生を催促する様に下から見上げ 「さぁー!」 と強めに声をかけた、

 先生は恐る恐る俺の肩にそっと手をつき、砂で汚れた高級そうな黒の革靴パンプスとでも呼ぶのか すんなりと伸びた足を 今度は大胆にも無造作にパンツを膝辺りまでたくしあげ  不安定に躊躇しながら俺の膝の上に差し出した、

 不思議なもので街中をショートパンツで太股露わに闊歩する女性を見てもそれ程心揺さぶられることは無いがそのアンバランスの仕草と 一瞬パンツの隙間からその魅力ある脹脛(緋)の奥にチラリと見え張りのある太股に目が釘づけになり異常に胸が躍る!

 俺の気持ちを見透かされまいと慌てて眼を移し そのきゅっと締まった足首を優しく掴み靴を脱がせ クチャクチャになったハンカチーフを尻ポケットから出し 足裏の砂を払う、 きっと こそばゆかったのだろう 「キャハァ!」 言葉にならない小さな悲鳴を発し慌てて足を引こうとしたが 俺は無視する様にかまわず足首を強く握り足裏の砂を払い その足を俺の膝に戻し 靴の中の砂も取り除いた、

 靴中の下敷ラベルには”ferragamo”と記されていた ”へェーすごいな イタリヤのフェラガモ高級品だ” 勝手に下心が有るのではないかと思われるのではないかと思い 顔をも見れず無言で靴を戻した。

 長い間だ忘れていた女性の柔らかで微かに暖かな手や足を握った感触が生々しく、急に恥ずかしくなり言葉につまった、

 先生は改めて 「有難う助かったわ!」 俺は取り澄まし 「いえ」  と言う返事をする事がやっと出た

 俺達は暫らく人々と長閑な海をぼんやり眺めながら歩き しばらく無言の時が過ぎた 俺の胸の高鳴りも静まり 何か会話をしなくてはと思い 少し遅れて歩く先生を振り返り 気持ちを整え 「あのうー・・・ そのイタリア製の高級な靴で砂浜歩いて大丈夫ですか?」 先生は笑顔で 「意外と優しいのね、気にしなくていいのよ!静かに歩くから」 多分靴の砂を払いのけた一連の行動の事だろう 俺はジョーク交じりに 「意外と ですか?」 先生は無言で笑顔で応えた、何と答えて良いのか 意外に話が続かないものだと少し焦りを感じていた。

zusi.jpg 此処逗子は長閑に日差しも柔らかく、爽やかな風が時おり吹いて、大きく緩やかに湾曲した遠浅の砂浜 ウインドサーフィン(windsurfing)や小型ヨット(sailboat)でセーリングをしている人や、幼い子供の兄と妹で有ろう 兄が夢中で何かを妹に説明しながら砂山を作って遊んでいる、それに恋人どうし や ゆったりと散歩を楽しんでいる人々が見える、

 何かこの湾の砂浜に降りた直後 今までの生活の騒音も消え、現実の世界から切り離され 寄せては返す規則正しい穏やかで心安らぐ潮騒(1/f の ゆらぎ)を耳にしながら 平和なゆったりした時が流れ 安らぎさえ感じる別世界に入り込んだ様だ、

 互いに靴に砂が巻き込まない様に静かに足を運び、俺の焦りも知る由もなく 先生は安らぎをくみ取る様に 暫く無言でそんな人々をボンヤリ眺めながら波打ち際をゆったりと歩いた、

 それが数分であったのか どれほどの時が過ぎたのか俺れには長くもあり短くもあった、俺は焦りを覚え 何か会話を交わさなければと 落ち着く為に大きく息を吸い、 何故か離婚した妻 美奈子との経緯を話し始めた 「俺たちが結婚して・・・」

 先生は遠く海の水平線をぼんやり眺め当時を思い浮かべる様に 俺の話を遮る 「奥様から聞いています」 突然!俺に向き返り 「・・あっぁ!もう奥さんでは無いですね、とにかく離婚の件と静養を兼ね軽井沢に移る事で、あちらの病院に診断書を添えて上げました、・・・この様な話しをしてよいのかしら?」

 先生は自分に問いかける様に暫く考え込み無言が続いたが 「・・でも・・そうね、事実を話した方が誤解が無く良いと思いますので お聞きするのですが」 ザァー・・・ザッザァー沈黙に耐え切れない様に一定の間隔で押し寄せる波音が微かに響く。

 尚も躊躇している様だ、暫く沈黙があり、俺は堪らなく聞かずにはいられない気持ちが沸きあがり 「途中で止めたら気になるよ、何でも聞いてよ!・・・先生!」

 先生は意を決した様に話始めた 「貴方!何処か身体が悪いのですか?」 「いえ何処も?あ~ぁ!頭は悪いですが?」

 「そう云う事ではなく、ハッキリ質問するわ」 なんだ、此の先生冗談も通じないのか 「それで・・何か?」

 ・・・先生は意を決した様に俺を見詰め 「貴方方は結婚している事に関わらず一度も男女関係は無かったのですね」 エッ なんだ!この先生!上品そうな顔をして顔色一つ変えず無表情、余りにもギャップの違い 何の動揺も無く冷静な普段の会話、まるで医者の講義用の話し方だ、

 もっとも医師である事は間違いないが 余りにもサラリと云ってくれて 本音はホッとした、それに食事の誘いに応じたのは 俺が離婚した事実を知っていたからだろう。

 先生は尚も冷静に 「それに以前奥様が五ヶ月余り入院中 貴方は一日も欠かさず夕方から翌朝まで奥様の横の借りベッドで泊っている事も知っていました、そんな貴方の暖かさと優しさ それとあの時の貴男は..何かの目的の為に悲壮的な激しさ さえ感じました、それ程愛が有ったのに何故? 奥様が心臓病だったからですか?それとも貴方・・・ED(erectil dysfunctin)障害?」

 俺は体の怪我や病気か精神的か判らず 先生の質問の意味に戸惑った  「・・・!?」 

 俺に対しての説明が纏まったのか又先生は改めて俺を見詰め直して 解り易く  「もしかして何か肉体的障害か精神的障害が有るのですか?」

 俺はどの様に説明してよいのか解らず 「どの様な意味ですか?」 先生は何故か目をそらし伏せ目がちにし 「・・解らないの?相互的にと云うか一般的に・・・」 俺は改めて先生の顔を覗く様に見直し応えを探した

 俺は内心少しの驚きは有ったが たぶん心臓病の患者や家族から そんな相談を受けているのかも知れない、医師として純粋な質問に応えなければと感じ  

 「いいえ 正常と云うか 人一倍と云うより欲望の塊のような危険な男ですよ!」 後半は冗談交じりに誇張して答えた 先生は無表情に無言で 尚 俺に何故と云う表情で俺を見詰めた

 ・・まったく!全然冗談が通じない こんなに綺麗で可愛い顔して上品な先生が、会って直ぐだと云うのに意外な言葉に少し当惑したが ”まったく!なんて事云わすのだよ” と思いながら不思議なもので咄嗟に出た言葉は人並みで無く人一倍だった・・一体 俺は何を強調しているのか、

 他の男達がどれ程のものか知る由もないのに益してや普通の男なら曖昧に答えるだろうが、長い期間の禁欲生活がそう云はせたのか?先生を驚かせたかったのか 心の中で笑えて来たが 俺の悩みを真剣に受け止めてくれる先生に真面目に答えなければと思い、

 「確かに先生の言う様に異常だったかも知れないが結婚当初そんな生活が俺には全く気にはならず本当に楽しく過ごし!・・こんな俺でさえ泥沼に咲く睡蓮の様に彼女(美奈子)に接する度に心が洗われてしまう人なんです、彼女はそうした汚れの無い人で決して汚す事なんって出来ない天使なんです!・・でもそんな事が長く続くはずもなかった!時が経ちその異常な事に気が付いた時には もう遅かった!」 「・・・」 「今更 俺には如何する事も出来なくなって互いに傷ついて・・行き場を失ってしまった・・」

 先生は俺の説明に驚きも無く冷静に 俺自身の事に触れてきた 「辛い過去に触れますが医師としてはっきりさせて置かなければいけないから、それに貴方に間違った見解をしない様にね」「ええ」「先ほど車の中で香水にむらむらとおっしゃいましたのと確かカーレーサーでしたね、それで正常だと思いましたが はっきり確かめたかったの」

  医者って其処まで聞くのか?それも本当に必要な事かも? このとき俺は感じた職業的質問だと、やはり先生だなと・・それに先生はレーサーに対しどんな判断をするか気になった

 「先生!あの時レースを辞めてしまって、今また再トライしようと思っていますがレーサーだと何故?」「そうね・・質問の答えになっているのか解かりませんが、一概に当て嵌められないのですが男性的で攻撃的でなければ競争心が生まれないでしょう?」「俺が攻撃的!?」・・当時の俺はその通りだったのかも知れない 多分そう感じさせていたのだろう、先生は慎重に言葉を訂正する様に

 「今の女性も競争力が強い人もいますが それに貴方が攻撃的かは判りませんが競争心が起きる事は決して悪い意味では無いのよ、・・人間にはアンドロゲン(androgen)とテストステロン(testosterone)というホルモン(hormone)、今の男性は少なくなっているようですが 女性にもエストロゲンとプロゲステロンは有り重要です 一生に作られる量はスプーン一杯位だそうです、其れに男性も女性にも両方のホルモンは有るのよ ただ割合が男女少し違うの、ホルモンは其れだけでなく体内の色々な処で役割別に作られているのよ 詳しい事はともかく・・それから?」

 可愛く先生は首を傾け俺に話を続けさせた、俺はなおも経緯を話し続け逗子海岸.jpg

 「それで・・ 彼女の病気もあったのですが 俺の中で勝手にイメージを作ってしまい、こんなに汚れを知らない素直で優しい心の持ち主をと思うのは俺だけでは無いと思 彼女に接した人なら誰しも思う事でしょう、

 あの頃荒みきっていた俺にはイノセントワールド(innocent world)何所か別の惑星からの天使が場違いな所に降りてしまったのでは、なぜ俺なんだ!

 俺の様に汚れた手で穢してしまってはいけない、今までの肉欲を捨て 此れが俺を変える試練だ 何がそうさせたか解らないが?、その不思議な純粋な魅力に何時しか取り込まれ 俺が守らなければと勝手に自分の中で作り上げてしまって 変えることなど決して出来なかった。

 其れと彼女の病気を治して頂きたかったのは おれ自身の全てを賭けた夢 カーレースを続けたい為でも有ったから、俺の出場するカーレースかなりの集中力が必要で其のたび妻を気使っていられない、

 多少のアクシデント等のショックに堪えられる体に戻って欲しくレースなど続けられる状況ではなく、況してやあの頃は子供など邪魔であって子供を作る事など以ての外 其の上子供を生む事に耐えられる体ではなく、そんな事は如何でもよかった 全てそれ以前の問題で只々心配でたまらなく・・

 こんな事話しても誰も奥さんが病気だから当たり前でしょうと言われてしまうし・・、何所にいても救急車のサイレンを聞くたびにドキッとして慌て確認の電話を入れたり、そんな状況でカーレースも出来なくなり、何時も不安で其れが長期に続くと看護疲れも重なり心と肉体がばらばらになり 当り前では済まされなく 疲れ果ててしまい、駄目なもので入院していた時の方が本音 ほっとして心からほっとして安心して休めたよ。

 ・・其ればかりか、このまま永遠に病院に預けられたらと妻の幸せも考えられなくなり、そんな悍しい恐ろしい事まで考える様になり!・・俺は只々、彼女を守りたかった!それだけで良かったはずだが!それが足枷になり・・そんな事を少しでも考える 俺に嫌悪感を持ち俺自身をどう扱ってよいのか自暴自棄になっていたよ」

 俺は今までの苦しみを吐き出すように先生に一気にぶっつけた!

 黙って頷いていた先生を見て、俺の愚痴を聞いている先生はつまらなのではないかと 「こんな話つまらないでしょう?」と尋ねた

 先生は顔を上げ俺を見詰め 催促するように 「いいえ!お伺いしたいわ、どうぞ続けて下さい」 この人は初めて俺を理解してくれるのではかと思い初め話を続けた

 「先生だって知っているでしょう、彼女がどんなにピュア(純真で汚れのない)で人を非難したり傷つけたりする事が出来ない人だと! もしこの世に神がいるのならなんで俺なんだ!脾肉な事をするのかと思いました..かつての俺を知る人は、そんなの、うそだ!何故結婚する必要が有るの?と、信じてむらえず、子供のママゴトじゃぁ無いんだよと失笑され!その上逆玉を狙ったんだろうと、ましてやレースなど遊びであってと軽蔑され職業では無いと理解してむらえませんでした」 「・・・・」

 「だからこそ、なお更貫き通し汚す事が出来なかった 彼女が先生に相談していたなんって!、・・心に閊えていた事が、やっと一人でも事実だと知って頂き 俺が間違っていたのかも知れませんが そんな愛し方もある事を・・・・何か救われた気持ちです!」

 先生は暫く考えていたが、力強く 「確かにその通りな、心優しく汚れの無い人と思いますが、それは違います、男の勝手な妄想です! どんな女性も人として愛と安らぎを感じたいのですよ、それと何故、信頼できる誰かに相談しなかったのですか?」 余りにもハッキリと否定され  

解っていない.jpg つい俺は声が荒くなり 「正常な結婚で無い事など解っているよ!・・理屈じゃないよ!何故こうなったか?俺にもわからないよ!だから・・」 

先生はすまなそうな顔をして 「ごめんなさい、貴方を傷つけるつもりはないの 人はそれぞれ違うのにね、それに如何にもならない事ってあるわよね!」 俺は以外に思った 普通なら俺に怒りを感じるだろうに そう思いながらも話し続けた

 「うまく説明できないが・・先生は男の気持ちが解っていない!、現に美奈子に会うまでの俺がそうでした、本当に愛してしまったら あの純粋で穢れなく子供がそのまま汚れを知らずに大人になった様な人を絶対に傷つける事が出来ないよ!

 彼女は何かが違うんだよ!自分の欲望に走れる訳がない!俺が守らなければ誰が守るんだと思い・・只々 守ってあげたかった!」 「・・・」 先生は黙ってうなずき俺の次の言葉を求める様に俺の目を見詰めて待った

 「今でこそ 冷静に考えれば 俺に出来る訳が無かったのに・・・何故なのか其処に陥った人でなければ 俺の心など解らないよ! そうしてやる事だけが随一俺が出来る事と思い ・・幾度となく妻と話合い 時にはそれが妻にとってどんなにみじめな事か 妻から俺に抱きつき迫っても ますますそれを受け入れる事が出来ず、

 その都度二人で何回も傷付き涙し ジレンマとの戦いに疲れても、 俺にはなんとしても自分が作り上げた汚れを知らない妹の様なイメージをひたすら守り 何故か壊す事が出来なかった!

 出来れば 聖人君子でもない俺が疲れ果て何時か壊れ 他の女性に走る前に俺を殺して欲しいと幾度となく考えたことか」。

 先生は両手を前に出し下に向けて押さえる様に振り下げ 俺を制しながらも優しく 「少し冷静になって! 落ち着いてねぇ・・ 落ち着いて下さい」

冷静に.jpg 「すみません ただ先生だけには 解って欲しくて! ・・今だからこんなに冷静に話せますがどんなに苦しかった事か、俺だって男だよ!女が欲しいとどれだけ思った事か!、又 俺の為に妻がどれだけ勇気を振り絞り、羞恥心に身を震わせ心を震わせた行為か 痛いほど解っているから、尚更痛ましく苦しく切なく侮辱した行為か!知っていても如何する事も・・、本当に疲れ切てしまい」。

 如何したのだろう今までこんな事は決して無かった、自身の心の底を素直に開き真剣に思いの数々の全て話せ、しかも此れほど理解されたく訴えている、・・そんな優しい目と軟らかく抱き締める様に受け止めて、なんの気取りも無く何時でも本音で話してくれる・・俺は何の拘りも無く、今までの溜りに溜まった全てを一気にブッツケ吐き出している・・何故だろう、不思議だ?なおも俺はサーファーの人達をボンヤリ見詰め砂浜をゆっくり歩きながら話を続ける。

ウインドサーフィン逗子.jpg 「そんなある日 妻が置手紙をして実家に帰ってしまった、貴方を自由にしたいから 貴方の夢を叶えて下さい、どんな時でも貴方は私の為に飛び返って来てくれ どんなに疲れていても私の傍に一晩中看護していてくれていた、

 貴方が私を想って大事にしてくれて本当に涙がこぼれるほど嬉しかったか、そんな貴方に何も答えられない自分が辛く悲しくやりきれなく感じていました、貴方が思うほど私の心は美しくありません これ以上は互いに傷つけあう事になり兼ねませんし それに私もこれ以上の負担や重荷を背負わせる事に耐えられません、

 これからは貴方は誰にも邪魔されずに好きなカ-・レ-スに夢を駆けて下さい・・・・あと細かい事は省略して・・・

 貴方は野菜あまり食べないので、料理が嫌でしたらコンビニエンス・ストアーに一食分の野菜サラダ有ります必ず食べる様に心掛けてください、それにアンダーウエアーは箪笥(chest)の何処にあるとか、まあそんな事が書き記してありました」 

リュウ&ミーコ思い出1.jpg その時の事は 先生には話せなかったのだが

 部屋は何一つ普段と変わらなかったのに静寂の中、何か強烈に冷たい風が吹いているような、狭い空間がやけに広く 妻の暖かさを今更ながら感じ手紙を持ったまま崩れ落ちしばらくそのまま床にしゃがみこんで北国の真冬の荒野の中に取り残されたように動くことが出来なかった、あれだけ心配をかけ疲れ切っていたのに・・ほっと するどころか物凄く侘びしく苦しく、

 お互い憎んで別れたのなら こんな寂しさは起きなかっただろう、何故か妻の楽しそうな笑顔だけが思い出され、今更ながら悲しさと虚無感を強烈に感じた。

 「それから暫らくして彼女の母親から手紙と離婚届けの書類が送られてきまして、どうか何もしないで下さい 貴方の声や手紙を見るととても悲しそうにその上心乱れているのがわかります、本当に貴方が娘を大事に愛して下さった事 良く解っています、以前から貴方に負担が掛かりますからと申し上げて来ました、今まで本当に辛い思いを掛けましたね 本当に有難う御座いました。

 美奈子もやっと決断出来た様です、娘は油絵が好きなので 静養方々軽井沢の別荘に行かせます、何時でも貴方が決断出来ましたら その書類に印鑑を押して定出して下さい、と記してありました。

 何処か俺の心の奥で、そんな日が来る事を望んでいたのかも・・ただ俺の考えを曲げたくなかった、意地に成っていたのではないか?もう続かない事を知っていながら認めたくなかった!何処かで自分対しての言い訳を探していた、本当は疲れ切っていて、そうなる事を望んでいた!・・色々な思いが有りましたが、その全てを断ち切る為にもサインと印を押し送り返しました。

イギリス南部田舎.jpg それで暫らく何もかも全てを忘れる為、又これから先の進み方を示してくれる道標を探す為に、改めて好きなカーレースの名門校(JimRussell's British Academy of Motorsport/Racing Drivers School)にイギリスへ留学、(現在はアメリカとカナダのみ)三ヶ月ほど行くことにしました・・・でもどんなに新たな刺激に夢中になりレースカーをドライブしょうと、環境への変化、外国人の刺激を受けようとも、(イギリス南部の田舎町サーキト以外何も無い所ですがレンガ造りの古い家並等、風情が有り素晴しく綺麗な所です)ジムラッセル.jpg私の心の灰色の影は消えないまま、帰国しました、生徒は全て外国人、アメリカ・ドイツ・フランス・イギリス・イタリア・ブラジルそれは国際色豊かで言葉も間々ならない中で皆同じ目的、性格も違うが、それなりに意思の疎通は出来た、

 中にはそのままイギリスに残り ヨーロッパF-3に参戦する人も、其処で成績を認められF-1に進む事も可能だ、出来る事なら俺もそうしたかったが世の中そんなに甘い物ではなく 皆さんそれぞれ何処かの国の大企業のおぼちゃん達 俺はと云うと貧乏学生 資金を集める技量も顔も売れていない その上支持者もなし 俺は諦めざるを得なかった。 帰国後 悶々と二年半、先生に偶然お会い出来たしだいで今こうしています」 少しおどけた話し方をした。

 先生は表情を硬くして 「茶化さないで!それで大よそ理解出来ました・・どう考えても一方的で貴方が悪いわ!如何して結婚などしたの!」

 「如何してって?! ・・そんな事云われても計算なんか出来ないよ!・・だからこそ・・もういいよ!」 先生はハットした表情で すぐさま 「ごめんなさい!心ない質問をしてしまい・・」 先生には俺の気持ちを解かって欲しかったのか 怒りを込めて「俺は青かった!て事ですか?」・・そんな常識的答えは言たくわないが、汚れの無いこの子(美奈子)を守らなくてはと思い..俺が自分への償いか何かを守り通したかった。

  これは先生には説明出来なかったが・・ただそれだけでは言い尽くせない経過が沢山有った、・・其の当時 俺の荒み切った生活の中で偶然彼女と出会い探しているお店を一緒に探したのがきっかけ それから彼女から又お会いしたいと何回も会う内に楽しく明るくなって行く俺を感じ、逢う度に心が洗われ俺自身浄化されて行く様で嬉しく思った、だが これ以上逢ってはいけないきっと傷つけてしまうからと、何回も断ったが彼女の気持ちに絆され負けてしまった。

 ・・先生には出会いを話せば長くなるし知る必要も無いと思い話す事は止めた・・ しかし 無駄な事だと思いつつ どこかで自分を正当化し 認めてむらいたい気持ちが働き、

 ・・目の前のサーフィンを懸命に教えている親子をぼんやり眺めながらその子に目を移した時、ふっと思い出しそれに重ね話し出した、

 「それと 此れだけは言っておきたいのですが、小学校に入り立ての子供の頃 可愛くて綺麗な女性の先生が居て 皆の憧れだった ある日先生が手洗いに立った時 俺の友達が あの先生はお便所になんか行かないよって泣いて否定したんだ、彼に取ってその先生はどんなに天使の様に美しく 彼の心が清らかに膨らんでいたのか、 だが俺は心無く 俺のお母さんも先生だが お便所に行くよって云ってしまった、

 彼は"リュウのお母さんとは違う!絶対 絶対違うんだ!"て、誰もが彼の聖域を犯す事は出来ない 何れ解る事だが一笑出来る物では無いと思います、 又その時誰が説明し納得させられただろうかって?」 先生は無言で俺を促す様に俺の次の言葉話待った

 適切な例えや言葉が浮かばず二人の間に暫らく気まずい無言が続いた

 このままではまずい!何かを話さなくては・・思いつくまま俺は又話を続けた 「今の俺の場合はもっと始末が悪いよ 全て解っていてそれ以上に完全に弩壷にはまってしまって、・・美しく綺麗な物への憧れと 俺の心の救いに せめてもの償い!..何時の間に如何する事も出来なく・・」

 先生の無言は続いた!「・・・」  俺の言う意味が解ったのか?解らなかったのか?先生は無言で考えている様子であったが 冷静に答えを探しているようでもあった。

逗子1.jpg 如何して 意味もない弁解じみた事を言ってしまったのだろうか?先生に良く思われたいからか?

 ..良くは解からないが心では母親一人で育ててくれた感謝 厳粛な生き方の母への反発 自慢の母に無条件に愛されたい 俺に振り向いて欲しい 何がそうさせたか解らない又そんな環境への反発そんな自分への反発と葛藤、そんな時に妻の純真な心に触れ心洗われる思いと償い?、

 そんな複雑な思いでなぜこうなったか一口に説明が付くものではない、理屈では無くこうなってしまい適切な言葉が思いつかず、少しは理解されたのではないかと思い又予約の時間もあったので・・

 まーぁ!良いか 「それに俺は以前、完全な人間を求め偽善者とまでは云わないが、澄まし顔で綺麗事を言って手を汚した事の無い人が嫌いだった、その人達の心の奥の化けの皮を剥がして遣りたかったし、酒を飲んで愚痴やしたり顔で批判ばかりする人も許せなかった、でも今では 心や精神だけで人の営みが出来る事ではない、人は生きていく為には色々な欲望と共に生きている事が嫌と云うほど解りました、全て俺がいけなかった・・後悔はありません」

 先生は黙って俺の説明に耳を傾けていた、俺の怒りとも付かない愚痴が、先生の穏やかで優しさを佩びた眼差しを通して、俺の遣り切れない怒りや不満が引いて行く波の様に此の広い砂浜に沁み込み全て吸い取られてしまう様に思えた。

 「貴方は悪ぶっているが 本当は純真過ぎるほど純粋な人よ、結果的には人を傷付けてしまったが それが解っただけでも成長したのよ、大半の人のは結婚前に逃げ出していますよ 人の心には悪魔も住んで居るのよ、人にも自分にも許す事も覚えなければね 何時かは折れてしまいますよ それに人はそれぞれ傷を抱えて生きているのよ」

 先生からもっと否定的な冷ややかな言葉を浴びせられると思ったが以外であった、まるで本当の姉の様な口調でした・・何故か!この人とこれからも此れで終わらず長く関わる様な気がしたと云うよりも、これで終わりたくなかったのかもしれない。


   《逗子海岸 Restaurant Tony》
トニー店.jpg そんな話で予約時間が近ずいたのでレストランに向かった、トニー(restaurant Tony)の看板の玄関を開け奥のカウンタまで進む 「ハーイ!トニー元気だった (Hi! How are you Tony?)」  「リュウちゃん 待っていたよ(How doing Ryuchan!can't wait ..Oh! How charming & sexy! Miss' behind) 後ろのミス..お嬢さん 凄くチャーミングでセクシーねイントロデゥース(introduce)ね!」

 先生から 「鶴見 佳子(よし子)です!今日は宜しくお願い致します」俺はこの時初めて先生の名前を知った、 トニーは万遍な笑顔で「今日はリュウの好きなスペァーリブをメインに私トニーにお任せコースでよろしいか? ミス ヨシコ!」

 「おいおい! 俺には聞かないの?」トニーは白人とは故 逗子の海岸の太陽の下 浅黒く焼けた精悍な顔で先生を席に案内しながら「レディーファーストね それとリュウの好きなオニオンローフ付けるから」と俺に向かってウインクをした 俺は改めて外人なんだと認識した思いでした、

 先生は笑顔一杯で「おまかせするわ」やはりイタりア系アメリ人 笑顔でウインクを先生に送り 「じゃー今日はトニーのおごりで(is to be my treat)美味しい赤ワインで乾杯ねミス、ヨシコ飲めますか?」俺にもウインクをしてジョーク交じりの笑顔を作り「リュウは子供で飲めないからスパークリング・ジュースね」  車で来ているとき俺が絶対にアルコールは口にしない事をしっているからだ ヨシ子は嬉しそうに「はい頂くわワイン大好きです」

アペタイザー オニオンローフ.jpg 俺は得意げに「このバベキューリブとアペタイザーオニオンローフ(appetizer onion  loaf オニオンリングをビルデングの様に積み重ねた様な前菜)は、以前 私とトニー達とで銀座のトニーと同じ名前のアメリカンフード店トニーロマのオジリナルメニューを私達が気に入り海辺のサーファー達に喜ばれるだろうとトニーがオリジナルレシピで造りあげた物です」と説明もまじえテーブルにセットしてくれた、 俺は揚げ物だったので少し心配になり 「先生にはカロリーが高過ぎ くど過ぎませんか?」

 トニーは慌てた様に口をはさみ 「リュウ 大丈夫だよオリーブオイルだから、それにトニースペシャルのボンゴレ ビアンコ(あさりのパスタ)用意するよ それとイタリアの家庭料理でトマトとレットオニオンの冷製サラダ(トマト、レットオニオンは半分にし又それを八切かザク切りにしてソルト少々の水を加え 乾燥バジルと生スイートバジル少しでオリーブオイルたっぷり後は冷蔵庫で少し寝かすと良いよ)とても簡単で美味しいよ、

  俺は「このサラダ!本当に凄く美味しよ」よと付け加えた 尚もトニーは「これはね 年代物のバルサミコちょと高いが美味しいよ」と言いながらサラダにかけてくれ「ブレッド(a piece of bread is dunk in dressing)に浸して食べて」 とまた先生にウインクを贈った

 先生早速フランスパンをちぎってトマトサラダのドレッシングの中に浸し 「ほんとう!こうするととても美味しいわね・・ヴォーノ(buono)!」 と云って何処で覚えたのか自分の頬を指刺した トニーは俺と先生の間の席に座り 「 嬉しいね それにお嬢さんは ヴォーノではなくデリッィオーゾ(delizioso)の方が似合うよ」

 「ありがとう デリッィオーゾね 覚えておくわ それにトニー!バルサミコとワインビネガーと どの様に違うの?」

 トニーは彫りの深い顔で表情豊かに得意げに説明を始めた 「日本の酢と同じでお米と葡萄で作る違い それにワインのmature ジュクセイ? 熟成方と熟成度agingの違い、ワインビネガーは主に調理に使うと思って良いよ..バルサミコは葡萄果汁を煮詰め濃縮させた物を木の樽で(is wait for the grape-juice  to mature inethe cask)12年以上熟成良いものでは20年30年以上熟成させ樽の香りが程よく付き主に最後の仕上げの調味料に使うと思って良いの、安い物でも使う前に鍋で半分位煮詰めて酸味を飛ばし使ったら良いよ」

 先生は興味深げに 「そうなんですか!初めて知ったわ..龍崎さん知っていた?」なんでリュウでなく突然 龍﨑さんなんだ!「詳しくは 知らないよ!でもオリーブオイルとバルサミコでパンに浸して食べる事は知ってたよ」 「へー リュウの事 見直したわ」 なんだ 今度はリュウか!それ程俺は物知らずと思っているのかと少しムっと来たが! どうもそのの様な意味で言ったのではないと思ったが なぜかムカつく!

  トニーは尚も得意になり「もう一つ教えるね、ボンゴレ・ビアンコとロッソが有るよ ビアンコはオイルソース、ロッソはレッド・トマトソースね」

 「俺 初めて教えてむらったよ! やっはりトニーは女に甘いね」何だろう 今までにこんな気持ちを懐いた事は初めてだった、ジェラシー!? 俺が?妬みの様な気持ちが上がってくる 俺には初めて感覚 一体如何したのだ! そんな俺自身に驚きを感じ戸惑うばかりだ!、

 トニーは持ち前の明るさで 「イタリアの男は 普通のことですよ」トニーは俺を見詰めニッコリ 全て解っているよ と言うようにウインクを送ってきた、

 俺は何故かトニーを静止する様な言葉を吐いていた 「トニーどうしたんだよ!いつもと..」 咄嗟に出てしまった言葉を見透かされたかの様に急に恥ずかしくなった、何故だ!昔どんなに俺が付き合っていた女性に迫る男がいても何も感じなかったのに何故だろう?こんな気持ちが湧きあがるなんって!

 トニーは何時もと違う俺の何かを感じ取ったのか 「リュウ 嬉しいんだよ!エックス・ワイフ(ex-wife)別れた妻以来 三年almost three year)初めて女性を連れてきて しかもこんなにチャーミングでセクシーな人!」俺に全て解っているよと云う様に”ウンウン”と顔を俺に向かって小刻みに縦に振り 「今度はミス ヨシコ何時でも一人で来てね!」 冗談交じりに繕った 

 そんな気持ちが沸いた俺が恥ずかしいとおもう 本当に心配し喜んでくれ嬉しく思った、国が違っても人には変り無く友達は出来るものだが 出た言葉は!「またまた!イタリアの男は女性が好きだから!奥さんに云うよ」 そんな自分を恥じながらも つい出てしまった、

 トニーの奥さんは日本人で 以前 横浜本牧に米軍基地が有った頃から遊んでいた仲間の一人だ 「Oh!No! 奥さん恐いよ! リュウ シークッレト シークッレトね!・・・リュウ&ミス ヨシコ アナザーカスタム(another custom)ね、ちょっと失礼するよ」  ちょうどお客さんが5,6人入ってきてトニーはそちらへ向かった 

 俺が初めて感じたジェラシー そんな戸惑いの気持ちを知ってか知らぬか 突然先生が俺に尋ねた 「龍ちゃんと呼んで良いですか?」 なんだよ!俺をどの様に呼んで良いか迷っていたんだ 心の中で少し恥じらい  「そんな!ちゃんなんて!  龍・リュウで 良いですよ 皆にそう呼ばれていますから」 「リュウ・・なのね これから そう呼ばせてい頂くわ」

 「頂くなんって!そんな者ではないですよ、それより本当にこんなに油ぽいカロリーの高い物で..」 先生は嬉しそうに俺の言葉を遮り BBQスペアーリブ.jpg「たまには食べてみたかったのよ 後で運動するから!」

 「先生 このBBQ・Rib バーベキュウ・リブはホークやナイフを使わず 手でガブリと行って その方が旨いですよ」

 先生の悪戯顔を始めて見た 「ヨーシ やってみるわ! 何か野獣になった見たい!」小さく ”ガーォ” と声をはっして「ウーン美味しいわ!」 本当に楽しそうに 「リュウちゃんは沢山良い友達がいるようね!」

 ワインのせいか 立続けてしゃべりだした 「私達の医学会議が終わった後に良く高級レストランやホテルのレストランに先生達と行くのですが 少しも楽しく無くほとんど先に帰っています、こんなにリラックスして楽しく過ごした事 無かったわ」 先生はトニーのワインのすすめも有って少し酔って来た様だ!

 「リュウ!先ほどの話しなんだけど 女性だってたまには自分を全てを忘れ 心を休めたい物なのよ! 人は中々聖人君子にはなれない者よ 皆寂しく弱いのよ!」・・「全ての束縛から解放されたい時もあるの・・・現にリュウ!貴方がそうだったでしょ・・」

 「先生!先生!..酔っているんですか? 先生も何か有ったのですか?」 「もちろんよ!私を幾つだと思っているの」 「失礼ですが 年を聞いても良いですか?」

 「かまわないわ もう三十三よ!..運転免許証見る?」 運転免許証をハンドバックから出して見せた!俺より五歳上なんだ 先生は俺の年知っているはずだ 「リュウは二十八歳でしょう? 私 女として・・もうオバサンよ!」 案の定以前別れた妻の診断書に俺の年齢も書き込んだはずだ 憶えていたのだろう、何か病院での少し冷たそうな先生と違い年上だが可愛い人だと思った

 「判りました免許証おとすといけないからしまって下さい」・・「先生はそんな事有りませんよ全然若いです」 一つ位上かな?本当に若いし綺麗で魅力のある人だなと思った 嬉しそうな顔で 「ありがとう、リュウに云われれば嬉しいわ」

 本当に少し酔ってしまった様だ良くしゃべる 「リュウに初めてお会いした時 精悍で瞳がキラキラ!輝いて、その澄んだ瞳で見つめられて 私・・体中の細胞が目覚め本当に ”ゾック” としたわ!」..「今もよ 少し肉付き良くなったみたいですが其の目その顔 その純粋な気持ちで私に問いかけるところ少しも変っていないわね、そのうえ人を惑わせるその仕種 優しさが感じられ人の心を引き付けもっと魅力が加わり・・いけない人ね!」 語尾を強めた!

 先生はかなり酔ってしまった様だ 意外な言葉に少し途惑いを覚えたが 別な姿を見られ 正直な人でその仕草に少し可愛いいなと思え 何か先生に近ずけた思いであった・・俺は笑って誤魔化しながら

 「またまた お世事が上手いですね! 酔っているんじゃないですか?・・此処の所USネイビー基地内のアメリカのジャンク・フード(ファストフードの事)とにかく カロリーが有る物ばかり食べていたから少し太ったみたいでトレーニングしなければ」

 先生は少しトロンした目で俺を見詰め 「お世事なんかじゃないわよ、その澄んだ瞳で見詰められると 其の目の中に引き込まれてしまいそう 本当ですよ!」 酔いであろう 良く定まらない指を俺の目に向け 「..だめだめ!・・随分話したわー久しぶりにこんな時を過す事が出来 本当に楽しかった・・少し酔ったみたい お腹も満腹になったし すごく楽しかった!・・そろそろ帰りましょうか?」

 普段の仕事が余程ハードなのでしょう 先生は其のままテーブルに顔を伏せてしまった..俺も久しぶりに楽しく、いつの間に大分時間も過ぎていた

 「そうですね」と返事をしたが 先生はもう聞き取れない様子で 大声で「トニー!」 マスターを呼び 「トニー 今日はありがとう、be satisfied with food お腹フルね!美味しかったよ 奥さんに宜しくね!」 「今日は店に来られなかったがマイ ワイフもリュウの事 心配していたね、あれから(離婚)元気ないってね、早く前の様なリュウちゃん戻ったらいいねって、今日リュウの明るい顔、見られて本当に嬉しいよ」

 今度は先生に向けて 「ミス ヨシコ!リュウの事頼んだよ 何時でも来てね 待っているよ!」 両手を広げ先生を軽くハグ 先生は少し驚きの表情を見せながら 大げさに両手を広げ応え 「今日は本当に楽しかったです!料理もとても美味しくついお腹一杯頂きました・・此方こそ有難う 又伺わせて頂きますわ」。

 帰りの車の中で先生はけだるそうに 「本当に楽しかったわ ついワイン飲み過ぎ少し酔ったみたい、リュウ 本当に良い友達たくさんいるのね 良かった」 そんな話をし 横浜X大病院の付近とだけ云って無防備にも酔いのせいかすやすや寝てしまった 仕事が忙しくきついのかな?

 当時の先生からは思いも寄らない言動に少し驚いたが、先生にも悩みや大変な事が有るのだなと思い何か親しみを覚え同時にとても可愛い人と感じた、

 「先生!病院近くですよ」 と揺り起こし 「家は何処ですか?」 

 先生はキョトンした表情で 「う~ん・・あら寝てしまったようね、やはりプロの運転ね 安心して・・もう少し先のシーサイドライン柴口駅の近くの柴町のマンションよ、・・私の実家は金沢区の能見台で個人病院を開いているの 病院まで交通が不便でしょう」 そんな話をする内に先生のマンションに着いてしまった 

 「今日はとても楽しかったわ!コーヒーでも入れるわよ・・寄っていく?」 「いえ! 今日は夜遅いので帰ります、じゃぁーおやすみ!」 「そう! 運転気を付けてね・・プロに可笑しいわね、其れじゃぁーお休みなさい」 まぁー 社交辞令と思いとあっさり帰ったが 何か心残りで先生の言葉通り家に寄ればよかったなと思い少し後悔したが 俺とは 全てが大分かけ離れていて これで良いのだと思うことにした、それよりスポンサーを探す事の方が気になっていた。                                                                                                                                       

 それから一週過ぎ先生はもう俺の事などすっかり忘れている事と思っていた、

 金曜日 突然先生から連絡が入り この前は楽しかった事、 お礼に今度は先生が招待しますと言われ 戸惑いも有り 一応断ったのですが それでも先生が是非との事、久しぶりに楽しい時を過ごした事を思って ”じゃぁー明日土曜日に” と云って受けてしまった、

 あれから本音はスポンサーも気になったが、不思議なものだ心とは裏腹にそんな暇はない駄目だと思うほど一時も先生の事が頭から離れず 一層逢いたいと思う心が深まることに戸惑いを覚えた、今までカーレースに夢中で こんな事一度もなかったのに 如何したんだ 気になって仕方ない あぁー逢いたい!

  《東京、スポンサー探し》

 話はレースのビジネスに戻るが、あれから思い当たるスポンサー交渉に奮闘した バブルが弾けその上長いオイルショックが続き 長い経済停滞の最悪の時期でもあり 燃料やオイルを無駄に使うレースなど支援する事など出来ないと大凡の企業に受け入れられず、チーム監督と共に心当たりを尋ね回り 又 俺個人でも心辺りを当たり 思案の甲斐なくこのままでは絶望的だ!、一時はスポンサーを求むの看板を掲げ横浜駅前に立つ事も考えたがそれも障害があると思い留まった、元々人に束縛される事が大嫌いだが迷いに迷い葛藤が有ったが レースは何としても続けたいその思いが強く、

 本来はこんな時だからこそ イノベーション(innovation)が必要で燃費を減らし力強く長く走れるかで レースに勝つ事が出来る、そんな開発に日々努力しているカーレースを支援すべきであると思うのだが なかなか日本の企業に受け入れられず 最終的に万策尽き行き詰まった俺は何時の間にか離婚した妻の父の会社(以前の義父)に足が向かっていた丸ビル.jpgアルミニュムのインゴット(塊)を製造している国内では大きな会社 東京駅近くの本社事務所に久々に訪ねた、

 葛藤も有った 後ろめたい気持ちと頼ってはならないと思いつつもレースに復帰出来るチヤンス 如何してでも逃したくはなかった、ただ義父の知り合いの会社を紹介して頂きたく 東京駅近くにオフィスが有るビルディング前で足が止まった、

 改めてビルの前で暫らく躊躇して立ちつくし悩んだがサーキットで走る俺の姿を想像し諦め切れなかった、受付で社長にお会い出来るか尋ね 了解を得る事が出来ホットした。

  しかし 後々 俺の心に思いも因らない重圧になってしまうとは、多少の不安があったが その時は少しも知る由もなかった。

 社長秘書に見慣れた社長室に案内され 大きな社長用デスクの前に豪華な接待用カウチがセットされている 「如何した!久し振りだね あれから元気にしておるかね?」 「はい お願いが有って伺いました」 「そうか!それで・・」 「はい カーレースを続けたくスポンサーを受ける会社を紹介して頂きたくて お願いに伺いました」 「そうか!この不況だ、・・きっと君が尋ねて来ると思ったよ・・君達が離婚後 娘から達ってのお願い・君の力になって下さいと頼まれている・・まあー掛けたまえ」 と言った言葉は優しかったが やはり大企業の社長何処か威厳と迫力があり俺を圧迫する、

 秘書がお茶を運んできて黙ってテーブルにセットしてもどった、その後娘(美奈子)と俺に関する事には社長は一切触れなかった。

 大きなデスクの電話の受話器を取り上げ、カメラや精密機械の会社やエンジンブロック・アルミホイールの会社に取引があり3・4社 その場で連絡取って頂き、私を紹介し訪ねる事を電話なのになんの利益にもならない俺の為に頭を下げ了解を受けていました、俺は立ったまま頭の下がる思いで電話の話に聞き入って今更ながら有り難さと恐縮の思いで 頭が下がりました、 だが心とは裏腹に娘からのお願いと聞き、訪ねた事を強く後悔し初めていた、

 それにも増して義父の会社がスポンサーを引き受けてくれた、俺は驚きと共に慌て言葉を選びながら慎重にそれを強く断った「あのー!お願いに上がって厚かましくも生意気に失礼な事と重々思いますが・・この社のスポンサーや社長からの直接の援助は受けられません!」

 義父は疑問を帯びた顔を向け 「何故だね!それは君が未だに美奈子の事にこだわり過ぎだからだよ」 「しかしそれは・・」 義父は俺の話を遮るように 「健司君!私個人はともかく我が社がスポンサーにならず、他社に頼めるのかね?、そんな虫のよい事が出来るのかな?」まだ俺に商売の基礎を教えてくれている

 と強い口調で一括されてしまった、君はそんな甘い気持ちで私を尋ねたのかね!と言う様な目で睨まれてしまった、俺はただ 「はぁーすみません!」 と返事をする事だけで精一杯だった、

 社長から見れば何てなんってガキなんだ!と思はれているのだろう 甘い気持ちで尋ねた俺を悔やんだが、此処までして頂きもう引く事が出来なかった。

 結婚当時は良く会食に高級ホテルや料亭等に同伴したものだ、私の会社に来ないかね?とよく誘われたが断って来た。 

 恐縮していると 低音だが力強い声で 「健司君! 近いうちにこことこの会社を尋ねなさい 力になって頂けると思うから」 社長の名刺の裏に各社宛の簡単な紹介状が其々記されている名詞を俺を改めて見詰め 「元気そうで何よりだ 君は人より危険な仕事 充分体には気を付けたまえ」 と言いながら電話だけではなく、その名刺を渡してくれた。

 俺は感激と複雑な思いで言葉も浮かばず ただ 「有り難うございます」 と頭を下げる事しか出来なかった、社長はソファーに向かってを差し伸べ 座るように即したが俺は座る事も出来ず慎重に

 「はい 有難うございます・・それで・・美奈子さんは?」 語尾は自然に小さくなってしまった「心配は無いよ 軽井沢で絵を描きながら、自分の作品を飾る画廊とまで行かないが 喫茶店と言った方が良いかな、お手伝いさんと静かに過ごしとるよ、余り気を使わずに良いから たまには私を訪ねて来なさい」 社長は席を立ちながら 「食事でもどうかね?」

 「はい、今日は私達のチームに吉報を報告したいと思いますので・・すみません」今の俺に食事など 喉を通るわけがない「そうか何時でも訪ねて来なさい、後で我が社の営業の者を君のチームに出向かすよ」「有難う御座います」 と言って 頭を深々と下げる事しか出来なかった。

 感謝が重くのしかかりたまらずお礼もそこそこに あわて社長室のドア閉めたので事務員が不振な顔で見つめていた、少し前までは義父だ何も云わずとも解っているだろうと語りかけているようでした。

  この人の家庭で育った妻だったのだと新ためて思いました、芸術や文学など興味がなかった俺にその度優しく解り易く説明してくれた美奈子の姿がが俺の心に何か強烈に圧し掛かり、勝手な物で頼ってしまった俺自身を許せなく胸に痞える後悔の思いが増してビジネスとして心から喜べなかった。

 無論 社長の会社にも大分沢山の援助して頂き大いに助かり、翌日チーム監督権マネージャーの北原と共に社長に紹介された会社を訪ね 各社契約を取り付け何とかチームとして運営出来る様になった。

   《二度目の食事》   

 スポンサー等の件で女性関係でのトラブルが気なった いったいどうしたと云うのだ 全て捨てたはずなのに!危険な物に触れては成らない憧れと奇妙な衝動に突きうごかされ 逢うだけだからと自分に都合よく問いかけていたのだ、

 抑える気持ちが仇になり待ちに待った土曜日が来た、その朝 先生から電話が入り 午前中先生は急に病院へ行かなければならなくなり午後2時半位に先生のマンション前で待ち合わせをする事にした、待ち合わせ時間から1時間ほど遅れやはり縁がなかった スポンサーの件も有りこれで良かったと思い 車のエンジンをかけ前を見た ”おぉ 来た!” 、

 急いで来たのでしょうか 薄っすら汗をかいて先生は急ぎ足で息を弾ませながら 申し訳なさそうに マンションJPG.jpg「御免なさい!急に患者の様態が変わり 処置していた物ですから、もしかして帰ってしまったかなと思ったり心配でした」俺を見つめ改め頭をさげ「・・ごめんなさいね」  「大丈夫です車の中で休んでいましたから、それで もう大丈夫なのですか?」 諦めかけていたので内心とても嬉しく思った

 「ええ、後は当直の医師がいますから、・・それより横浜山下公園前のホテル・ニュウーグランドでフランス料理と考えていたのですが、着替えもしなければいけないし時間もかかるから、能見台にある焼肉店でよいかしら?とても美味しい所よ」

 「はい!」 凄い格差だが多分俺の為を思っての事だろう、時間も遅くなり お腹も空いていると思い気楽に腹一杯食べさせたかったのかも知れない。

 「その方がかえってリュウも沢山食べれるから、そうしましょう?」 「えぇー、何処でもかまいません」 「私 シャワー浴びたいから、部屋でコーヒーでも飲んで待っていただける?」 それだけ俺に確認を取るとセキュリティ完備の最上階の部屋に向かった、横浜金沢八景島や海の公園の砂浜が見えるナイスビューの4LDKでリビングが広々している。

 部屋に招き入れられ 「凄く、良いところですね」 先生はリビングのソファーを手で示し 「そちらで休んで」 と云い残し直ぐにキッチンに入り お湯を沸かしコーヒーをドリップしながら 「リュウ、コーヒー好きのようだったのでブルーマウンテンを焙煎してむらったの すぐに出来ますから」

 暫らくするとコーヒーの香りが漂い、キッチンカウンターにコーヒーの入ったカップが置かれた 「さぁー飲んで見て!」 俺はコーヒーカップを手にとり、先生は付け加える様に 「美味しくなる様に おまじない を掛けたの」 と何処かで聞いた様な話だが そうやって最初に少しお湯を注ぎ少し蒸し時間を取るのだそうです ほっとする様な無邪気な顔を見せた 「へェーそうなの じゃぁじっくり味わって飲まなくちゃぁー」

 俺は味わう様にゆっくり一口に含み飲み込んだ 先生は心配そうに俺を見つめ 「いかが?」 と更に俺を覗き込んだ 「確かに香り豊かでまろやか とても美味しいよ」

 先生は俺の顔を窺う様に見て 「良かった!・・じゃぁーシャワー浴びてきますから、退屈だったらテレビでも見てて」

 何だよ 俺を男として見ていないのかよ と思いながらも、何か胸はドキドキいったい俺は何を期待して何を考えているのだ、冷静に冷静にと自分に言い聞かせ、コーヒーカップを持ち立ち上がり窓辺からの海の景色に心落ち着かせていた、

 東京湾を挟んで向かいに広がった千葉の房総半島が黒く霞んだ山並に真っ白い綿飴の様な入道雲を抱え、空は動物を連想させる夏雲が所々に浮かび青々と澄んでいる、目の前には横浜金沢柴町の海の公園が良く整備された砂浜が広がっている、海は湾内の為か波も穏やかである。 

 暫らくするとシャワーも終わり着替えが済んだ先生が 「お待ち同様!さ~ぁ行きましょうか?」 ジーンズにTシャツ、ずいぶんラフでもスタイル抜群ピッタリ決まっている 「先生は何を着ても、似合いますね、スタイルも良いし特に足はすらりと真っ直ぐ長く、お尻の形ち良いですね」
 少し怒った顔を作り 「バカ!何言っているの!子供のくせにサァ~行くわよ」 「でも、スタイルいいし綺麗だから、今日のシャンプーの匂いも好きですよ」 「もう!・・解ったわ!ありがとう」 「・」 「さぁー行きましょう!」 全く子ども扱い無視されている。

能見台駅.jpg 京浜急行能見台、此処は東京にも40,50分国道16号線を挟み両脇坂になっている、静かな高級住宅がある駅近くの焼肉店はテーブル5,6、席と畳の2席、2組のお客さんがいた、私達は奥のテーブルに座った。

 女将さん風のおばさんが 「いらしゃい、お嬢さんずいぶんお見えにならず病院のお勤め忙しいのですか?お父様も近頃見えないので、・・今日は何に致しますか?」 「はぁーそうなんですか?父に伝えて置きます・・取り敢えずビールを私に、リュウ!なににするの?遠慮なく沢山食べてね」 俺はとっさに気取って 「僕は車ですからお茶で、それから?・・メニュー見せて下さい!」 「はい」 と云って女将は奥に。

 先生はにっこり笑顔を見せながら 「へー、僕ですか?」 俺は照れながら 「からかわないで下さい、先生に気を使ったビビンバ.jpgのに!」 「ごめんね ここは私達家族が私の子供の頃から来ていたのよ、私の家はねこの坂の上へ歩いて5分位な所なの」・・「父は看護婦と事務員一人の小さな開業医しているのよ」 「へー凄く近いんですね、先生のご両親は元気なんですか?」 「ええ 元気ですよ」

 女将が注文を伺いに来た 「リュウ 決まった?何でも遠慮なくね」 「じゃぁ 骨付きカルビとロース、ユッケ、生センマイ、ご飯、サンチュで又後で注文していい」 「ええ 遠慮なく食べてね リュウは生肉が好きなのね、私は石焼ビビンバと・・クッパはリュウの分と二つね それにリュウ私しビール飲んで良いかしら?」と俺が酒類を口にしない事を知って 小首を傾げ尋ねた そんな事まで了解を得る先生に俺は少し戸惑い慌て「どうぞ お構いなく」先生は女将に向かって「それで お願いします」 と注文した、

 ”きっと俺は先生に取って野生動物に近いのかも 何かに束縛されたりする事が大嫌いだ" と思っているのではないかと勝手に決め込み 何故か俺は先生の事が好きなのに 先生とは全然違った世界に住んでいる事を強調して俺自身に歯止めを掛けて様としている俺自身が解らなくなっていた。

ユッケ.jpg 「私ねーリュウと居ると 何故か自分になれて落ち着くの、あれからずーうとリュウの事が頭から離れなかったの、如何してか判らないが気になって!気になって!仕方なかったのよ」  余り素直な先生に俺も本音が出てしまった 「俺も本当は直ぐに先生に逢いたくて 俺もこんな事初めて、何時もなら車の事考えたら忘れるのに..会いたかった!」 

 「本当?嬉しいわ!・・年の事考えたら 考えられないし、私 どうかしている!、食事に誘うの止めようと何回も考えたけれど 考えるほど逢いたくなるのよ!」 「年なんて関係ないよ、すごく若く見えるし」..とは云った者の余りにも職業の違いや 地位 立場が違う!..でも其のことには触れていないが.. 「始めは皆そう思うのよ、現実はそうはいかないものよ 分別の有る女がって非難されるだけ、でも この気持ちどうにもならないの!」 本当に此れほど素直でストレートに自分の気持ちを伝えられた事はない、何の気負いも無く素直に清清しくさえ思う、きっと伸び伸び素直に育ったからと思う 「どうにもならない事考えても仕方ないよ!俺の事子供扱いして!」

R & Y 焼肉1.jpg 「違うのよ、こんなに悩んでいるのに!リュウたら生意気の事云うからよ」 「俺 子供扱いされ駄目なのかって、でも良かった すごく嬉しいよ」 「本当に?」

 「あぁ 自分の気持に正直になろうよ 悩んでも始まらないよ、これからそのつど解決して行こう、サァー目の前の問題から片付けようよ..」 ちょうど焼き上がった肉に目を移し 「美味しそうだよ食べようよ先ずは此れからだよ」  ちょうどお肉の焼け具合が良い頃だったので、少し先生は笑顔に戻った 「そうね お腹空いたでしょう 戴きましょう」  

 「女将にコチジャン有ったら、お願いして」 「どうして?」 「サンチュにコチジャン少し塗って寿司くらいの大きさのご飯乗せてカルビをのせ 手巻きすしの様に食べるのが好きだから、先生もトライして」 「リュウは、食事や料理の事 色々しっているのね」

 多分先生はその食べ方知っていたと思うが、笑顔で聞いていた 「あちこち、友達やレース仲間で食べ歩いたから、今わ楽しく食べようよ」 「そうね!リュウの云う通り、台無しにするところね、食べましょう、遠慮無く沢山食べてね」 深刻な話しをているわりには、俺は良く食べた、女将に挨拶をして、店を後にし、

 帰りの車の中で、心にも無いことを聞いた 「先生、実家に寄らなくて良いのですか?」 どんな返事が返ってくるか?もし先生が家に行くと答えたのならば 俺は一体どう応えていたのか? 「今日は止めておくわ」 やっぱりね と思いながらも 内心安堵した 「じゃあ、マンションに送ります」 

 先生の所まで車では意外と近い マンションの駐車に入ると先生は俺の膝の上にさりげなく手を添え 「部屋に寄っていきます?」 と問いかけた 俺は一瞬ビックと硬直し 慌て 「エッエ!  ありがとう でも遅いから!」 「まだ話したい事有るのよ 聞いて下さる?」 「はぁー 何でしょうか?」 「兎に角 上がって!」 何か先生に押し切られてしまった と理由を漬け 「ではそうさせて むらいます」 本音は俺もまだ帰りたくないと思っていた!

 よし期待通りになったと思う心と今後のレースやスポンサーに対して非常に不安に襲われてしまう心が交差していたが 何処かで先生を失いたくはないと思う心が強く有るからだろう

ヨシ子ブラウスねー.jpg 先生に押されるように部屋に上がり、先生はシステムステレオの前に立ち俺に振り返りながら 「普段はジャズを聞くのが好きなんだけれど今日は映画音楽を聴いていから続きで良いかしら」 と云いながらCDとアンプのスイッチを押した、始めに流れたのがフランス映画の男と女のフランシス・レイのテーマ曲でお馴染みのダバダバダ、ダバダバダ~が流れてきた

 この曲を聞きながら先生は 「古い映画探して観る事が好きで、偶々良く行くレンタルショップで見つけたの、この映画印象深く残っていたから・・台詞も少なく、大人の恋愛の苦悩と美しさが良く出ていたわ、リュウも何時か見てみたら」 「・・」 主役がレーサーで有ったので俺もレンタルビデオで見たことがあるが余りレースの事は出ていなかった 全体にボサノバが流れていたことを思い出したが 見た事を黙っていた「お茶でものむ」先生が少し酔った口調で尋ねたので「いいです」 と顔を横に振って 暫らく音楽を聴いていたのですが、

リュウ横顔あのさ1.jpg 沈黙に耐えられない様に先生と同時位に 「ねー」  「あのさー」 「リュウから話して!」  「俺は、いいよ、先生からどうぞ」 「リュウから・・・」 「じゃぁ 俺から話すよ、なぜ俺なんかと! もっと先生に相応しい人がいるだろうに」 「リュウからそんな言葉が出るとわ思わなかったわ、私に相応って 誰が決めるの!、私自身が決める事でしょう」 

 「そう云われればそうだけど、俺もそう思うよ ただ 迷ったり後悔して欲しくないから、先生さっきもそう云ったでしょう 迷ってるって 俺だって世間のそう云った考え嫌いだけれど それに打ち勝つ気持ちが無ければいずれ駄目になるよ、先生を大事にしたいから」 ..俺は如何したんだろう?今まで口にした事の無い言葉が、本当はこのまま感情に任せたいよ、必死に抑えているのに..先生を失いたく無い..不安が大きく広がる、こんな気持ちになった事今までに無い初めてだ!、

 俺はこの時ラウンドマークタワーで出合った時の衝撃が解かった様な気がした、顔や体の綺麗な人に沢山出合ったが、先生の様に内面から醸し出す、エレガントな動作、知性や情熱、繊細な心に引き込まれて行く、今までの反動か俺の性的欲望が怖く又傷つけてしまうのではないか、初めて感じた不安!

 姿形では無く、何処か母を思わせるあの慈愛に満ちた眼差し、云い返ればこれ以上進む事が凄く怖くなった、でも失いたくない!一体俺は如何したのだ!心とは全く違う言葉が!戸惑うばかり、

 全てを捨てやっとカーレースへの復帰が叶うのに、俺は何をしているのだ手足纏になるに決まっている、だが心とは裏腹にどんどん、のめり込んでしまいそうで戸惑いを覚える

 「リュウ、ごめんなさい..リュウが病院に通っていたあの頃、私、貴方みたいに健康で自由で破天荒な人に遇った事が無く、毎日会えると楽しみになって、其のうち、弟の様になっていたの、あの頃のリュウだったら、そうするだろうて判っていたの..でも感情に此のまま流されたい気持ちもあったのよ、リュウの方がよほど大人ですね、何か恥ずかしい気持ちよ、でも..ありがとう、もう少し考えるわ」

 「ごめん!俺、今日は帰ります、気持ち決めたら連絡下さい、待っていますから、今日は楽しかったよ、じゃーね」 俺は先生が怒ってしまうのでは無いか、不安で有ったが、飛び出す様に部屋を出た! 

 帰りの車の中俺はどうなってしまったのか、”俺の方が感情の赴くままにしたいよ.. 男の方がもっと辛いよ!でも先生の方がもっと辛いかも、女性からの、 俺ってバカだよなー.. 俺と全く違う、知性や繊細な心の動きの出来る、先生を本気で好きになったのか?!”・・・”上手く行く訳無いよ!きっと駄目になる!恥をかかしてしまったから・・出来るなら失いたくない・・いや本気で失いたく無い!”

 どうして、こんなに胸が痛むのか初めての気持ち、この俺が!一体如何したんだ?、何でこんなに切ないんだ?うぅ..なんなんだ!いけないと思う心が逆に俺を煽ってしまう

 まだ先生に話して無い事があった、結婚前、世の中、斜に構えていた時期で、母の愛情、家庭への反発で遊び回っていた、その頃は生きる事の無意味さ、口先だけで善人ぶって平気で人を裏切る人等、人間不信に落ち入り、何時も冷めきって人の裏側で見る事しか出来ない自分を虐め、自暴自棄になり、それも俺の弱さである事も知っていた、レースに興味を持ったのも暴走族やグループに入らなかったのは人間不信の俺にとって群れる事が大嫌いだったからだろう、

 その寂しさを満たすため女に溺れ、何の愛情も無くただ自分の欲望のまま罪悪感をかんじながらも何もかも成り行き任せ、其の頃は結婚など考えも及ばなかった、そんな刹那的無責任な生き方しか出来なく命の尊さなど少しも感じなかった俺は何処かカーレースに人を傷つけなく自身の戦いと実力だけの共通点を感じスピードに魅せられのめり込んで行った、

 男の身勝手と云うより俺の身勝手とても人を批判する立場で無いが欲望を満たした後の空しさと嫌悪感が増すばかり。

 何でこんな事に無駄な時間を費やしてしまったのかもう顔を見るのも嫌になって避ける様になってしまっても俺の弱さ、又何人も同じ繰り返しをしてしまい、もっと自身が傷つき互いに傷つけ悲しく辛い思いをさせてしまった。

  天罰であろう、中には俺自身のめり込み悲しい別れをした事も、そんな自分が嫌いで美しい愛を求める自身の仮面の下に眠っている肉欲やエゴイズムなのに、身勝手の話だが益々男の性がと繰り返す自分に精神と体の欲望のバランスが取れないままに闇の中で俺は傷ついていった。

 そんな時、天使の様な彼女(別れた妻)に合った。

  この子は絶対汚してはいけないと強く思うと言うより俺が浄化される、そんな気持ちが働いていたのかもしれない。 その結果がこれだ、そんなトラウマの様なものも有り、今度のケースもスポンサーに対してだけではなく、いざとなると欲望のままに進む俺が怖かった、又大事な人を傷つけてしまうのではと恐くて逃げ出したのが本音。

タッチおじさん ダヨ!.jpg   *此処まで読んで下さり有難う御座います、前回申請の順に戻りながら物語が展開します*

又は下記、URLより次のペイジ(申請の古い方)に順次物語が進みます枯れ葉の流れ着く先 【幻:前編3】)→クリックね《http://touch-me.blog.so-net.ne.jp/2012-10-1是非お読み下さる事お願いまで


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コメント 13

ja1nuh

面白いです。 はまってしまいました。
by ja1nuh (2013-02-19 21:55) 

RuddyCat-Lalah

これだけ詳細に情景描写が出来るのは、実際に
その場でそこの空気を感じ取ってきたからでしょうか?
by RuddyCat-Lalah (2013-02-27 19:25) 

Therese♪

5月10日で私のブログにおじさんの記事の更新通知が入っていますが。探しても見つかりませんね。
by Therese♪ (2013-05-10 19:41) 

ちゅんちゅんちゅん

こんばんは!
今日はここまで来ましたよ~!
最後の部分、
嘘でもいから こんな風に想われてみたいです(笑)
by ちゅんちゅんちゅん (2013-06-08 00:06) 

ちゅんちゅんちゅん

おはようございます!
先日 TVで湘南のトンビ被害のニュースをやってました(゜o゜)
あんなに狙われたら怖いですよね~、
ホラーの世界になっちゃう・・・

タッチおじさんさまもお気をつけくださいね。
トンビ まるで弾丸のようでしたもの(>_<)
by ちゅんちゅんちゅん (2013-09-22 10:48) 

つなみ

タッチさん、コメントありがとうございました m(__)mぺこり
よい一年になりますように。
by つなみ (2014-01-08 09:54) 

youzi

いつもありがとうございます。今朝は朝から雨で肌寒いです。月曜日1週間の始まり。頑張ろう!
by youzi (2014-07-07 06:08) 

youzi

おはようございます。今日も朝から暑いですね。7月も最終日。わー、今年も折り返しなんて思っていたら、明日は8月なんて。夏休みで電車が空いてるかと思いましたが、意外に空かないものなんですね。
by youzi (2014-07-31 08:17) 

ちゅんちゅんちゅん

こんにちは!
イラスト 変わりましたか?
お祝いのコメントをありがとうございました(⌒‐⌒)
また、これからもよろしくお願いいたします!
寒くなってきました。
どうかご自愛くださいませ。
by ちゅんちゅんちゅん (2014-10-27 16:42) 

つなみ

タッチさん、お誕生日おめでとうございます(⌒∇⌒)
by つなみ (2016-03-17 09:54) 

mimimomo

おはようございます^^
ちょっと風邪気味で熱と頭痛に悩まされています。困ったことです。歳を取ると治りも遅いようです。
沢山過去記事に足跡残していただいてありがとうございました。
by mimimomo (2017-06-12 07:30) 

mimimomo

こんばんは^^
ご心配おかけしたようで申し訳ないです。
熱も割合早く引いて、直ぐ通常に戻りました。
今はもうぴんぴんしています^^
ご訪問ありがとうございました<(__)>
by mimimomo (2017-06-27 19:40) 

mimimomo

こんにちは^^
人との出会い、運命って不思議ですね^^
by mimimomo (2017-08-02 17:53) 

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